知人からお借りして、井上靖の小説「星と祭」を読みました。不慮の事故で17歳の薄幸の娘を失った主人公の魂の遍歴の美しい話です。
この小説に登場する琵琶湖湖畔のさまざまな寺院に祀られている十一面観音の描写はとりわけ印象的ですが、ネットでお寺の名前を入力して検索すると、仏像の写真がわかるので、調べていたところ、偶然、練馬区の長命寺にも御本尊として十一面観音が祀られていることがわかり、興味から、自転車ですが出掛けてまいりました。
家をでたとたん、「右長命寺道」という古い石碑を発見。なんと、気づかなかったと、昔の旅人を想像しながら自転車をこぐこと15分。長命寺にお邪魔し、参拝させていただきました。
立派な門の向こうに大きな本殿や幾つかのお堂がある大きなお寺でした。敷地内には沢山の石仏があり、歩くだけで神妙な気持ちになりました。十一面観音様は本堂の奥に置かれておられるのか、建物の外からは拝見できませんでしたが、しんとしたお寺の中を散歩させていただき、気持ちが改まりました。
今回、地元のお寺にお参りして、多くの石仏に昔の人が願った祈りを思った時間を持つことができましたが、これも琵琶湖とヒマラヤを舞台とする「星と祭」を読んだ事がきっかけですが、偶然にも家の近くに案内の石碑もあったというのも不思議な話です。