遺産相続に必要な戸籍とは

遺産相続などの際に、相続人の範囲を確定するために、亡くなった方の出生から死亡時までの戸籍をすべて取り寄せる必要がありますが、その際に手掛かりなるのが、戸籍に記載のある「従前戸籍」です。

また「改正原戸籍」や「除籍謄本」もすべて取り寄せることが必要になります。

1.従前戸籍

未婚で分籍もしていない方のように、生まれてから亡くなるまで、ずっと同じ戸籍に入っている方の場合は別として、多くの方は、結婚や養子縁組などで新戸籍ができたり、他の戸籍に入ったりします。

このとき、それまでいた元の戸籍の情報は、「従前戸籍」という項目名で、新たな戸籍の本人情報欄に記載があり、そこには元の本籍地と戸籍筆頭者名が記載されています。

2.改正原戸籍

現在の戸籍は平成6年の法改正によりすべて電子化されています。このように法改正で新基準で戸籍を作り替えることを「改製」といいます。改製前の戸籍のことを、「改製原戸籍(かいせいげんこせき、または、かいせいはらこせき)」といいます。

改製原戸籍には、改製後の戸籍では発見出来ない相続人資格者も記載されている場合もあります。

(例)被相続人の子供(仮に、太郎さん)がいても、どの子が戸籍の改製前に、結婚して改製前戸籍から除籍されていた場合、改製後の戸籍を見ても太郎さんの名前は見つかりません。

したがって、改製前戸籍を取り寄せる必要があります。

3.除籍謄本

結婚すると夫婦の新戸籍ができ、夫と妻はそれまで籍のあった親の戸籍から除かれます。これを除籍といいます。離婚や、死亡、分籍の場合も同様に元の戸籍を除籍となります。このとき、その人の身分事項欄に「除籍」の文字や理由が記載されます。

相続発生の際には、除籍された戸籍も取り寄せて確認しないと、相続人を見落とすことがあります。

(例)亡くなった方(被相続人 男性)が、結婚する前、まだ両親の戸籍に入っているときに、未婚のまま子供(仮に、一郎さん)をもうけて認知し、その後、親の戸籍を除籍し、別の女性と結婚して新しい戸籍を作成した場合には、除籍謄本を取り寄せないかぎり、この相続人資格をもつ一郎さんの件はわかりません。

このような理由で、相続の際には、過去の除籍謄本をすべて取り寄せる必要があります。