養子縁組をしなければ、再婚相手の連れ子と法律的な親子関係にならない
本日のまとめ

◎子連れ同士の再婚の場合、連れ子と養子縁組をしない限りは、親子関係は生じません。

◎「同一姓親子同一戸籍の原則」があるため、別の姓の親子は同じ戸籍に入れません。

◎子の姓を変更し、同一戸籍に入れても、養子にしなければ、親子関係は発生しません。

離婚して今は独身の男性Aさんには、すでに結婚して独立した息子さんがいます。同じく離婚して今は独身の女性Bさんには、高校生のC子さんがいます。このAさんと、Bさんが再婚する場合に、戸籍や、C子さんの身分や氏はどうなるでしょうか。

【ケース1】 二人が結婚してAさんの名字を選択。Aさんは、C子さんを養子にしない場合。

戸籍は、結婚を機に、夫婦を単位として新たに作成されます。AさんとBさんがAさんの姓を選択して、結婚すれば、Aさんを筆頭者とする新たな戸籍ができます。妻としてBさんが記載されます。C子さんは、親と姓が異なるので、AB夫婦の戸籍とC子さんは別々の戸籍になります。(同氏親子同一戸籍の原則)

C子さんをAさんの養子にせず、戸籍だけ同じにしたい場合は、家庭裁判所の許可を得てC子さんの姓を母と同じに変更した後に、戸籍の移動をおこないます。

こうすれば、同じ戸籍にAさん(夫)・Bさん(妻)・Bさんの娘さんが記載されますが、AさんとC子さんは親子関係になく、身分的には他人です。親族関係は、養子縁組のように、実態があったときに発生します。戸籍は形式ですので、戸籍で親族関係が決まるものではないからです。

AさんとC子さんは、法律上は他人ですので、Aさんに扶養義務もありません。C子さんに相続権もありません。仮に、Aさんが、C子さんに学費の援助等をすれば、贈与となります。贈与ですから、年間110万円を超えると贈与税が発生します。

【ケース2】 二人が結婚してAさんの名字を選択。Aさんは、C子さんを養子にする場合。

このとき、AさんとBさんの婚姻届を提出後に、「養子縁組」を行います。「養子縁組」の手続きが済めば、Bさんの娘さんはAさんの子供となり。自動的にAさんを筆頭者とする戸籍に入ります。

C子さんは、Aさんの子供になるのですから、Aさんに扶養義務も生じ、C子さんは、Aさんの相続人となります。

なお、養子には、実の親子関係を維持したまま義理の親(養親)とも親子関係を結ぶ「普通養子縁組」と、実の親子関係を解消し、義理の親と親子関係を結ぶ「特別養子縁組」があります。「特別養子縁組」には、「実親の同意があること」「子供の年齢が6歳未満であること」等厳しい条件が付きます。C子さんは高校生ですので、「普通養子縁組」となります。