3世代戸籍は禁止されている。では未婚の母の子供の戸籍は?
まとめ

◎戦後の、日本の戸籍は、一組の夫婦及び、この夫婦と氏を同じくする子によって編製されます(同一氏親子同一戸籍の原則)。したがって、3世代が同じ戸籍に記載されることはありません(三世代戸籍の禁止)。

◎子供を産んだ母親が、未婚の場合は、その母親はまず両親の戸籍から抜けて、自らが筆頭者となる新たな戸籍を編製します。その新たな戸籍に生まれた子供が記載されます。母と子の二人が記載された戸籍が編製されます。

1.戸籍制度の変遷

戸籍は、国民の身分関係を登録し、それを公証する仕組みです。戸籍という仕組みは、明治後の日本では、大きく性格が変わってきました。

【壬申(しんしん)戸籍】

明治5年にできた最初の戸籍制度では、建物(戸)単位での情報の登録制でした。まさに戸籍です。徴兵制度と土地を基準に税徴収するための国民の現況調査を目的としていました。

【大正・明治戸籍】

明治31年に成立した明治民法の「家」制度を受けて、戸籍は「戸主」とその家族(戸主の家族でその家に住むものと配偶者)が登録されていました。「戸籍」が「家籍」に変わったのです。

【戦後の戸籍】

戦後の法改正で家制度が廃止されたため、夫婦と親子による核家族を前提とした、夫婦を単位とする登録制に改められました。

現在の戸籍の目的は、「個人の氏名、出生・死亡年月日、国籍、家族関係などを証明する手段」です。また、戸籍は、家族単位の登録制となり、一組の夫婦及び、この夫婦と氏を同じくする子によって編製されます。このように三世代戸籍が禁止されるようになったのが現代の戸籍制度の特徴です。

2.未婚の母の子供はどの子の戸籍に入るのか?

三世代が同じ戸籍に入れないとすると、未婚の娘が未婚のまま子供を産んだ場合は、どうなるでしょうか。この場合、娘は、両親の戸籍から抜けて新たに自分を筆頭者とする戸籍を編製し、子供はその戸籍に登録されます(戸籍法17条)。

なお、子ども出産した未婚の子が未成年であっても、やはり、戸籍は別に編製されます。つまり,母となった未成年者は現在の戸籍から除籍されて未成年者を筆頭者とする新戸籍が編成された上で,その子はその戸籍に入ります。

戸籍法

第十七条 戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者以外の者がこれと同一の氏を称する子又は養子を有するに至つたときは、その者について新戸籍を編製する。

第十八条  父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入る。 ② 前項の場合を除く外、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る。