日本に滞在するためには、ビザと在留資格が必要です。これらは異なる役割を果たし、異なる政府機関によって管轄されています。本記事では、ビザと在留資格の違いや、それぞれの役割、さらに具体的な手続きについて解説します。
ビザと在留資格の違い
ビザと在留資格は混同されがちですが、実際には異なる概念です。
- ビザ:日本への入国を許可する証明書で、外務省が発行します。ビザは外国の日本大使館や領事館で取得します。入国時に必要となり、その後に使用することはありません。
- 在留資格:日本に滞在し、活動するための資格で、法務省(出入国在留管理庁)が管理します。在留資格を持つことで、特定の活動(例えば、就労や学業)が可能となります。在留資格は日本での滞在を許されているという資格ですから、外国人が日本に留まっている期間は、ずっと必要となります。
つまり、わかりやすく言えば、ビザは「入国許可証」、在留資格は有効期限のある「滞在許可証」です。この二つの手続きをつなぐのが、下記に触れる「在留資格認定証明書(COE)」です。なお、ビザの管轄は外務省、在留資格の管轄は法務省(出入国在留管理庁)です。
ビザ(外務省)とは
ビザは外国人が日本に入国する際に必要な許可証です。日本の大使館や領事館が申請を受け付け、審査を行います。ビザには以下の種類があります。
- 短期滞在ビザ:観光や短期の商用目的など
- 就労ビザ:企業や団体での勤務
- 留学ビザ:日本の教育機関での学業
- 配偶者ビザ:日本人や永住者の配偶者
ビザの取得手続き
- 申請書の提出:必要な書類を揃え、最寄りの日本大使館や領事館に提出します。
- 審査:外務省が書類を審査し、申請者の背景や目的を確認します。
- ビザの発行:審査が通れば、ビザが発行されます。
ビザの特例
- 特別高度人材ビザ:高度なスキルを持つ専門家に対して発行される特別なビザ。
- 未来創造人材ビザ:日本の未来創造に貢献する人材に対して発行される。
- デジタルノマドビザ:デジタル技術を活用し、リモートワークを行う人に対して発行される。
短期滞在ビザの詳細
短期滞在ビザは、観光、親族・知人訪問、短期の商用活動を目的とする滞在に対して発行されます。このビザは最長90日間の滞在を許可し、日本国内での就労は認められません。ビザの申請には、滞在予定表、経済的基盤を示す書類、滞在目的に応じた招待状や保証書などが必要です。
短期滞在ビザは、ビザ免除国とビザ必要国に分かれます。ビザ免除国の国民は、観光や短期の商用目的でビザなしで日本に入国できます。一方、ビザ必要国の国民は、入国前にビザを取得する必要があります。具体的な国の一覧については、外務省の公式ウェブサイトを参照してください(下記はイメージです)。
ビザと上陸許可
ビザは、外国人が日本に入国するための必要条件の一つですが、入国を保証するものではありません。日本に到着した際には、入国審査官が「上陸許可」を与えるための審査を行います。上陸許可には在留資格や在留期間が明記され、これが外国人の日本滞在の根拠となります。
詳細な情報
詳細な情報や手続きの詳細については外務省HP、ビザ制度をご覧ください。
在留資格(出入国在留管理庁)とは
在留資格は、日本に滞在する目的や活動内容に基づいて付与される資格です。法務省の出入国在留管理庁が管轄しています。代表的な在留資格には、以下のような種類があります。
在留資格は、日本に滞在し活動するための資格で、法務省の出入国在留管理庁が管理しています。在留資格は、大きく分けて「居住資格」と「活動資格」に分類され、全部で29種類あります。
居住資格
居住資格は、身分や地位に基づくもので、比較的自由に活動できます。
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者や子・特別養子
- 永住者の配偶者や子
活動資格
活動資格は、就労や特定の活動を行うためのもので、25種類あります。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
- 文化活動
- 短期滞在
- 留学
- 研修
- 家族滞在
- 特定活動
各在留資格の具体的な活動内容や在留期間については、出入国在留管理庁の在留資格一覧表をご覧ください 。
在留資格の更新とオンライン申請
在留資格は法務大臣の判断により更新が認められる場合があります。また、外交や短期滞在を除き、オンラインでの申請も可能です。初めて利用する場合は、新規利用者登録が必要です。
詳細な情報
在留資格の詳細な情報や必要書類については、出入国在留管理庁の公式ウェブサイトをご覧ください。
在留資格認定証明書とビザの関係
在留資格認定証明書(COE)は、日本で長期間滞在するための在留資格を取得するために必要な証明書です。COEを取得した後に、ビザを申請します。このプロセスは以下のようになります。
- 在留資格認定証明書の申請:日本の受け入れ先が法務省に申請します。
- 在留資格認定証明書の発行:法務省からCOEが発行されます。
- ビザの申請:COEを持って、海外の日本大使館や領事館でビザを申請します。
- ビザの取得:ビザが発行され、日本に入国できます。
詳しくは→https://mnakamura.net/archives/1256
相談窓口
ビザや在留資格についての相談は、以下の機関で受け付けています。
- 外務省:日本大使館や領事館でビザの申請・相談を受け付けています。https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/index.html
- 出入国在留管理庁:在留資格の申請や変更についての相談が可能です。https://www.moj.go.jp/isa/applications/index.html
また、ビザや在留資格でお困りの場合は、行政書士に問いあわせてアドバイスを受けることも可能です。