相続登記で必要な書類は・・・

相続登記が義務化されました。

相続登記を行う場合の必要書類をシーン別に整理しました。本記事の出典は法務局の下記ページです。
出典:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001393744.pdf

相続登記義務化の簡単なまとめ

1. いつから義務化?
2024年4月1日から施行

2. 義務の内容
不動産を相続した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければならない。

3. 対象となる不動産
すべての土地・建物が対象。

4. 違反した場合のペナルティ
正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料が科される可能性あり。

5. 申請が簡単にできる制度
相続人申告登記」を活用すれば、最低限の情報で義務を果たせる。→最後に解説します。

6. なぜ義務化されたのか?
所有者不明土地の増加を防ぎ、円滑な不動産取引や適正な管理を促進するため。

7. 既に相続している不動産も対象?
過去の相続(施行前に発生したもの)についても、2027年3月31日までに登記しなければならない。

義務化により、相続放置によるトラブルを減らし、適正な管理が促されることが期待されています。

遺産分割協議を行う場合の登記必要書類

対象者
(誰の)
書類の名称 入手先 有効期限 備考
集める書類 亡くなられた方
(被相続人)
戸籍謄本(戸籍事項証明書)除籍謄本
改製原戸籍
本籍地の市区町村 なし 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要です。
住民票の除票又は
戸籍の附票
住民票の除票:住所地の市区町村戸籍の附票:本籍地の市区町村 なし 登記簿上の住所及び本籍地の記載のあるもの
※「被相続人の登記上の住所」が「戸籍謄本」等に記載された本籍と異なる場合に必要となります。
法定相続人 戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) 本籍地の市区町村 なし 亡くなられた方の死亡日以降に発行されたもの
印鑑証明書 住所地の市区町村 なし 遺産分割協議書に押印された印鑑に関するもの
固定資産課税明細書 毎年4~5月頃に市区町村から送付 なし 登記申請をする日の属する年度のものが必要です。
法定相続人のうち、新しく所有者になる方 住民票 住所地の市区町村 なし
作成する者 書類の名称 備考
作成する書類 新しい所有者
(相続人)
登記申請書
新しい所有者と代理人 委任状 代理人による申請の場合に必要です(新しい所有者が手続する場合は不要です。)。
法定相続人 遺産分割協議書
新しい所有者
(又は代理人)
相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要です。

※上記以外にも必要な書類がある場合があります。相続登記の申請に当たっては、「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(登記手続ハンドブック)を御覧ください。「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(登記手続ハンドブック)(法務局ホームページ)

法定相続分の相続の場合

対象者
(誰の)
書類の名称 入手先 有効期限 備考
集める書類 亡くなられた方
(被相続人)
戸籍謄本(戸籍事項証明書)除籍謄本
改製原戸籍
本籍地の市区町村 なし 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要です。
住民票の除票又は
戸籍の附票
住民票の除票:住所地の市区町村戸籍の附票:本籍地の市区町村 なし 登記簿上の住所及び本籍地の記載のあるもの
※「被相続人の登記上の住所」が「戸籍謄本」等に記載された本籍と異なる場合に必要となります。
法定相続人 戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) 本籍地の市区町村 なし 亡くなられた方の死亡日以降に発行されたもの
固定資産課税明細書 毎年4~5月頃に市区町村から送付 なし 登記申請をする日の属する年度のものが必要です。
住民票 住所地の市区町村 なし
作成する者 書類の名称 備考
作成する書類 新しい所有者(相続人) 登記申請書 相続人が複数いる場合、法定相続分に従って登記をするのであれば、相続人全員で申請するほか、相続人のうち1名が相続人全員分を申請することができます。
新しい所有者と代理人 委任状 代理人による申請の場合に必要です(新しい所有者が手続する場合は不要です。)。
新しい所有者
(又は代理人)
相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要です。

※上記以外にも必要な書類がある場合があります。相続登記の申請に当たっては、「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(登記手続ハンドブック)を御覧ください。「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(登記手続ハンドブック)(法務局ホームページ)

遺言書がある場合(法定相続人が相続する場合)

対象者
(誰の)
書類の名称 入手先 有効期限 備考
集める書類 亡くなられた方
(被相続人)
自筆証書遺言又は
公正証書遺言又は
秘密証書遺言
自筆証書遺言:自宅等又は法務局公正証書遺言:公証役場
秘密証書遺言:自宅等
なし 自筆証書遺言書の場合は以下2点に注意ください。
① 法務局に保管されている場合は、「遺言書情報証明書」が必要です。
② ①以外の場合は、家庭裁判所での検認が必要です。
戸籍謄本(戸籍事項証明書)除籍謄本
改製原戸籍
本籍地の市区町村 なし 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要です。
住民票の除票又は
戸籍の附票
住民票の除票:住所地の市区町村戸籍の附票:本籍地の市区町村 なし 登記簿上の住所及び本籍地の記載のあるもの
※「被相続人の登記上の住所」が「戸籍謄本」等に記載された本籍と異なる場合に必要となります。
新しく所有者になる方 戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) 本籍地の市区町村 なし 亡くなられた方の死亡日以降に発行されたもの
固定資産課税明細書 毎年4~5月頃に市区町村から送付 なし 登記申請をする日の属する年度のものが必要です。
住民票 住所地の市区町村 なし
作成する者 書類の名称 備考
作成する書類 新しい所有者(相続人) 登記申請書
新しい所有者と代理人 委任状 代理人による申請の場合に必要です(新しい所有者が手続する場合は不要です。)。
新しい所有者
(又は代理人)
相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要です。

※上記以外にも必要な書類がある場合があります。相続登記の申請に当たっては、「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(登記手続ハンドブック)を御覧ください。「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(登記手続ハンドブック)(法務局ホームページ)

固定資産課税明細書を紛失した場合(や、新年度になった場合)

相続登記の登録免許税は、固定資産税課税明細書に記載されている固定資産評価額に0.4%を乗じて計算します。相続税の評価の場合は、「建物は路線価方式又は倍率方式、土地は固定資産税評価額」となります(国税庁)のでやや面倒でが、相続登記の評価は「固定資産税課税明細書」一本ですので、シンプルです。

毎年4-5月ごろに、市区町村から自宅に届く、固定資産税課税明細書がない場合は、市区町村は再発行しませんので、最寄りの都税事務所(県なら県税事務所)に「固定資産評価証明」(有料300円)を申請する必要があります。

登記を申請するのが、4月1日以降の場合は、新年度に入るため、新年度の固定資産税課税明細書でないといけません。まだ自宅に届いていないタイミングで登記するなら、固定資産評価証明が必要です。

関連事項

・固定資産評価証明の取得方法 東京都主税局HP

相続人申告登記について

■新制度の目的
・相続登記の義務を3年以内に果たせない場合の簡易手続き
・書類収集や手続きが難しい状況でも義務履行できる

■主な特徴
✓メリット
▷被相続人の出生〜死亡までの戸籍収集が不要
▷法定相続人の範囲/相続分の確定が簡略化

✓注意点
▶不動産の売却・担保設定不可(別途正式登記が必要)
▶遺産分割協議後の登記には使えない
▶あくまで「義務履行」が目的の暫定措置

■適した利用場面
・直ちに遺産分割が難しい場合
・時間的制約で正式手続きが間に合わない時
・相続関係を一旦確定させる必要がある状況

※本登記と異なり権利関係を公示しないため、不動産の取引時には必ず通常の相続登記が必要です。
<参考>法務省 相続人申告登記について

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