今朝の新聞に、対照的なお二人の投書が載っていました。
相続した土地の管理問題は、日本全国で深刻化しています。特に田舎や地方にある土地は、少子高齢化や都市部への人口集中の影響で「負動産」と化すことが少なくありません。今回ご紹介するのは、2023年に創設された「相続土地国庫帰属法」をテーマに、同じ日の同じ新聞に掲載された読者の投稿を基にした2つの事例です。一方は制度を活用して負担から解放された成功例、もう一方は制度の適用が認められなかった事例です。
事例1:制度を活用して負担から解放されたケース
80歳のAさんは、故郷にある実家の土地を18年間管理してきました。しかし、年齢とともに草刈りなどの負担が増し、相続財産から土地を手放す方法を模索。2023年に創設された「相続土地国庫帰属法」を利用することを決断しました。
Aさんは法務省のウェブサイトで情報を調べ、地元の法務局に相談しました。申請プロセスの中で、登記簿上に残っていた家屋を滅失登記する必要があると判明。必要な手続きをすべて行い、最終的に負担金20万円を支払い、土地を国に引き取ってもらいました。
結果的に、Aさんは土地管理から解放され、「大きな断捨離ができた」と語っています。
事例2:制度を活用できなかったケース
Bさんは、急逝した父親から田舎の実家と田畑、山を相続しました。しかし、土地は遠方にあり、草刈りの費用がかさむばかり。地元自治体に「ただで譲渡したい」と相談するも断られ、最終的に「相続土地国庫帰属法」を検討しました。
しかし、専門家に相談したところ、田畑や山の管理状態が悪く、制度利用は難しいとの回答を受けました。この土地が都市部にあれば買い手が見つかる可能性もありましたが、地方では難しく、「負動産」として所有し続けるしかない状況に陥りました。
なぜ両者に差が出たのか?
両者の投稿から詳細な背景は分かりませんが、Bさんの土地が認められなかった理由として考えられる要因は、以下のような事例が挙げられます。
- 建物がある土地
登記簿上に建物が記載されている場合は、滅失登記が必要です。 - 権利が設定されている土地
抵当権、地上権、賃借権などが設定されている場合、制度の対象外です。 - 他人に使用されている土地
通路などで他人が使用している土地は認められません。 - 土壌汚染のある土地
汚染の除去が必要な場合は、申請が認められない可能性があります。 - 境界が明確でない土地
隣地との境界が争われている場合は対象外です。 - 山林など特定の土地
国が木を伐採しなければならない山林や獣害が予想される土地も認められにくいです。
国は制度利用の可否を判断するためのチェックシートを公開しています。詳細はこちらをご覧ください:
相続土地国庫帰属制度 チェックシート
制度を活用するためのポイント
「相続土地国庫帰属法」は、土地管理の負担から解放されるための画期的な制度ですが、申請が認められるためには一定の要件をクリアする必要があります。
利用の第一歩として法務局に相談を!
相続土地の国庫帰属が認められるかどうか疑問に思った場合、まずはその土地を管轄する法務局への電話相談がおすすめです。
詳しくは以下のサイトをご覧ください:
法務局:相続土地国庫帰属制度
また行政書士や専門家に相談することで、広範なアドバイスが得られる可能性もあります。お悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。