お金が倍になる期間 「72の法則」の理由

■「72の法則」

「72の法則」とは、お金が倍になる期間が簡単にわかる法則です。

式 計算式:72÷金利(%)=投資期間(年数)

例えば、

金利3%でお金を運用すると、72÷3=14.4 ですので約14年で元金は倍になります。
金利7%でお金を運用すれば、72÷7=10.3 ですので約10年で倍です。
逆に、金利が1%なら、倍になるのに72年かかる理屈です。

資金運用以外で応用すると、たとえば、国の経済規模の成長率も同様に考えられます。たとえば、毎年7%成長する国であれば、お金が増えるのと同じ計算で、約10年で経済規模は倍になります。

■日本VS中国

下の図は、日本と中国の名目GDP(USドル)の推移比較です。

2010年には、日本と中国は、ほぼ同じ(とはいえ、このとき、中国が6兆ドル、日本が5.7兆ドル)だったのが、2017年には中国は12兆ドルと倍になっています。

7年で倍になったのですから、おおざっぱに言って、ドル建てでは、彼の国は平均10%で7年間で成長したことになります(∵72÷10=約7年)。これは驚きです。

出所 世界経済のネタ帳「名目GDP(USドル)の推移(1980~2022年) (中国, 日本)」

 

■なぜ72なのか?

さて、なぜ、72を利回りや経済成長率で割ると、倍になる期間が分かるのでしょうか。これは、私も、不思議に思っていたのですが、最近なるほどと思う記事を発見しました。たしか、M新聞ですが、今探しても見つかりません。趣旨は以下のようなものでした。

・お金が倍になるというのは、100%増えることである。したがって、単利で考えれば、100÷利率が倍になる期間である。例えば、年利が10%(単利)なら、100%÷10%=10なので、10年で元金は倍になる。

・ところが、複利の場合は、金利が元本に組み入れられて、さらに金利が付くので、もう少し短い期間で倍になる。

・それが100でなくて72である。

という趣旨でした。おそらく、数学的には、また厳密な計算が可能なのでしょうが、このような説明でイメージだけはよくわかるのではないでしょうか。(なお、ネット上で調べると、より正確には72でなく69である等々の色々な考証が見られます。)

Wikipedeiaによれば、72の法則は、イタリアの数学者で「会計の父」ルカ・パチョーリという人が14世紀に出版した本に、すでに次のような記載があるとのことです。

◎イタリア語
(Fol. 181, n. 44.) A voler sapere ogni quantità a tanto per 100 l’anno, in quanti anni sarà tornata doppia tra utile e capitale, tieni per regola 72, a mente, il quale sempre partirai per l’interesse, e quello che ne viene, in tanti anni sarà raddoppiato. Esempio: Quando l’interesse è a 6 per 100 I’anno, dico che si parta 72 per 6; ne vien 12, e in 12 anni sarà raddoppiato il capitale.
—Fra Luca Bartolomeo de Pacioli, Summa de arithmetica, geometria, proportioni et proportionalità (Venice 1494)

◎英訳
You want to know for every percentage interest per year, how many years will be required to return double the original capital, you hold the rule 72 in mind, which always you will divide by the interest, and the result will determine in how many years it will be doubled. Example: When the interest is 6 per 100 per year, I say that you divide 72 by 6; that is 12, so in 12 years the capital will be doubled.

◎和訳
年間利率ごとに、元の資本の 2 倍の収益を得るのに何年かかるかを知りたい場合、ルール 72 を念頭に置いて、常に利子で割ると、その結果によって何年で決まるかが決まります。 2倍になります。例: 利息が 1 年 100 あたり 6 の場合、72 を 6 で割るといいます。つまり12なので、12年で資本は2倍になります。

まさに、今、我々が良く目にする72の法則そのものが、ここに書かれています。

現在では、エクセルを使えば、利率ごとに厳密にいつ倍になるかは我々にも計算可能です。しかし、大づかみでシンプルな「72の法則」のおかげで、より感覚的に素早く計算可能になっています。「会計の父」に感謝です。