家族滞在ビザ 留学生でも妻や子と日本で滞在できるの?

家族滞在の在留資格(以下、「家族滞在ビザ」と言います)は、技術・人文・国際業務や留学生などの一定の在留資格を持っている在留外国人の扶養家族を受け入れるための在留資格です。

日本の在留資格制度では、外国人留学生でも、仕送りや奨学金などで扶養能力を証明できれば、配偶者や子供を家族滞在ビザで呼び寄せて一緒に暮らすことは可能です。

難しく言うと、家族滞在ビザは、「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」の2つの基準をクリアーする必要があります。このブログでは、まずは簡単に家族滞在ビザのポイントをご紹介します。

家族滞在ビザの要件

イメージを妻得るように記載すると、家族滞在ビザの要件は以下のようなものです。

日本で就労ビザや学生ビザを取得している方の扶養を受けている配偶者や子供が対象

扶養を受けるとは、原則として夫婦が同居し経済的に相手に依存しており、子供は監護・養育を受ける状態にあること

20歳以上の子供でも親の扶養を受けていれば家族滞在ビザに含む

配偶者や子供が一定の収入を得るようになった場合には他のビザへの変更申請が必要

配偶者とは現在婚姻中の者をいい、内縁の妻、夫、婚約者などは対象外

細かい話(読み飛ばしてOKです)

ここからは、細かい話ですが、入管法では、家族滞在ビザを取得するには、下記の①在留資格該当性、②上陸基準の2つの基準をクリアすることが求められています。

⓵在留資格該当性(入管法別表第1の4の「家族滞在」の下欄に記載されています)

入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動

家族滞在の在留資格該当性
上記は入管法を分かりすく書きましたが、法律の表現は「一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用、特定技能(二の表の特定技能の項の下欄第一号に係るものに限る。)、技能実習及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」(入管法 別表第一 四)となってます。

家族滞在ビザ 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

入管法で「家族滞在」の定義をこのようにしているので、これを在留資格該当性と呼ぶのです。

 

⇒「例示された在留資格」で在留するものの「扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」ということです。ですので、父母や叔父叔母、孫などは対象外です。

⇒ 列挙された資格に「外交」「公用」「技能実習」などはないでので、これらの家族は「家族滞在ビザ」の対象外です。

②上陸基準 (入管法第七条第一項第二号の基準を定める省令)

日本の在留資格制度の仕組みでは、申請人の活動や身分が、在留資格の定義の該当(虚偽はダメです)することだけでは足りません。

「就労系の在留資格や留学・研修・家族滞在」については、「在留資格」に該当するだけでなく、「法務大臣が省令で定める基準」も満たす必要もあります。これを「上陸基準」と呼びます。

要するに、「在留資格に該当しても、上陸基準に該当しないので在留資格を与えないよ」ということがあるのですす。

この省令は「基準省令」と言われます(正式名称は「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)」)。

この省令で家族滞在については、以下のように規定しています。

◎家族滞在に関する基準省令の記載

活動 基準
法別表第一の四の表の家族滞在の項の下欄に掲げる活動 申請人が法別表第一の一の表若しくは二の表の上欄の在留資格、文化活動の在留資格又は留学の在留資格(この表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項第一号イ又はロに該当するものに限る。)をもって在留する者の扶養を受けて在留すること。

⇒ 「この表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項第一号イ又はロ」とは、次の記載のことを言っています。

◎留学に関する基準省令の記載

活動 基準
法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動 一 申請人が次のいずれかに該当していること。
イ 申請人が本邦の大学若しくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国において十二年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門学校に入学して教育を受けること(専ら夜間通学して又は通信により教育を受ける場合を除く。)。

ロ 申請人が本邦の大学に入学して、当該大学の夜間において授業を行う大学院の研究科(当該大学が当該研究科において教育を受ける外国人の出席状況及び法第十九条第一項の規定の遵守状況を十分に管理する体制を整備している場合に限る。)において専ら夜間通学して教育を受けること。
 

ハ 申請人が本邦の高等学校(定時制を除き、中等教育学校の後期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関に入学して教育を受けること(専ら夜間通学して又は通信により教育を受ける場合を除く。)。以下略

⇒ つまり、扶養者が高等学校に通う留学生の場合は、その配偶者などは「留学生の配偶者」なので「在留資格該当性」はあるのですが、基準省令(上陸基準)ではじかれるということです。

留学生が配偶者を呼び寄せる場合の注意点

上記のうち、留学生が配偶者などの扶養家族を呼び寄せる場合は、扶養者である留学生に経費支弁能力があるかどうかが大きな問題です。

留学生はアルバイトしか就労が認められておらず、収入面が安定しない

そのため、ビザ取得が非常に難しくなる場合がある

留学生が配偶者を呼び寄せる場合、扶養者の収入や就労状況がビザ取得の可否に大きく影響します。そのため、事前に十分な準備をして申請を行うことが重要です。

なお、留学で在留するものの家族の入国審査(=在留資格認定証明書交付申請)では、留学生は原則として働けないので、扶養者の扶養能力は厳しめに審査されますが、既に在留している家族からの申請は、扶養者と被扶養者の在留状況を斟酌して柔軟に審査されるようです。

留学生の扶養能力判定の具体例
扶養能力⇒ 一定金額の基準はないが、扶養者の地域の生活保護給付額が目安として、入国当初1年間の生活費を賄える程度の能力を有しているかがポイント。
資産⇒・経費支弁できる資産は「扶養能力」と言える。例えば、扶養者・被扶養者が資格外活動許可の範囲のアルバイトで得た預貯金などが証拠で示せればプラス。
第三者による支援⇒援助の経緯など安定的かつ継続的に見込まれれば評価される。
奨学金⇒奨学金給付に関する証明書があればプラス。

配偶者または子供の呼び寄せの注意点

家族滞在ビザでは、「経済的に独立している配偶者または子供」としての活動は対象外です。

扶養者の子供が未成年でも、18歳に近づくにつれ、日本で行う活動目的が「扶養を受ける子として行う日常的な活動」ではなく、「就労目的」と認定されやすくなります。

また、扶養者が配偶者や子を後から呼び寄せる場合は、今までなぜ本国で生活できていたのか、誰が子供を養育・監護していたのか、今回どうして日本に呼び寄せるのか、何か事情が変わったのかなどを、合理的に説明する必要があります。

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