甥姪の相続 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

お子様のいない一人暮らしの高齢者の相続人は、通常は、存命の兄弟姉妹か甥姪となります。このとき、お亡くなりになった方の銀行預金を解約するためには、多くの手続きが必要となります。銀行ごとに、集める書類が違うことがありますので、予め各銀行のホームページなどで、必要種類を確認しておきましょう。

相続発生時の大まかな流れ

相続発生後の大まかな流れは以下のようなものです。

銀行預金については、相続が発生したことは銀行は独自にはわかりませんので、相続人が銀行に通知した時から、口座が凍結されることになります。

預金の相続手続きに期限はありませんが、あまり時間を置くと、さらに相続人の方が亡くなったりする可能性もあり、関係が複雑になりますので、早めの手配が求められます。

葬祭・家事 色々な手続、届出など 銀行手続き
1ヵ月以内
  • 通夜・告別式
  • 死亡届
  • 初七日(仏式)
  • 十日祭(神式)
  • 追悼ミサ(カトリック)
  • 召天記念日(プロテスタント)
  • 保険などの手続き
    • 国民年金切替
    • 社会保険などへの埋葬料の請求
    • 健康保険の切替
    • 生命保険の請求

    など

  • 遺言書の検認手続
  • 相続発生のご連絡

 

3ヵ月以内
  • 香典返し
  • 四十九日法要(仏式)
  • 五十日祭(神式)
  • 遺産・債務の把握
  • 相続人の確認
  • 相続の放棄または限定承認
  • 書類のご準備
  • 当銀行宛て書類のご提出

 

4ヵ月以内
  • 納骨式
  • 所得税の申告・納付(準確定申告)
10ヵ月以内
  • 遺産分割協議、協議書作成
  • 不動産の所有権移転登記など
  • 相続税の申告・納付

 

銀行預金の相続手続きに必要な書類は、遺言の有無で大きく異なる

銀行予預金を引き出すには、遺言書の有無で手続きが異なります。特にお子様のいない高齢者の場合、親御さんは通常亡くなっていますので、相続人は兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供つまり、甥や姪)となります。

例えば、5人兄弟で、このうち2人の兄弟が亡くなっていて、その兄弟には合計4人の子供がいた場合、相続人は6名となります。昔は兄弟が多い方が多いので、もっと相続人が多い場合もあるでしょう。

もし、遺言書が無い場合、この6名の相続人が協議して、遺産分割協議書を合意し、銀行預金を相続する人を決めたうえで、その相続人は、他の相続人の戸籍を集めて銀行に行く必要があります。

仮に、遺言書があり、遺言どおりに遺産分割する場合は、相続人全員の戸籍は不要となる銀行が多くなります(銀行ごとに必要っ書類は違うので、事前確認は必要です)。

相続人が多い場合、戸籍集めは大変です。

そもそも、甥姪の世代が相続人となる場合m相続人が誰なのかわからないとか、相続人同士の面識がない、連絡が取れないなど・・もあります。

具体的には

全国銀行協会のホームページによれば、預金の相続手続きでの必要書類は以下の通りです。(引用 https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7705/

ボックス内は、当事務所のコメントです。

(1)遺言書がある場合

遺言書がある場合の相続の手続には、次の書類が必要となります。なお、遺言相続の場合、「遺言書」の内容に応じ、手続や必要となる書類が異なります。遺言書および遺言書の検認を確認できる書類がご用意できた段階で、お取引金融機関にご相談ください。

①遺言書
②検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
③被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの)
④その預金を相続される方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
⑤遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)

コメント

① 自筆証書遺言でもOKです。
② 自筆証書遺言保管制度を使う場合は検認不要です。
③ 遺言執行者による請求以外は、原則、相続される方全員の印鑑登録証明書が必要です。
  相続人や受遺者の1人が、代表してほかの相続人や受遺者の手続も行う場合、代表者だけではなく、すべての方の印鑑登録証明書が必要です。印章はどこでも手に入れられるものなので、それぞれの方のご印鑑だと第三者によって証明される必要があるからです。

このように、遺言書を作成する場合、相続人のうちだれかを遺言執行者としておいた方が、集める書類は少なくて済みます。

 

遺言書がない場合

(2)遺産分割協議書がある場合

遺産分割協議書がある場合の相続の手続には、概ね次の書類が必要となります。

〇遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
〇被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
〇相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
〇相続人全員の印鑑証明書

(3)遺産分割協議書がない場合

遺産分割協議書・遺言書がない場合の相続の手続には、概ね以下の書類が必要となります。

〇被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
〇相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
〇相続人全員の印鑑証明書

コメント

新設された民法909条の2により、各相続人は、相続預金のうち、口座ごと(定期預金の場合は明細ごと)に以下の計算式で求められる額については、家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から単独で払戻しを受けることができるようになりました。

単独で払戻しができる額 = 相続開始時の預金額(注)×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分
(注)口座・明細ごとに計算します。

ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)からの払戻しは150万円が上限になります。

参考コラム ⇒ 相続開始⇒預金口座凍結⇒さあどうする

まとめ

子供のいない高齢者の場合、兄弟も高齢ですので、死後の事務手続きや相続は近くに住む甥や姪を頼るということが多くなっています。上に述べたたように、銀行預金一つとっても、死後の引き出し手続きは複雑です。また、銀行預金がどこにあるのかなどの情報も、予めしっかり共有しておかないと、残された方の負担が大きなものとなります。

自筆証書保管制度ができたことで、ずいぶん遺言は作成のハードルが下がりました。また遺言はいつでも書き換えが出きます。

ぜひ、「とりあえず遺言」という軽い気持ちで作成ください。また、遺言執行者を決めておくことで、遺言の内容を実現する手続きはより簡単で確実となりますので、ご検討ください。

【関連コラム】遺言執行者とは
民法改正 遺言執行者の権限明確化とは
相続法の改正と遺言書保管法の制定
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