相続対策で最優先事項は・・?

税制改正によって、相続税がかかるバーが下がったことから、相続対策というと、節税対策という話題になりがちですが、相続が争続にならないようにするための、相続の基本対策で、優先順位が一番高いのは、実は節税対策ではありません。

相続対策の順番は、通常は次のとおりです。

1.遺産分割対策

まずは、遺産分割対策が第一優先事項です。

何も対策しないうちに亡くなると、相続財産も全体像が分からなくて、残された方が困ります。遺言がなければ、相続人間でどう分けるのかも、相続人間の一からの話し合いとなります。特に、普段あまり仲が良くなかったり、親しくない相続人同士だと、もめがちです。また、生前に一部の相続人に補助をしているなどの場合も、公平不公平という心理となり、もめごとの原因につながりかねません。

生前のうちに、どこにどんな財産があるのかを整理して、各家庭の事情に応じた対策を考えておくことが大切です。遺言もその対策の一つです。

2.納税資金対策

相続税が発生しそうな場合、相続税は現金払いで、かつ相続の翌日から10か月以内に支払うのが原則です。相続財産が自宅不動産だけというような場合、どこから相続税を捻出するのかが、遺産分割の次の検討課題になります。

不動産など換金しにくい財産は、予め売却しておくとか、生命保険で納税資金を確保しておくなどの対策が考えられます。

3.節税対策

最後の対策が節税対策です。相続税の負担を軽減するためには、相続財産を減らしたり、財産の評価額を下げる工夫をするなどが考えられます。

一般に不動産で保有する方が評価額は低いので、現金で持っているより節税効果は高いと言えますが、納税資金がなくては本末転倒です。この点も考えてバランスのよい節税策を考える必要があります。