外国人雇用の基礎知識 就労資格の4タイプ /杉並区の行政書士が解説

 日本に滞在する外国人は、何らかの資格(在留資格)基づき滞在しています。一つの在留資格にはひとつの在留期間が対応しています。そして資格ごとに、日本で可能な活動は制限されています。在留資格は入管法に規定されていますが、就労可能性という視点で4つに分けてみるとわかりやすいと思います。

在留資格に関する理解が重要です。

 2020年はコロナの登場で、それまでのインバウンド需要の高まりは一服し、当面は厳しい環境が続くと思われます。しかし、2019年末現在で、日本には約300万人の外国人が在留しており、外国人は今後の日本の社会の中で活躍の場を広げていくものと思います。中小企業が優秀な外国人人材を雇用し、事業の継続的な発展を図るという選択肢は、今後とも魅力的なものだと思われます。

 

http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

中小企業が外国人雇用を検討する際には、現地に行き外国人採用を行うよりは、すでに在留資格を持って日本で活動中の約300万人の外国人に目を向けたほうが良いと思われます。このためにも、在留資格に関する理解が重要です。

在留資格とは、外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができること、または、一定の身分や地位を有する者としての活動を行うことができることを示す、『入管法上の法的な資格』のことです。在留資格には就労関係と身分関係のものがあり、全部で35種類です。

  ◎最新在留資格 http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.html

就労が認められる在留資格 

  就労を目的としている外国人が取得できる資格のことです。原則、最長5年で更新可能です。外交、公用に始まり、日本の経済社会の活性化につながる専門的・技術的分野において、業務内容ごとにたくさんの在留資格があります。最多は技術・人文知識・国際業務(技人国)で、2019年12月現在で、全国で272千人となっています。

全ての外国人は現在働いている会社で働いているものとして登録されています(就業先と紐づけされています)ので、転職した時には転職したということを届け出る義務があります。このため、転職した日から14日以内に、契約機関(所属する会社のこと)が変わったことを出入国在留管理局に知らせるために「契約機関に関する届出」を出す必要があります(※)。

 ※該当HP http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyukanri/shozokunikansuru.html

 

就労が認められない在留資格

 仕事をして報酬を受け取る以外の目的(文化活動、留学、研修や家族滞在など)で在留することができますが、その目的からしてその資格に基づいて就労することはできません。しかし「資格外活動許可」を申請し取得すれば、、一定の条件付きで就労ができます。

 留学生がコンビニでアルバイトしているケースがこれに当たります。資格外活動許可を受けている場合は、パスポートの許可証印又は「資格外活動許可書」が交付されていますので、それを確認してください。留学生については、一般的に、アルバイト先が風俗営業又は風俗関係営業が含まれている営業所に係る場所でないことを条件に、1週28時間以内を限度として勤務先や時間帯を特定することなく、包括的な資格外活動許可が与えられます(当該教育機関の長期休業期間にあっては、1日8時間以内)。なお、資格外活動の許可を受けずにアルバイトに従事した場合は、不法就労となりますのでご注意下さい(※)。

(※)東京労働局HP https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/gaikokujinkoyou.html

身分・地位に基づく在留資格

 定住者(主として日系人)、特別永住者(入管法の整備以前から日本に住んでいる外国人)、日本人の配偶者、永住者、永住者の配偶者らが持つ資格です。永住者は在留資格が無期限です。それ以外は最長5年で更新可能です。日本人と同じように自由に働くことができます。

なお、特別永住者は、上記の図にある入管法によって定められた在留資格ではなく、1991年(平成3年)11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に定められた在留資格です。

 特別永住者証明書の交付申請をして法務大臣から許可された人を、特別永住者といいますが、2019年12月現在では、特別永住者の方の人数は、312,501人となっています。

国籍(総数と上位) 特別永住者
総数              312,501
韓国                   281,266
朝鮮                    27,543
台湾                      1,141
米国                         826
中国                         825
オーストラリア                         150
カナダ                         120
フランス                          98
無国籍                     93
英国                          91
2019年12月の特別永住者の国籍別統計(上位のみ)

就労の可否は指定される活動による在留資格

 今までご説明した1~3に当てはまらない活動資格です。EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補・ワーキングホリデーなど、49の項目で活動が認められている資格です。

 2019年に創設された特定活動資格46号(日本の大学を卒業し、日本語能力試験でN1以をもつ外国人による柔軟な就労活動)もここに含まれます。

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