遺言書 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

遺言書は、亡くなった後に「自分の意思」を伝える唯一の手段です。しかし、「書き方がわからない」「何を書けばいいのか」と感じて、つい先送りにしてしまう方が多いのも現実です。
この記事では、日本の遺言書の基本的なポイントを、ひと通りざっくりと理解できるようにまとめました。

遺言書の必要性と効果

遺言書がなければ、財産の分け方は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めることになります。
これが意外に大変で、家族間の対立に発展するケースも少なくありません。

遺言書があれば、誰に何を渡すかを自分で決めることができます。
法定相続人以外の人(例えば、お世話になった甥・姪や内縁のパートナー)に財産を残すことも、遺言書があって初めて可能になります。
また、「なぜそうしたのか」という気持ちを書き添えることで、残された家族が納得しやすくなるという効果もあります。

遺言書の種類と選び方

自筆証書遺言

全文・日付・氏名を自分の手で書き、押印するものです。費用がかからず手軽に作れる反面、書き方に不備があると無効になるリスクがあります。また、自宅で保管していると紛失・改ざんのおそれもあります。
⇒ご参考 自筆証書遺言の方式緩和

法務局の自筆証書遺言保管制度

2020年から始まった制度で、法務局が遺言書を保管してくれます。紛失や隠匿のリスクがなくなり、相続発生後に家庭裁判所での「検認」手続きも不要になります。
費用は3,900円と低廉で、自筆証書遺言の弱点をカバーできる費用対効果の高い選択肢です。

⇒ご参考 自筆証書遺言の保管制度

公正証書遺言

公証人が作成し、公証役場に原本が保管されます。最も確実性が高く、無効になるリスクがほぼありません。費用は財産額によって変わりますが、数万円程度かかります。財産が多い方や、複雑な内容を遺言に盛り込みたい方にはこちらがお勧めです。

⇒ご参考 公正証書遺言「原本」「正本」「謄本」の違い

遺言書の中身を考える

書けること・書けないこと

遺言書は何でも自由に書けるわけではありません。法律上、遺言として効力を持つ「遺言事項」は決まっています。

効力があること(遺言事項の例)

  • 財産の分け方(誰に何を渡すか)
  • 認知(婚外子を自分の子として認めること)
  • 相続人の廃除・廃除の取消し
  • 遺言執行者の指定
  • 祭祀承継者(お墓・仏壇を引き継ぐ人)の指定

法的効力がないこと(例)

  • 「長男は長女と仲良くすること」などの行動の指示
  • 「葬儀は家族葬で行うこと」などの葬儀方法の指定(希望として書くことはできますが、相続人を法的に拘束する効力はありません)
  • 離婚の意思表示
  • 特定の人物を相続人に加える指定(相続人は法律で決まっており、遺言で増やすことはできません)

ただし、法的効力がなくても、付言事項として希望を書き添えておくことは有意義です。葬儀や埋葬の方法、臓器提供の意思などは、家族が判断に迷ったときの大切な指針になります。

全財産を把握していないと書けないのか

「財産の全容がわからないから遺言書が書けない」という方がいますが、そんなことはありません。「〇〇銀行△△支店の預金は長男に」といった具体的な指定もできますし、「その他一切の財産は長女に」という包括的な書き方もできます。財産目録(財産の一覧)を別紙で添付する形式も認められており、不動産や預金口座のリストはパソコンで作成することも可能です(自筆証書遺言の場合、目録部分は自書不要)。
⇒ご参考 遺言書で全ての財産の配分を指定するのは難しい?

遺留分

遺言書で「全財産を長男に」と書いても、他の相続人が主張できる権利があります。それが遺留分です。配偶者・子・直系尊属(親など)には、法定相続分の一定割合(原則2分の1)が最低限保障されており、侵害された相続人は金銭での請求(遺留分侵害額請求)が可能です。遺言を書く際は、この点をある程度意識しておく必要があります。

遺言を実行に移すために

遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容を実際に実行する人のことです。金融機関での相続手続きや不動産の名義変更などを、相続人全員の関与なしに進めることができます。相続人間の関係が複雑な場合や財産の数が多い場合には、専門家(行政書士・弁護士・司法書士など)を遺言執行者に指定しておくと、手続きがスムーズです。

⇒ ご参考 遺言:遺言執行者の権限強化! 相続人の妨害行為は無効に!?

      遺言書に遺言執行者が記載されていないとき

      遺言執行者がいても認知症の相続人がいると成年後見人が必要なのか?

付言事項

付言事項は、遺言書の法的な本文とは別に、家族へのメッセージを書き添える部分です。「なぜこのような分け方にしたのか」「感謝の言葉」などを記すことで、法的効力はないものの、遺族の心情的な納得を得やすくなります。遺言書は法律文書でありながら、最後の「手紙」でもあります。

ご参考⇒会社をたたんで欲しいという遺言:裕次郎に学ぶ

遺言書に書いていない財産が出てきたら

遺言書に書かれていない財産が出てきた場合は、相続人全員の遺産分割協議で改めて分け方を決めることになります。そのため、「その他一切の財産は〇〇に」という文言を遺言書に入れておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。

まとめ

テーマ ポイント
必要性 自分の意思で財産の行き先を決められる。家族の争いを防ぐ効果もある
種類 自筆証書(手軽・要注意)、法務局保管(低コスト・安心)、公正証書(最も確実)
書けること 財産分けや認知など。葬儀方法などは法的効力なし
財産の把握 全部わからなくても書ける。包括条項と財産目録を活用
遺留分 配偶者・子などには最低限の取り分が保障されている
執行・付言 実行役を指定しておくとスムーズ。家族へのメッセージも添えられる

「いつか書こう」と思っているうちに、書けなくなってしまう方が多いのが現実です。

完璧な遺言書でなくても、書き始めることに意味があります。

ご不明な点や作成のサポートをご希望の方は、お気軽にご相談ください。

中村光男

この記事を書いた人

行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)

東京都杉並区 TEL 03-6356-3571

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