出生から死亡までの戸籍謄本 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

親族が亡くなると、銀行預金や不動産の相続登記などの相続手続きが必要となります。一般的に、相続手続きには、相続人を確定するために、「死亡した方の出生から死亡までの戸籍謄本」が必要になります。

また、生前であっても、遺言書を作成し、相続人を指定する際も、遺言者と相続人の関係を明らかにする目的で、同様に、遺言者の出生から現在までの戸籍謄本が必要な場合があります。

本コラムでは、このような時の戸籍の取り方について、相続の場合を例にとって解説します。

出生から死亡までの戸籍謄本とは

出生の届出によって戸籍に記載され、死亡の届出によって戸籍から除かれるまでの間の戸籍すべてを「出生から死亡までの戸籍謄本」と言います。(遺言の場合は、「出生から現在までの戸籍謄本」となります。)

出生から死亡までの戸籍取り寄せは、1通の戸籍謄本で済むことは少ないです。また、いくつかの市町村にまたがっていることが普通です。

その理由は、①戸籍は原則として夫婦を単位に作成されるので、婚姻の届出によって新戸籍が作成されること(つまり、結婚すれば2通目の戸籍ができます)、②さらに離婚があれば、戸主以外の離婚者はその戸籍から出て、新たに戸籍を作ったり(出生⇒結婚⇒離婚で3通目)、元の戸籍に戻ったりすること、③本籍(戸籍の所在場所)は、日本国内であれば何回でも自由に変更(転籍)できることなどです。

出生から死亡までの戸籍謄本の取り方

【1】 死亡した方の最後の本籍地の市区町村で、「出生から死亡までの事項が記載されている交付可能なものすべて」の戸籍謄本を請求します。もし、本籍が分からない場合は、死亡した方の本籍地記載の住民票を取得し、本籍地を確認します。

「本籍地」は、「筆頭者」とセットで戸籍を特定するための目印です。戸籍法9条をご覧ください。「本籍地」を「千代田区千代田1-1(皇居の住所)」とする人も多いと言われるように、本籍地は住所とかかわりなく指定できます。

戸籍法
戸籍法第9条 戸籍は、その筆頭に記載した者の氏名及び本籍でこれを表示する。その者が戸籍から除かれた後も、同様である。

【2】 死亡した方が存命中に本籍地を変更した場合は、【1】の請求ではすべての戸籍謄本が揃わないことがあります。その場合は、【1】で入手した戸籍に記載されている旧本籍地(一つ前の本籍地)の市区町村に戸籍請求を行います。

【3】 【2】で入手した戸籍で、さらに本籍地の市区町村に異動があることが判明した場合は、同様に旧々本籍地の市区町村に、戸籍の請求を行います。

【4】 さらに遡る必要がある場合は、【3】の請求を繰り返します。このように、次々と時期を遡って旧本籍地へ戸籍謄本の請求を繰り返し、出生当時の戸籍まで入手できたら、出生から死亡までの戸籍謄本がすべて入手できたことになります。

旧本籍地の確認方法

他の市区町村から転籍している場合の確認方法

コンピュータ化後の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書・横書き)
⇒本籍、氏名(筆頭者)の下にある「戸籍事項」欄に「転籍」と記載がある場合、ひとつ前の戸籍は【従前本籍】に記載されているところとなります。
※同一市区町村内で転籍している場合は、新しく戸籍は編製されず、「戸籍事項」欄に転籍事項が記載されるだけとなります。

コンピュータ化前の戸籍謄本(改製原手書戸籍謄本・手書きかタイプライターの縦書き)
⇒本籍、氏名(筆頭者)の次の欄を確認(例)「平成○○年○月○日東京都世田谷区西船橋123番地より転籍…」なら、ひとつ前の戸籍は東京都世田谷区にあります。

婚姻、離婚等で本籍が変わっている場合の確認方法

コンピュータ化後の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書・横書き)
⇒本籍、氏名(筆頭者)の下にある「戸籍事項」欄に「戸籍編製」と記載がある場合、戸籍が必要な人の「身分事項」欄にある「婚姻」や「離婚」事項などに記載されている【従前戸籍】がひとつ前の戸籍の本籍、筆頭者となります。

コンピュータ化前の戸籍謄本(改製原手書戸籍謄本・手書きかタイプライターの縦書き)
⇒本籍、氏名(筆頭者)の次の欄に「昭和○○年○月○日編製」とある場合、戸籍が必要な人の名前の上の欄を確認(例)「昭和○○年○月○日○○○○(配偶者氏名)と婚姻届出東京都千代田区世田谷区西船橋…番□□□□(筆頭者氏名:父または母)戸籍から入籍」
この場合、ひとつ前の戸籍は東京都世田谷区の父母の戸籍となります。

(注)この項の記載は新潟県見附市のHPを参考にしました。見附市では、戸籍の見方の見本もPDFで添付しています。
https://www.city.mitsuke.niigata.jp/secure/20538/syutokurei.pdf

戸籍請求の方法

戸籍請求は、本籍地の市区町村の窓口で請求するか、郵送による請求です。申請方法や料金は、各市区町村のHPで事前に確認するか問い合わせをしておくことが有益です。

戸籍の請求ができるのは、原則として本人、直系親族、配偶者です(同一戸籍に入っている人以外は、これらの関係が分かる資料が必要です。)。

上記の人以外でも、次のいずれかに該当する方なら、戸籍を取ることができます。

① 自分の権利を行使したり、自分の義務を履行したりするために戸籍の証明書が必要な方
例:相続手続きが生じ、傍系血族(兄弟姉妹・おじ・おば・いとこ)の方が法定相続人になる場合
② 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある方
③ 戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある方

上記以外の場合は、ご本人の記載した委任状が必要です。

手数料

相続手続きで戸籍を市区町村に請求する際の手数料ですが、市区町村でも請求を受けてから戸籍を調べますので、結局、戸籍が全部で何通になるかは事前に分かりません。したがって、あらかじめ複数分の手数料を準備する必要があります。

特に郵送で請求する場合は、料金不足ですと、取得までの日数がかかってしまいますので、多め多めに定額小為替を同封しておくのが現実的です。

なお、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は1通450円、除籍全部事項証明書(全員が除籍となった戸籍)、改製原戸籍謄本、除籍謄本はそれぞれ1通750円です(各市区町村でご確認ください)。

最後に

長寿化が進んだ現在、人生の様々なイベントも多様化しています。その反映で、戸籍は複数の市区町村をまたぎ、また、何通にもなることが多くなっています。このため、相続が発生してから残された遺族が、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を調べて、取り揃えるのは大変で膨大な時間がかかることがあります。

自分が元気なうちから、自分の出生から現在に至る戸籍を揃え、相続人との関係を整理しておくというのも一考に値するかと思います。

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