外国人雇用と在留資格/杉並区の行政書士が解説します。

 入管法は、外国人が上陸許可または在留資格の変更もしくは在留期間の更新を受けて日本に適法に在留するためには、1個の在留資格と、それに対応する1個の在留期間が決定されることを必要としています。

 これを、入管法上の「一在留一在留資格の原則(注)」と言います。入管法上就労の許されない外国人を企業が雇用することは、コンプライアンス上問題があるばかりでなく、不法就労助長罪(入管法73条の2。参考HP(厚労省))で摘発されるリスクがあります。

  注 在留資格一覧 (出入国在留管理庁HP)

 就労のための在留資格は、一般的に在留ビザと呼ばれることが多いようです。在留ビザの申請には、本人が書類をそろえて、現在住んでいる場所の地方出入国在留管理局に提出します。

 外国人を材用したい企業は、審査に必要な書類を作成して、本人に渡します。書類は、概ね以下のように、在留資格や手続きの内容によって違いがあります。

留学生の採用の場合の手続き

   ◎在留資格変更許可申請    (法務省HP)

   ◎所属(活動)機関に関する届出  (法務省HP

 ※ 企業への就職により、在留資格が「留学」から別の仕事に変わりますので、「在留資格変更許可申請」と、「所属(活動)機関に関する届け出(卒業・退学時)」が必要です。

 「在留資格変更許可申請」は、本人または法定代理人、取次者(監理団体・弁護士・行政書士等)が最寄りの地方出入国在留管理官署に行って申請し、許可を取得します。この申請に対する標準処理期間は2週間から1か月とされていますが、余裕をもって卒業の3~4か月前に申請を行うのが安全です。

 「所属(活動)機関に関する届出(卒業・退学時)」は、”届出”ですので許可を得るものではありませんが、本人が、事由が生じた日から14日以内にインターネットで電子届をするか、最寄りの地方出入国在留管理官署に,在留カードを提示の上で,届出書を提出する必要があります。 

「技術・人文知識・国際業務」の人を中途採用して、同じ在留資格で働いている場合の手続き

   ◎所属(活動)機関に関する届出

  ※「技術・人文知識・国際業務」は、特定の職場に紐づけされた資格ではないので、新たな職場でも同じ在留資格で活動する場合は、「所属(活動)機関に関する届出(入・退社時)」を最寄りの地方出入国在留管理局に提出するだけでよいです。

「特定活動46号」の人を中途採用する場合の手続き

   ◎在留資格変更許可申請

   ◎所属(活動)機関に関する届出

  ※特定活動46号は、所属機関に紐づけされた許可ですので、特定活動46号の活動範囲で就労する場合でも、転職する場合は、新たな企業から「在留資格変更許可申請」を提出し、改めて在留資格を取得し直すことが必要となります。

海外にいる外国人を呼び寄せて採用する場合の手続き

   ◎在留資格認定証明書交付申請法務省HP

  ※海外から日本に呼び寄せて、新らしく日本で就職する場合には、入国前に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。このとき、本人は海外にいるので、就職先の企業が代理で申請することが通常です。申請が処理される標準処理期間は1~3か月程度ですから、余裕をもったスケジューリングが望ましいです。この手続きが終了後に、本人が当該国の在留日本国領事館で、査証(ビザ)を取得することになります。

 就労ビザを円滑に取得するには、在留資格と実際に行う仕事の内容が一致し、取得条件が満たされていることが必要です。自社でも書類を揃えることは十分に可能かと思いますが、取得条件や手続きで、不安がある場合は、入管業務・国際業務を扱っている弁護士・行政書士等の専門家に事前にご相談されるのがよいと思われます。

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在留資格該当性と上陸基準適合性の違い https://mnakamura.net/archives/1285
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