在留資格 転職時の届出について/杉並区の行政書士が解説

就労可能な在留資格を持っている外国人が勤務先を変わったときには、入管法に定める「所属機関等に関する届出手続」が必要です。これは申請でなく、単なる事実の届出ですが、つい忘れがちです。しかしこの届出を忘れると、次の在留期間更新許可申請の際に、短い期間しか認められないなどの不利益が発生する可能性があります。杉並区の行政書士が解説します。

所属機関等に関する届出手続

在留資格ごとの届出

中長期在留者の外国人の方は、雇用関係や婚姻関係などの社会的関係が在留資格の基礎となっているため、次のとおり、その社会的関係に変更が生じた場合には、その内容を出入国在留管理庁長官に届け出なければなりません。

届出が必要な在留資格と届出内容
届出が必要な在留資格 手続き名

どんなとき 届出
期間
届出
方法
教授,高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,教育,企業内転勤,技能実習,留学,研修, 所属(活動)機関に関する届出 〇所属機関(雇用先・教育機関など)が名称変更,所在地変更,消滅(倒産など)した場合
〇所属機関からの離脱・契約の終了(退職・卒業・退学など)をした場合
〇別の所属機関に移籍・新たな契約の締結(入社・入学など)をした場合
事由が生じてから14日以内 ⓵オンライン
②書面を窓口に持参
③郵送
研究,技術・人文知識・国際業務,介護,興行,技能,特定技能 所属(契約)機関に関する届出
家族滞在,日本人の配偶者等,永住者の配偶者等(配偶者として在留資格をもって滞在している方に限る。) 配偶者に関する届出 配偶者と離婚または死別した場合
派遣社員の場合

外国人本人が派遣社員の場合は、やや複雑です。

1)所属(活動)機関に関する届出対象(入管法第19条の16第1号)の在留資格者

活動機関は、派遣先であって派遣元です。したがって、派遣先の異動に関する届出が必要となります。例えば、外国人がA派遣会社と契約した時点では届出は不要ですが、その後派遣先が決定し活動した以降は、届出が必要です。これは、派遣の形態にかかわりません。

2)所属(契約)機関に関する届出対象(入管法第19条の16第2号)の在留資格者

この場合、派遣の形態が、常用型派遣(派遣会社と無期限の契約締結)であれば、派遣元との契約締結時には、届出が必要ですが、個々の派遣先での活動に関しては、契約変更がないので届け出は不要です。

一方、登録型派遣(派遣会社に登録し、派遣先となる会社と派遣会社間の派遣契約で定められた期間の雇用契約(有期雇用)を派遣会社と結ぶ方法)の場合は、個々の派遣先ごとに雇用契約が結ばれるので、その都度、届出が必要です。

手続き根拠と罰則

外国人本人の届出は、入管法で義務となっています。違反した場合は、20万円以下の罰金です。

・義務規定⇒所属(活動)機関に関する届出(入管法第19条の16第1号)、所属(契約)機関に関する届出(同第19条の16第2号)、配偶者に関する届出(同第19条の16第3号)
・罰則規定⇒同第71条の5

受入れ会社側も届出が要請されている

以上のように、所属機関に関する届出義務者は外国人本人です。

しかしながら、入管法上、外国人を受け入れる会社や機関に受け入れ(入社時)や退職時の届出義務はないのですが、出入国在留管理庁では、届出に協力するように要請をしています。届出を行わなかったとしても、刑罰を科せられることはありませんが、所属している外国人の方々の在留期間更新等の許可申請時に事実関係の確認を行うなど審査を慎重に行うことがありますとされています。

【出入国在留管理庁の要請】

「届出に御協力いただきたい所属機関は、「教授」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「留学」又は「研修」の在留資格を有する中長期在留者を受け入れている機関のうち、労働施策総合推進法の規定に基づいて外国人の雇用状況を届け出なければならない事業主を除く機関です。

届出事項は、受入れの状況や受け入れている中長期在留者の氏名等です。例えば、留学生を受け入れている大学や日本語学校など外国人に教育を行う機関には、中長期在留者の身分事項や入学、卒業、退学、除籍及び在籍の事実等を届け出るよう努めていただきます。

届出を行わなかったとしても、刑罰を科せられることはありませんが、所属している外国人の方々の在留期間更新等の許可申請時に事実関係の確認を行うなど審査を慎重に行うことがあります。」
(出入国在留管理庁 よくあるQ&A106 https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_4_q-and-a_page3.html#q104-a)

ということですので、会社としても届出に協力をすることが望ましいと言えます。

出典 出入国在留管理庁HP
所属機関等に関する届出手続 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokunikansuru_00001.html
所属機関による届け出 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokutodokede_00001.html

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