遺言の探し方

相続の際に、被相続人(亡くなられた方)が、遺言書を作成していたかどうかはっきりしないので、念のため、探したい場合にどうしたらよいでしょうか。

遺言書の探し方は、おおざっぱに言って3つあります。

  • 遺品の中から探す
  • 登記所で探す
  • 公証人役場で探す

遺言書の種類ごとに、整理します。

1.自筆証書遺言の探し方

自筆証書遺は言遺言者が全文を自筆で書く遺言書です。何も情報が無い場合、まずはこれらの遺品の中から探すことになります。

見つからない場合、20207月からスタートした遺言者補完制度によって、法務局の「遺言保管所」に預けられているケースもあり得ます。この場合は、法務局で『遺言書情報証明書』を交付してもらうことになります。

『遺言書情報証明書』を請求することにより,

①請求者が、請求書に記載した特定の遺言者の相続人である場合

⇒特定の遺言者の遺言書が、遺言書保管所に保管されているかどうかが確認できます。

②請求者が、請求書に記載した特定の遺言者の相続人でない場合

⇒特定の遺言者の、請求者を受遺者等・遺言執行者等とする遺言書が、遺言書保管所に保管されているかどうかの確認をすることができます。

※詳しくは、法務局の遺言書保管制度(⇒https://www.moj.go.jp/MINJI/04.html) に説明されています。

 

2、公正証書遺言の探し方

公正証書遺言は、公証人が、遺言者の口述する遺言を公正証書にしたものです。

1989年以降に作成された公正証書遺言であれば、全国規模でその遺言の作成年月日・証書番号・遺言者の氏名・作成した公証人名を検索できます。

公正証書遺言の検索をする場合は、全国どこの公証役場でも可能です。最寄りの公証役場に必要書類を持参して手続をしてください。
なお、公正証書遺言の謄本請求をする場合は、作成した公証役場へ必要書類を揃え請求の手続をしてください。

◆公正証書遺言を検索(謄本請求)することができる人

遺言者の生存中 秘密保持のため、いかなる方からのどのような照会にも(その存在の有無も含め)応じることはできません。
(遺言者本人からのお申し出は可能です)
遺言者の死亡後 秘密保持のため、相続人等利害関係人に限られます。

 

◆公正証書遺言の検索(謄本請求)をする際に必要な書類

請求者が、相続人と相続人以外の人(受遺者・遺言執行者・相続財産管理人)で異なりますので、お近くの公証人役場にお問い合わせください。

3. 秘密証書遺言の探し方

秘密証書遺言は、公証役場で作成される遺言の方式で公正証書遺言と同様「遺言検索システム」探すことができます。

秘密証書遺言とは、遺言者が遺言を作成し、その遺言を公証役場に持っていき遺言の内容は「秘密」にしたまま証人2人と公証人の前で遺言書の「存在」のみ公証してもらう遺言の制度です。

ただし、秘密証書遺言は、遺言の中身を秘密にしたままにするのでいざ見つかったとしても、民法の方式に通りに書かれていないなど無効となったりする可能性はあります。

遺言の内容を公証人に公証してもらうわけではないので家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。

4. 遺言書を見つけたら…

通常、遺言書の保管者(発見者)は、相続の開始を知った後に、家庭裁判所に遺言書を提出して、検認を求めなければなりません(民法1004条1項)。

遺言書の検認とは
「検認」とは、家庭裁判所が相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。(遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。)

しかし、「公正証書遺言」と、法務局において保管されている「自筆証書遺言」(上記のように、実際には、入手できるのは『遺言書情報証明書』ですが)は、検認が不要です。