外国人高度人材を地方に呼び込むために・・ /杉並区の行政書士が解説

高度専門職は在留資格の一つです。これは、外国人が「研究分野」、「自然科学・人文科学に関わる仕事」、「経営分野」において日本で活動する場合に、学歴や年収等をあらかじめ示された基準をもとにポイント計算し、その点数が70点以上の場合には、高度専門職という優遇された在留資格の取得を申請できるというものです。

「2040年、日本の外国人労働者数は需要に対して42万人不足する・・・」という推計が発表されています(下記のJICA発表)。

このような中、2022年7月18日の日経新聞で、「政府は地方の企業で就労実績がある高度人材を優遇し永住権などを得やすくする制度改正に乗り出す。」との報道がありました。具体的には、「高度人材ポイント制」を2022年度中に改める。方向とのことです。

今後も不足する外国人労働者

「外国人労働者」は、今や日本を支える仲間・同僚として欠かせない存在です。外国人という一般的な呼称も問題視されているくらいです。

国際協力機構(JICA)の最近のレポートでは、以下の2点が強調されました。

①2030年の日本において、外国人労働者は需要に対して63万人不足する

②9都県において、生産年齢人口に占める外国人労働者の割合が10%を超える

今後益々、各地域で、外国人は社会を共に作っていく仲間としての認識が深まり、地域が多文化共生の社会になっていくのではないでしょうか。

高度人材ポイント制の見直しの動きとは

まず、高度人材ポイント制を復習します。

これは、高度専門職である外国人を、一定の方法でポイント計算し、その結果、高度外国人材と認定されれば出入国管理上の優遇措置を受けることができる仕組みです。

■外国人高度人材のイメージ

「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」であり、「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とされています。(平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書)

こんな人材なら、たしかに国籍に関わらず欲しい人材ですね。

■高度人材ポイント制

高度専門職という在留資格は、外国人が「研究分野」、「自然科学・人文科学に関わる仕事」、「経営分野」において日本で活動する場合に、当該外国人の学歴や年収等をあらかじめ示された基準をもとにポイント計算し、その点数が70点以上の場合には、高度専門職という優遇された在留資格の取得を申請できるというものです。

高度専門職は1号と2号に分かれていますが、最初に取得できるのは1号です。「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていた方が対象になります。

■ 出入国在留管理上の優遇措置の内容

【「高度専門職1号」の場合】
1. 複合的な在留活動の許容
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 配偶者の就労
5. 一定の条件の下での親の帯同
6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
7. 入国・在留手続の優先処理

【「高度専門職2号」の場合】

a. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
b. 在留期間が無期限となる
c. 上記3から6までの優遇措置が受けられる

■ポイント計算

ポイント制における評価項目と配点は、法務省令で規定しています。現時点のポイント計算表は添付の通りです。出所⇒ 法務省入国管理局「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」

就労の在留資格に関する要件(在留資格該当性・上陸許可基準適合性)を満たす者の中から高度外国人材を認定する仕組みとし,在留資格「高度専門職」が付与されます。

高度人材ポイント制の見直しの方向は・・・

高度人材ポイント制は、従来も、条件や優遇措置はたびたび改定され緩和されてきました。

【過去の見直し】

特に、平成29年の見直しでは、高度外国人材の永住許可申請に必要な在留期間を、70点以上のポイントの人材は5年⇒3年、80点以上のポイントの人材は、5年⇒1年に短縮しています。

今回、報道された、更なる見直しはどのようなものか、注目されます。

注 【参考サイト】

独立行政法人国際協力機構(JICA)

日本が選ばれる国になるために。外国人との共生社会のあり方

「2030/40年の外国人との共生社会実現に向けた取り組み」調査・研究報告書

出入国在留管理庁「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」

https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_index.html

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