マンション管理組合の法人化 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

マンション管理組合を法人化するという選択は、多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。この重要なテーマについて簡潔に解説します。

1. 法人化制度の趣旨

管理組合法人制度は、管理組合の活動を容易にするために1983年(昭和58年)に創設されました。この制度は、管理組合が区分所有者から集めた管理費や修繕積立金などの資産をより効率的に管理するためのものです。

制度ができた当時の説明では、「管理組合は、区分所有者から集めた管理費や修繕積立金等の資産を管理し、管理委託契約、エレベーターの保守契約、修繕・補修請負契約など対外的な取引行為を行うことが多いが、法人格を取得することにより、1.これらの法律関係が簡明になること、2.法人登記制度により、団体の存在や代表者を対外的に容易に証明することができること」が期待されていました。

具体的なメリットは何か?

法人化のメリットには以下のような点があります:

  • 不動産の取得と登記が可能:管理組合法人は不動産を取得し、登記することができます。
  • 融資の受けやすさ:金融機関からの融資が受けやすくなります。
  • 訴訟手続きの簡便化:訴訟当事者としての地位が確立され、手続きが簡単になります。
  • 銀行口座の維持:銀行の預金名義が継続できます。
  • 社会的信用の向上:契約がスムーズに進む可能性があります。

訴訟手続きの簡便化のメリットとは?
たとえば、区分所有者と滞納などによる金銭トラブルで訴訟を考えた場合。 マンション管理組合が法人化されていない場合には、理事長個人が訴訟当事者にならないといけません。 この場合は、理事長の心身ともの負担がかなり大きくなってしまいます。 しかし、法人化すれば訴訟当事者は個人ではなく管理組合法人となります。このことで、スムーズに手続きができるようになります。

 

デメリットは?

しかし、以下のようなデメリットも存在します:

  • 規約の作成と登記が必要:法人のための規約を作成し、法人登記を行う必要があります。
  • 登記事項の変更時の手続き:代表理事の交代などがある場合、変更登記が必要です。
  • 財産目録の作成と保持:毎年財産目録を作成し、備え置かなければなりません。
  • 違反に対する罰金:登記忘れや財産目録の作成漏れなどには罰金が科せられる可能性があります。

理事長が再任しても、任期満了により改めて役員の変更登記手続きが必要です。重任でも登録手数料は1万円(+司法書士に頼む場合は別途専門家手数料)かかりますので予算化が必要です。

 法人化の手続きは?

法人化の手続きには以下のステップが含まれます:

1.特別決議
区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で、法人となる旨並びに法人としての名称及び事務所を定めることが必要です。(法47条1項)名
名称中には、「管理組合法人」という文字を用いなければなりません。(法48条1項)

2.役員の決定
管理組合法人には、理事及び監事を置かなければなりません(法49条1項、50条1項)から、同じ集会でこれを選任することが適当です。ただし、その選任は、規約に別段の定めがない限り、集会の普通決議をもってすることができます。

幹事と理事は兼任できない

マンション管理組合法人には理事を置かなければならず(建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます)第49条1項)、また監事を置かなければなりません(区分所有法第50条1項)。

理事と監事は兼ねることができませんので(区分所有法第50条2項)、マンション管理組合法人には少なくとも理事1名、監事1名の計2名が必要となります。

理事が複数いるときは、各理事がマンション管理組合法人を代表しますが(管理組合法人第49条4項)、規約の定め等によって複数の理事の中からマンション管理組合法人を代表すべき理事を定めることが可能です(区分所有法第49条5項)。

そのため、複数の理事がいるマンション管理組合法人においては、特定の理事を当該法人を代表すべき理事としているケースが多いようです。

必要があるときは、規約又は集会の決議によって管理組合法人を代表すべき理事を定め、又は数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定めることができますし、規約の定めに基づき理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定めることとすることができます。(法49条4項)

3.規約の見直し
法人となるに際して、法人としての規約を定める義務規定はありません。しかし、実務的には、それまでの規約について見直しをしたうえ、法人となる旨の決議と同時に法人としての規約を新たに定めるのが適当です。

4.以上の手続きを終えた後、主たる事務所の所在地で法人設立の登記をすることにより、法人格を取得します。(法47条1項)

法人となるについて行政庁の許可や認可は不要ですし、この法人に対する行政上の監督もありません。

マンション管理組合の課税は?

マンション管理組合が法人化される前とされた後で、税金の面で何か変化はあるでしょうか?

答えは、「変わらない」です。

まず、法人格を持たない場合でも、マンション管理組合は、法人税法上「人格のない社団等」として法人とみなされ、法人税や消費税が課されます。法人化されたマンション管理組合の場合は、区分所有法47条13項および14項の規程により、法人税法および消費税法上は「公益法人」として扱われ、法人税や消費税が課されます。

ただし、法人税については、マンション管理組合のすべての収入について法人税が課税されるのではなく、収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課されます(法人税法第4条)。収益事業で課税されるの、マンション管理組合員以外の、外部者からの収益事業による収入があるときに限ります。

したがって、駐車場を住民に貸すときは非課税ですが、余っているスペースを外部の方に貸し出せば、課税される収益事業となり法人税の申告と課税の義務が生じます。

また、消費税に関しても、管理組合に支払う管理費は消費税の課税対象外となります。消費税は事業者が対価を得て資産やサービスを提供・譲渡する際に発生します。管理組合と区分所有者間の取引は営業・事業行為に該当せず、管理費は消費税の課税対象とはなりません。

国税庁の質疑応答事例でも『居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を居住者に応分に負担させる性格のものについては、共益費、管理費等その名称にかかわらず非課税とする』とされています。

法人税・消費税に関する「居住者のための収入には課税しない」という基本的な考え方に差はありません。

 

まとめ

マンション管理組の法人化は直接的にマンションの資産価値を上げるものではありませんが、管理組合の活動が活発かつ分かりやすくなることで住民の信頼が高まり、間接的に資産価値が向上する可能性があります。

しかし、法人化には、規約の作成や登記などの手続きが必要であり、費用もかかるため、デメリットも考慮して、法人化の是非を検討する必要があります

※当事務所では、マンション管理組合法人設立をはじめ、管理規約の作成に関するご相談を承っています。

行政書士中村光男事務所について

行政書士中村光男ホームぺージへ

行政書士中村光男事務所連絡先