■高齢期を安心して過ごすための「生前6点セット」のうち、「見守り契約」については、以前コラムに書きましたが、主として、本人が判断力がしっかりしているうちに、後々のことを考えて、自らアレンジするという本人による主体的な準備と言っていい思います。
これと似てはいますが、同居できない家族の代わりに高齢の家族の生活を見守る各種サービスもあります。
電力会社・運送会社など、全国にネットワークのある会社が取り組んでいる例が目立つように思います。郵便局にも、「みまもりサービス」というものがあります。今日は、この内容を調べてみました。
「郵便局のみまもりサービス」は、高齢者とその家族のために、郵便局社員が定期的に(毎月1回/30分程度)、高齢者宅を訪問し、会話を通じて生活状況を確認し、その結果を自治体や家族へメールでお伝えするサービスです(毎日電話コースもあります)。ふるさと納税の対象にもなっており、普及がすすんでいるようです。
■この契約形態ですが、生前通6点セットの見守りサービスが、「見守られる本人」と「見守る人」が契約当事者になるのに対して、郵便局の「みまもりサービス」では、主として、「高齢者を見守ってほしい家族」と「見守る郵便局」が契約当事者となり、高齢者は見守られて報告されるこを承認してサービスの利用者となるという意味で、三角形の関係が発生することが、特徴的であると思われます。
(筆者作成)
■みまもりサービスの内容
全国展開で行うことからでしょうか、サービスの内容は、パターン化されており、具体・詳細に決められています。
◎まず、「みまもり」は次の3ステップとなっています。
STEP1 月1回、郵便局社員などがご利用者宅などへ直接訪問します。
STEP2 訪問時の30分の中で、「固定の基本質問項目(7項目)+選択可能な質問項目(3項目)」の合計10項目の質問を実施します。
STEP3 ご利用者の生活状況はご家族などのご指定いただいた報告先へメールなどでご連絡します。
◎固定の基本的質問は以下の7つです。 ⇒https://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/pdf/question_basic.pdf
これに加え、23項目の選択可能な質問のオプションも用意されています。
ただし、規約には、「郵便局員の裁量により、報告先に対し、郵便局社員等が前項の面会の際に視認した状況、郵便局社員等が当該面会に際して得た感想、利用者を撮影した写真その他弊社が適当と認める事項を報告事項として提供する場合があります。」とも記載されいます。これは、家族にもありがたいと思います。
3.その他(詳しくは、みまもり訪問サービス利用規約参照)
◎ 本サービスが、医業類似行為の提供を目的としたものではなく、また、災害、利用者の体調不良その他の緊急時における利用者の救助もしくは消防、警察等に対する緊急通報を目的とするものではないことが、規約で確認されています。
◎基本サービスの利用料は月2,500円。別途、警備会社との間で、駆け付けサービスの契約を追加(+880円/月)もすることができます。
◎さらに、「月1回の訪問」型でなく「毎日電話確認型」(みまもりでんわサービス)というのもあります。これは、利用者は毎日決まった時間に自動音声電話がかかり、利用者は「その日の体調にあわせて電話機の1~3「1.元気です、2.いつも通りです、3.元気がありません」のいずれかを選択します。」というものです。その結果は、毎日、家族や自治体に報告されます。
■まとめ、「郵便局のみまもりサービス」と生前6点セットの「見守り契約」との違いは?
郵便局のみまもりサービスは、遠隔地に一人暮らしの親が住まわれている方には、選択肢となる良いサービスではないでしょうか。
ところで、生前6点セットの「見守り契約」は、通常は任意後見契約が前提です。そして、任意後見が始まるまでの間、任意後見人が、依頼者と定期的に連絡をとり、自宅訪問を行うことで、依頼者の生活状況及び健康状態を把握します。
そのようにして、依頼者の安全な生活が維持されるように配慮しつつも、いざ認知症の症状が出てきたときには、適切に後見契約を有効にするタイミングを計ることが本来の目的です。この点が、遠隔地の家族への情報提供が主目的となっている郵便局のみまもりサービスと差と言えるでしょう。