日本独特の戸籍制度

1戸籍とは

戸籍とは、日本人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、結婚、死亡、親族関係など)について、登録・公証するためのものです。戸籍により、本人の存在証明と、親族関係の確認と証明が可能となります。

現在の戸籍は、原則として1組の夫婦及びその夫婦と同じ氏の未婚の子を編製単位として作られています。

戸籍は戸籍法に基づく届出により記録され、本籍地の市町村役場に保管されています。

戸籍謄本や抄本が必要な場合は、本籍地の市町村役場に請求します。

2.本籍とは

「本籍」とは戸籍の所在場所のことです。本籍とは、戸籍のある場所のことをいい、現実の生活の場所とは関わりなく、日本国内の「地番」がある場所であればどこでも置くことができます。

なお、ここでいう「地番」とは、法務局(登記所)が定めた住所です。郵便が届く「住所」とは異なります。地番と住所は通常異なりますが、地方では、地番と住所の場合もあります。自治体ごとに事情も異なるので、届出前に各自治体に問い合わせるか、ホームページで調べた方が安全です。

例 渋谷区のケースhttps://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/jumin/koseki/honseki_settei.html

戸籍は、「本籍」と「筆頭者氏名」で表示されます。

3.筆頭者とは

「筆頭者」とは戸籍の1番最初に記載してある人のことです。筆頭者は死亡しても変わりません。(住民票の場合は、世帯主が死亡した場合には、同世帯に居る別の者が次の世帯主になります。)

婚姻の際に、夫の氏を名乗ることとした場合は夫が、妻の氏を名乗ることとした場合は妻が戸籍の筆頭者となります。

一般的には、婚姻により戸籍が作られるため、夫婦の場合は夫または妻が筆頭者になっています。養子縁組をしない限り、祖父は筆頭者にはなりません。

4.戸籍謄本と戸籍抄本の違い

謄本とは戸籍に記載されている全員全部の写し、抄本とは一部の写しという意味です。

ただし、これは戸籍が電子化される前の名称です。昔の帳簿式・手書きの戸籍は、現在デジタルかされて電子戸籍と変わりました。

電子化された戸籍は、戸籍全部事項証明書(旧の戸籍謄本)と戸籍個人事項証明書(旧の戸籍抄本)と呼びます。

.戸籍は、日本独特の制度

家族(夫婦)単位の戸籍制度は、日本独特の制度です(台湾にもあります)。

かつて、韓国にも戸主を筆頭とする家単位の戸籍制度がありましたが、憲法理念に反するという判断により廃止され、個人別身分登録制度に変わったとのことです。

https://core.ac.uk/download/pdf/235253556.pdf

日本の戸籍は、家族単位の登録ですので、それを見るだけで、故人(被相続人)の出生、婚姻から死亡まですべての履歴と家族との関係が分かりますので、相続人の範囲確定の際には極めて便利です。また、近親婚・重婚など婚姻障碍存否の判断、扶養義務の存否の判断にも役立ちます。

一方、日本・台湾以外で主流の、個人単位の登録制度の場合は、個人の家族関係に関する出生・死亡・婚姻・離婚などの身分関係の変動について個別的に記録するので、人口動態に関する統系把握が容易であるという長所があります。その反面、家族関係を証明するためには、『出生証明書』『婚姻証明書』『死亡証明書』等を組み合わせるので、手間がかかるようです。