戸籍をさかのぼるとは・・・

現在の戸籍を見ただけでは、相続人の範囲は分からない理由

戸籍は、通常、結婚の際に新しく作成されます。
結婚すると、親の戸籍から外れて(除籍といいます)、結婚相手(配偶者)と、新しい戸籍が作成されます(就籍といいます)。

結婚を機に作成された新しい戸籍には、夫婦それぞれが、それまで入っていた元の戸籍の全部の情報が引き継がれるわけではありません。

したがって、この夫婦の一方が亡くなった場合に、最新の戸籍を見ただけでは、相続人の範囲は分かりません。

具体例(婚姻前の認知した子の存在)

具体的なケースでは、例えば、A男さんとB子さんが結婚して、A男さんを筆頭者にして、A 男さんとB子さん夫婦の新しい戸籍が出来たとします。

A男B子夫婦には、太郎さんと花子さんという子供が生まれ、それぞれ戸籍に記載され、その後、A男さんが亡くなったとします。

このとき、現在の戸籍を見るかぎりは、相続人は妻のB子さんと、子供の太郎さんと花子さんだけですが、実は、A男さんは結婚前に、他の女性との間に子供(一郎さん)を設け、認知していたらどうでしょうか。一郎さんも相続人です。

一郎さんが認知された事実は、A男さんを筆頭とする戸籍には記載されず、A男さんが結婚前に入っていた親の戸籍に記載されています。(入籍していないので、一郎さんは母親のお戸籍に入ります)

このようなことがあるので、相続が発生した場合は、現在有効な戸籍を見ただけでは、相続人の範囲は確定できません。

相続人確定のためには、遺族は、現在の戸籍の記載事項を手がかりにして亡くなった方が生まれた時点まで、原戸籍(げんこせき)を、区市町村に請求し、亡くなった方の出生までのすべての戸籍を集める必要があるのです。