上場株式の相続 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

誰もが経験するわけではない相続。特に上場株式の相続は、預貯金や不動産の相続とは異なる手続きが必要となります。上場株式を相続する手続きを解説します。

上場株式を相続する手続き

上場株式を相続する手続きは、以下の流れで行われます。

  1. 相続人確定
  2. 遺産分割協議
  3. 名義変更手続き
  4. 相続税の申告・納付

    相続人確定

    相続発生したら、まず相続人を確定しましょう。

    その方法ですが、まずは亡くなった人の死亡時の戸籍謄本を取得します。そして、それ以前の戸籍を置いていた自治体をつきとめて、戸籍謄本を取得します。

    これを繰り返して、最終的には、出生時の自治体の戸籍にたどり着くまで、全ての戸籍を取り寄せて、親兄弟(兄弟死亡の場合は、その子供や孫)などの相続人を見つけて、確定します。

    遺産分割協議

    相続人が複数いる場合、遺産分割協議により財産の分け方を決めます。そして、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。

    株式の分割方法

    相続人が複数いる場合、株式を遺産分割する必要があります。株式の分割方法は、以下の3種類があります。

    • 現物分割:株式を換金せずに株式のまま受け継ぐ方法。株式は不動産と違い、数で平等に分けることができるため、一般的な分割方法です。
    • 代償分割:株式を1人の相続人が相続し、他の相続人に代償金を支払う方法。相続による利益は、株式を相続した人と代償金を受け取った人で平等になります。
    • 換価分割:株式を売却して売却代金を相続人間で分ける方法。相続人全員が投資に関心がない場合などに適しています。

    具体的な分割方法は、相続人同士の話し合いで決めます。ただし、代償分割の場合は、遺産分割協議書に代償金を支払う旨を記載しないと、代償金を贈与とみなされるおそれがあります。

    名義変更手続き

    遺言または遺産分割協議で株式を相続する人が決まったら、証券会社で名義変更手続きをします。相続人名義の口座を開設し、必要書類を提出します。

    具体的な手続きは、証券会社ごとのホームページで確認してください。

    例として3大ネット証券会社の場合は、以下の通りです。

    「手続き書類は相続人代表者様(法定相続人の代表)にあたる方がご請求ください。」「資産の引き継ぎには、資産を引き継ぎされる方(相続人)の弊社口座が必要です。」という点は共通しています。

    また、各証券会社とも「法定相続一覧図」を相続人側で用意しておくと手続きが簡単になります。

    ◇SBI証券の相続手続き

    SBI証券 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

    ・移管について
    複数人で分割して相続をする場合は、法定相続人様全員のご署名・ご捺印のある「遺産分割協議書」をご提出いただき、その内容にしたがい各相続人様の当社証券口座へ資産を移管いたします。


    ◇マネックス証券の相続手続き

    マネックス証券の相続手続き 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

    ・移管について
    代表の方には相続資産をお引渡しするための口座を開設していただきます。
    被相続人様口座の資産は原則全て相続人代表者様(法定相続人の代表)の口座に振替えます。

    ◇楽天証券の相続手続き
    楽天証券の相続手続き 杉並区 | 行政書士中村光男事務所
    ・移管について
    資産の引き継ぎには、資産を引き継ぎされる方(相続人)の弊社口座が必要です。

    相続税の申告・納付

    相続税の申告期限は相続開始日の翌日から10カ月です。申告書は、亡くなった人の住所地の所轄税務署に提出します。

    株式の相続は、預貯金や不動産の相続とは評価の仕方や、名義変更手続きが異なります。相続発生後に不明点が多いと相続税の申告期限までに手続きできない可能性もあります。

    株式の相続で注意すべきポイント

    • 株式の相続税評価は、原則として相続発生日の終値が評価額となります。ただし、株式は値動きが激しいので、たまたま、相続が発生した日に株が高騰していると、相続税の計算上は不利になります。そこで、次の3つの価格のうち、最も低い価格を評価額にすることになっています。

      相続が発生した月毎日の最終価格の月平均額」「相続が発生した前月の毎日の最終価格の月平均額」「相続が発生した前々月の毎日の最終価格の月平均額」

    • 相続した株式を売却する場合、売却益に対して譲渡所得税がかかります。相続した株式には、既に相続税を支払っていたとしても、それとは別に、株式売却で益が発生した場合は、売却益に対して譲渡所得税(20.315%)が発生します。この場合の譲渡益は、「売却代金-被相続人の取得費用-売却手数料」です。亡くなった方がいついくらで取得したか不明の場合は、売却代金の5%が概算取得費とみなせます。
    • 相続税の時効は原則として5年です。

      相続手続きが終わってから何年も経ってから、タンスから株券が見つかるケースがあります。この場合、相続税の申告期限から5年以上経過していれば、修正申告は不要です。

    まとめ 相続発生前からの状況把握が大事

    株式の相続は、相続発生前からの状況把握が大事です。相続発生後に不明点が多いと相続税の申告期限までに手続きできない可能性もあります。

    具体的には、以下の点に注意しましょう。

    • 亡くなった人が取引していた証券会社はどこか
    • 相続する株式の銘柄と数量は何か
    • 株式の取得費はいくらか

    相続発生前に、亡くなった人の株式に関する情報を収集しておきましょう。

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