■相続の放棄は被相続人の生前にはできませんが、遺留分の事前放棄は、可能です。しかし、そのためには家庭裁判所の許可が必要です。
【遺留分放棄の許可の申請書】⇒裁判所ホームページへ
■家業承継の目的で、自社株等の事業用資産を子供の一人に集中して相続させようとする場合には、のちのち他の相続人と遺留分でもめることがないようにためには、予め相続人全員が家庭裁判所に遺留分放棄の手続きをする必要があります。しかし、これは手間もかかりますし、裁判所の判断が異なることもあるという問題点がありました。
■そこで、経営承継円滑化法では、上記のような課題解決のために、「遺留分に関する民法特例」が規定されています。この民法特例を活用すると、現経営者から後継者に贈与等された自社株式について、
①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)
②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)
することができます(両方を組み合わせることも可能です)。ただし、後継者を含めた現経営者の推定相続人全員の合意が必要ですので、ご注意ください。
中小企業庁「事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例(2021年2月改訂)」https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu/minpou_pamphlet.pdf