在留カードで在留資格の確認

 外国人が、日本で就労資格を持っているかどうかは、在留カードで確認できます。在留資格を持って中期在留する外国人に、透かしが入った偽造防止のICチップが搭載された在留カードが交付されます。外国人は、これを常時、携帯する義務があります。

 在留カードは,中長期在留者に対し,上陸許可や在留資格の変更許可,在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるものです。

 在留カードには,偽変造防止のためのICチップが搭載されており,カード面に記載された事項の全部又は一部が記録されます。

【在留資格の記載内容】

 在留カードには,氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地,在留資格,在留期間,就労の可否など,法務大臣が把握する情報の重要部分が記載されています。

 

【ポイント1 在留カード表面の就労資格の確認】

 外国人を雇用する場合、在留カードの表面の「就労制限の有無」欄を確認します。雇用の際には、このカード表面の「就労制限の有無」と「在留資格の活動内容」を必ず確認します。「就労制限なし」の記載がある場合は、就労内容に制限はありません。

 

【ポイント2 就労不可の場合】

 在留カードの表面の「就労制限の有無」欄が、「就労不可」とある場合は、原則は雇用できませんが、裏面の「資格外活動許可」の欄を確認します。許可があれば、許可内容が記載されています。就労時間や就労内容に制限があるので注意が必要です。

※ 一部就労制限がある場合⇒制限内容を確認してください。次のいずれかの記載があります。
 ①「在留資格に基づく就労活動のみ可」
 ②「指定書により指定された就労活動のみ可」
 (在留資格「特定活動」)
 ※②については法務大臣が個々に指定した活動等が記載された
 指定書を確認してください。

【ポイント3 指定書と記載されている場合】

  外国人の在留資格は仕事のカテゴリーによって20種類以上にも分かれます。これらのいずれにも該当しないものは特定活動といい、法務大臣が個々の外国人に対して指定している特定の活動を指します。

 特定活動は、基本的に終了前提でないので、就労できるかどうかは特定活動の指定書に「就労」できる旨が記載されていることが必要です。特定活動の在留資格を持っていても、必ず全員が就労できるということではないことに注意しないと、不法就労となるリスクがあります。したがって、特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する場合は、特定活動の「指定書」の確認が必要になります。

 なお、指定活動では、就労できない場合に就労するには、資格外許可が必要になります。

【就労資格証明書】

 就労資格証明書とは,我が国に在留する外国人からの申請に基づき,その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(以下「就労活動」といいます。)を法務大臣が証明する文書です。

 外国人を雇用等しようとする者は,その外国人が我が国で就労する資格があるか否かについてあらかじめ確認したいと思いますし,他方,外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには,自分が就労できる在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。

 そのために、在留カードで判断するわけですが、具体的にどのような活動が認められているかについては,入管法の別表に記載されている各種の在留資格に対応する活動を参照しないと判然としない場合もあります。そこで,入管法は,雇用主等と外国人の双方の利便を図るため,外国人が希望する場合には,その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとし,雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるようにしました。

 ただし,外国人が我が国で就労活動を行うことができるか否かは,在留資格の種類又は資格外活動許可の有無によって決定されるものであるため,就労資格証明書自体は外国人が就労活動を行うための許可書ではありませんし,これがなければ外国人が就労活動を行うことができないというものでもありません。

 なお,この就労資格証明書を提示しないことにより,雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない旨が入管法第19条の2第2項に規定されています。

【まとめ】

 外国人を適正に雇用するためには、就労を希望する外国人が就労できるか否かを最初に判断することが必要です。そのためには、在留カードに記載された就労制限の有無や資格外活動の有無または、就労資格証明書により判断できます。

外国人を雇用しようとする際に,当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても,在留カードを確認していない等の過失がある場合には,不老就労助長罪に問われる可能性もありますので、注意が必要です。

 在留カードの確認方法については、法務省HPも参考になります。

参考 出入国在留管理庁HP  就労資格証明書