実家が空き家になってしまいそう。そんなあなたに気をつけていただきたいポイントを解説します。
空き家はなぜ増える?
数年前ですが、総務省の調査では、全国の空き家は約840万戸、全国の住宅の13%が空き家でした。空き家になるきっかけは、親の介護施設入居や相続が多いようです。
【総務省資料】
親が介護施設に入居した場合は、親の気持ちへの配慮や将来自宅へ戻る可能性も考えると、しばらくは空き家のままということになりがちです。また、相続になっても、相続人は家を持っている場合が多い(日本の持ち家率は約8割です)ので、自宅に住もうということになりにくいのです。
空き家になると何が問題か?
実家を空き家にすると、建物の劣化が進み財産価値が減少していきます。それだけでなく、防災、衛生、景観の点で、周囲に悪影響を与えます。このため、空き家の所有者には次のような法的な責任が課されています。
◎民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
例えば、管理が悪いため屋根が風で飛んで他人が被害を受けた場合は、所有者が損害賠償責任を負います。
◎建築基準法第8条(維持保全)
◎空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)第3条(空家等の所有者等の義務)
空き家の管理が不十分だと、区市町村から「特定空家等」と扱われ、勧告により税額が高くなり、命令や代執行を受けることもあります。
空き家になってしまったら
最初に行うこと
・ご近所への挨拶
・火災保険加入(個人賠償責任保険の確認)
・不審者の侵入予防(人感センサー付きライト設置や、生垣等の管理)
定期的な点検とお手入れ
自分でできない場合は、複数の専門業者から見積もりをとるなどして、外注化を検討しましょう。
空き家発生の3つの予防策
今まで書いたように、空き家には問題点が多々あります。空き家にならない準備が大切です。空き家にならないためのポイントは「きちんとした相続」です。そのためには、次のような方法があります。
遺言書作成
遺言書を残すことで、家をどうするかを明確にすることができます。遺言賞には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。遺言によって、「土地と建物は長男に、現金は妻に」という具合に、具体的に財産分配の方法を指定できます。親御さんに遺言を書いてくれとは言いにくいかもしれません。
まずは、「この家をどうするつもり?」「お父さんは相続の時はどうだったの」などと、話しやすいテーマを選んで、機会を見て親御さんの考えを聞いてみるところから、始めたらいかがでしょうか。
民事信託(家族信託)の設定
例えば父親(家の所有者、委託者)が娘(受託者)に家を預ける契約をすると、娘はその家を母親(契約で決める受益者)のために管理、処分等を行うことができます。信頼する家族間ですので、無償で契約できます。公正証書にしておけば、第三者に対しても正当性を主張しやすいものとなります。
成年後見人制度の利用
成年後見人制度には、本人の判断能力が十分なうちに本人が後見人を選定しておく任意後見人と、本人の判断能力が不十分になった場合に親族等の申立てによって家庭裁判所が選定する法定後見人があります。家族信託を託せる親族が見当たらない場合などには、成年後見人制度が選択肢となるでしょう。
参考 家族信託https://mnakamura.net/archives/1355
https://mnakamura.net/archives/1415
サイト管理者の杉並区の行政書士中村光男です。ホームページにもお立ち寄りください。
何かお聞きになりたいことがあれば、お気軽にをお問い合わせメールを頂ければ幸いです。