高度専門職は、「技術・人文知識」「経営・管理」「研究・教育」のゴールドカードと考えるとわかりやすいと思います。
「技術・人文知識」の方が、「高度人材ポイント」計算表で70ポイント以上取得できれば、在留資格が「技術・人文知識」から「高度専門職1号(ロ)」に格上げされるということです。
そして、高度専門職に認定されると出入国管理措置上さまざまな優遇措置を得ることができます。
高度専門職の定義
「高度専門職」の在留資格は、外国人が日本で高度な専門知識や技能を生かして働くことを目的とした在留資格で、特定の基準に基づいてポイント制が採用されています。主に「学歴」「職歴」「年収」「年齢」などの項目でポイントが加算され、一定のポイント(70点以上)を超えると申請資格を得られます。
この資格には以下の3つの区分があり、それぞれの活動内容が異なります:
- 高度学術研究活動(高度専門職1号イ):大学教授、研究者、技術開発者などが対象。
- 高度専門・技術活動(高度専門職1号ロ):エンジニア、IT専門家、建築家、科学技術分野の専門家が対象。
- 高度経営・管理活動(高度専門職1号ハ):企業の経営者や管理者、企業を支える高度な経営活動を行う人が対象。
高度専門職の法令上の根拠高度専門職の基準は、入管法で厚生省令で定めることとなっており、その省令は「平成二十六年法務省令第三十七号 出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令」となっています。
出入国在留管理上の優遇措置の内容
「高度専門職1号」の場合 | 「高度専門職2号」の場合 |
1. 複合的な在留活動の許容 2. 在留期間「5年」の付与 3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和 4. 配偶者の就労 5. 一定の条件の下での親の帯同 6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同 7. 入国・在留手続の優先処理 |
a. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる b. 在留期間が無期限となる c. 左記3から6までの優遇措置が受けられる※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていた方が対象になります。 |
法令上の位置づけ
就労の在留資格に関する要件(在留資格該当性・上陸許可基準適合性)を満たす者の中から高度外国人材を認定する仕組みとなっています。
例えば、技術・人文知識・国際業務(ただし国際分野のかたは対象外)の資格の方が、高度人材ポイント70点以上が確認できれば、在留資格変更申請により、あらたに在留資格「高度専門職」が付与されます。
また、ポイント制の、評価項目と配点は、法務省令で規定しています。
※最新のポイント評価の計算用エクセルはこちら(出典 出入国在留管理庁) ⇒ ポイント計算
高度人材ポイントの計算表
上記の計算表で70点以上が合格ラインです。代表的な得点源は「学歴」「職歴」「年収」「日本語能力」です。下記は、代表的な項目と点数(ポイント)です(技術・人文知識の場合)。
例えば、技術・人文知識の資格の49歳の方が、大卒の学士号があり(→10点)、在職期間が10年以上(→20点)、年収が1000万円(→40点)、日本語検定1級(→15点)で、合計85点とれますので、高度専門職1号(ロ)に申請が視野に入ります。
学歴
・経営学修士(MBA) 25点
・修士 20点
・学士 10点
職歴
・10年以上 20点
・ 7年以上 15点
・ 5年以上 10点
・ 3年以上 5点
年収 (40歳以上の場合)
・1000万円以上 40点
・900万円以上 35点
・800万円以上 30点
日本語能力
・日本語能力試験N1取得者 15点
・日本語能力試験N2取得者 10点
詳細(抜粋)は下の図のとおりです。
⇒ ポイント計算の全体像はこちら高度人材ポイント表
高度専門職の年収とは
年収は、省令では「受ける報酬の年額の合計」とされています。そして、報酬は、出入国在留管理庁のQ&Aによれば、次のとおりです。
- 「Q7 「報酬」にはどのような名目による支給が含まれますか?例えば、超過勤務手当はポイント計算のための報酬に含まれますか?
「報酬」とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」をいい、基本給のほか、勤勉手当、調整手当等が含まれます。
通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものを除く。)は含まれません。 超過勤務手当は、一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付ですが、入国時点においてどの程度の超過勤務が生ずるかは不確かであることから、ポイント計算の「報酬」には含まれません。
また、在留期間更新の場合も、ポイント計算の「報酬」は予定年収に基づいて判断するので、過去に支給された「超過勤務手当」は含まれません。Q8 「報酬」にはボーナスは含まれますか?
「報酬」とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」をいい、いわゆるボーナス(賞与)は「報酬」に含まれます。」
上記より、在留資格認定の場合、ポイント計算の「報酬」は予定年収に基づいて判断されることはよく理解できます。しかし、在留資格変更の場合どうするのかという疑問へのぴったりした説明は見当たりません。
年収の疎明責任は申請者にありますので、在留資格変更の場合、過去の年収は証明しやすいですが、今後の年収については、やはり在留資格認定同様、予定年収を雇用主に証明してもらうことが望ましい考えられます。
参考 「高度人材ポイント制とは?」高度人材ポイント制Q&A(出入国在留管理庁)