地域計画 杉並区 | 行政書士中村光男事務所 杉並・練馬・中野・武蔵野市・新宿区・小金井市・小平市

従来の二段階モデルとその変化

農地転用の手続きは、従来「農振法による除外」と「農地法による転用許可」の二段階で整理されてきました。農業振興地域の農用地区域(青地)内の農地を転用する場合、まず農振法に基づく農用地区域からの除外手続きを行い、その後に農地法による転用許可を取得する流れです。この基本構造は現在も変わっていません。

しかし令和5年4月施行の農業経営基盤強化促進法改正により、「人・農地プラン」が「地域計画」として法定化されました。この改正により、地域計画の対象となっている農地については、転用の際に、対象農地を、地域計画から除外するという新たなステップが追加されることになりました。

地域計画は令和7年3月末までに市町村が策定することとされており、令和7年4月から本格的な運用が始まっています。

地域計画が転用手続きに与える影響

地域計画内の農地を転用する場合、農振除外や農地転用許可の要件として「地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められること」が新たに追加されました。

この要件は農振法第13条第2項第2号および農地法施行規則第47条の3第2号に明記されています。

実務上、地域計画内の農地を転用する際には、事前に市町村による地域計画の変更(対象農地の除外)手続きが必要となります。

この変更手続きには約2ヶ月を要するため、従来よりも転用手続き全体に時間がかかることになります。農振除外の変更案の公告・縦覧や農地転用申請は、地域計画の変更告示後に行う必要があるとされています。

地域計画、農振法、農地転用の関係

重要な点は、農振法の対象外地域でも、農業経営基盤強化促進法による、地域計画の対象となっている可能性があることです。

農林水産省のQ&Aでも、地域計画の区域について「農振法の農業振興地域内を中心に、今後も農業上の利用が行われる農用地等の区域」と説明されています。この「中心に」という表現が示すとおり、地域計画は必ずしも農業振興地域内に限定されません。

このように、地域計画は農振農用地(青地)だけでなく、農振白地(農業振興地域内農用地区域外農地)や、場合によっては農振区域外の農地も含むことができます。

したがって、転用を検討する農地が農振法の規制を受けていないからといって、地域計画の影響を受けないとは限りません。

これらの点を整理すると、次のようになります。

実務上の手続きフロー

1.地域計画内の農振農用地(青地)を転用する場合

 ①まず地域計画の変更申出を市町村に行い、変更告示を待ちます(約2ヶ月)。

 ②その後、農振法による農用地区域からの除外手続きを進め、最後に農地法による転用許可申請を行います。

2.地域計画内の農振白地や、農振法対象外地区の農地を転用する場合

 ①地域計画の変更手続きの後、直接農地法による転用許可申請に進みます。農振除外は不要です。

3.地域計画の対象外となっている農地

 従来どおり農振除外(青地の場合)と転用許可(又は届出)の手続きのみで足ります。

以上の関係を整理すると下図のようになります。

土地の分類と手続きの対応関係

土地の分類 農振法 地域計画 農地法 転用時の手続き
①農振農用地(青地)
地域計画内
地域計画変更 → 農振除外 → 転用許可
②農振白地
地域計画内
× 地域計画変更 → 転用許可
③農振白地
地域計画外
× × 転用許可のみ
④農振区域外農地
地域計画内
× 地域計画変更 → 転用許可
⑤農振区域外農地
地域計画外
× × 転用許可のみ

地域計画からの除外(地域計画の変更)

地域計画区域内の土地で、「農用地区域からの除外(農振除外)など」や「農地転用」を行う場合は、市町村に申請して、あらかじめ地域計画を変更(地域計画区域から除外)する手続きが必要になります。この場合、農振除外などや農地転用には、これまでよりさらに手続きに時間を要します。

地域計画の変更申請の際は、事業の達成見込みについて、自治体ごとのルールに従います。各種の関係機関へ事前相談をしていただく必要がありますし、まずは、農業委員会への事前相談が必要としているところが多いと思います。各自治体の定める、必要な書類を揃えたうえで、農業委員会へ事前相談を行ってください。

事前相談に対する回答には時間を要しますので、スケジュールに余裕を持ってご相談ください。

地域計画・農振法・農転の手続きの流れ ⇒ 各変更・許可手続きの流れ(地域計画)

事前確認の重要性

以上から、農地転用を検討する際には、まず当該農地が地域計画の対象となっているかを確認することが第一の前提となります。

その上で、農振農用地かどうかを確認し、必要な手続きを判断する流れです。

地域計画の対象範囲は市町村が策定する「目標地図」で確認できます。

令和7年4月からの本格運用に伴い、各市町村で地域計画と目標地図が順次公表されていますので、転用手続きを進める前に、必ず市町村の農政担当部局で対象農地の位置づけを確認することが不可欠です。地域計画の変更手続きには相応の時間を要するため、早期の相談と準備が重要となります。

地域計画・目標地図の例 長野県箕輪町HPより
目標地図 杉並区 | 行政書士中村光男事務所 杉並・練馬・中野・武蔵野市・新宿区・小金井市・小平市

用語解説ミニコラム

1 農業経営基盤強化促進法
 安心して農地を貸せる仕組み(農地流動化)を作ることで、農業を担っていく経営体(担い手)を育成することを目標としています。①担い手の育成・支援(認定農業者制度)、②農地の集積・集約化農地中間管理機構の活用、利用権設定等)③地域計画の策定(将来の農地設計図)が3本柱です。

2 人・農地プラン
 農業者の減少や、耕作放棄地の拡大への対策として、次世代の農業の担い手に農地を集積していく考え方です。これは、令和5年以前の、考え方です。現在は「地域計画」となっています。

3 地域計画・目標地図
 担い手に焦点を当てた「人・農地プラン」は、農業経営基盤強化促進法が令和5年4月に改正されて、「地域計画」という名称になりました。地域計画は「協議の場」の結果を踏まえて市町村が作成するとともに、必要に応じ、随時見直しを行います。「目標地図」は、概ね10年後を見据え、将来の地域農業の在り方や、地域の農地の効率的かつ総合的な利用を図るために誰がどの農地を利用していくのかを一筆ごとに定めた地図のことです。

目標地図のイメージ
農業経営基盤強化促進法 地域計画 杉並区 | 行政書士中村光男事務所 杉並・練馬・中野・武蔵野市・新宿区・小金井市・小平市

地域計画・目標地図の例: 川崎市   盛岡市

4 地域計画の変更(対象農地の除外)
 地域計画区域内の土地において、「農用地区域からの除外(農振除外)など」や「農地転用」を行う場合は、あらかじめ地域計画を変更(地域計画区域から除外)する手続きが必要になります。

参考 農水省「地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画)

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