倉庫業の登録

■倉庫業は登録が必要な業種です。

倉庫業法は1956年(昭和31年)に制定された倉庫業を規制する事項を定めた法律です。倉庫業法では、倉庫業を営むにあたり、基準を満たした倉庫施設をもって事前に登録が必要であると定められています。

 倉庫業を営むのに登録が必要な理由につき、国土交通省のHPでは以下のように説明しています。

  • 倉庫業とは、寄託を受けた物品を倉庫において保管する事業であり、国民生活・経済活動に欠かせない多種多様な物品を大量かつ安全に保管する役割を担っていること。
  • 他人の貴重な物品を預かるという営業倉庫の特性
倉庫業法第四条

第四条 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 倉庫の所在地
 国土交通省令で定める倉庫の種類(トランクルームを含み、以下「倉庫の種類」という。)
 倉庫の施設及び設備
 保管する物品の種類
 その他国土交通省令で定める事項

 前項の申請書には、倉庫の図面その他国土交通省令で定める書類を添附しなければならない。

 登録を受けるためには、保管する物品に応じた倉庫施設の基準をクリアした倉庫であること、倉庫ごとに一定の要件を備えた倉庫管理主任者を選任すること等が必要となります。

■行政への事前の相談が重要です。

倉庫の設備要件は厳格ですので、建物ができてから登録できないことが分かったのでは大損害です。倉庫を倉庫業を開業する予定がある場合は、物件取得の前段階で、以下のような事前相談を受けたうえで、不動産業や建築士と条件を協議します。

① 運輸局等への事前相談 ⇒ 保管可能物品、倉庫の種類と施設設備基準など倉庫業法上の指導を受ける

② 地方自治体等への事前相談 ⇒ 建築指導課などに建築基準法・都市計画法などの指導を受ける

 ・倉庫業の開業に興味のある方向けに、国土交通省は分かりやすいパンフレットを作成しています。

⇒ 「倉庫業登録申請の手引き」(国土交通省 平成296月)https://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/content/000040197.pdf

・倉庫業の登録に必要な書式も、国土交通省のHPに掲載されています。

⇒ https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu05100.html

 ■倉庫でも登録不要なケース

倉庫業法では、倉庫業とは、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」をいうとしています。無償であっても「寄託を受けた物品の倉庫における保管」があれば、登録が必要となります。

ただし以下のような倉庫は、登録不要です。

① 寄託でないもの
○消費寄託(例:預金)
○運送契約に基づく運送途上での一時保管(例:上屋、保管場、配送センター)
○修理等の役務のための保管
○自家保管

②営業でないもの
○農業倉庫
○協同組合の組合員に対する対する保管事業

③政令で除外されているもの
○保護預り(例:銀行の貸金庫)
○修理等他の役務の終了後に付随して行われる保管
○ロッカー等外出時の携行品の一時預かり
○駐車場、駐輪場

■倉庫の種類

倉庫業は大きく分け「普通倉庫業」「冷蔵倉庫業」「水面倉庫業」の3種類に分けられます。「普通倉庫業」の中がさらに、細かく分かれます。倉庫の種類によって、保管できる物品が決められています。

これを表にすると以下の通りです。

ちなみに、国土交通省のデータをグラフ化すると、全国と東京都の登録された倉庫の棟数は以下の通りです。

令和4年現在、1類倉庫が全国で8,626棟、東京で508棟あるようです。

■倉庫の設備基準

営業倉庫の施設設備基準(倉庫業法第6条第1項第4号)は下記のリンクで確認できます。

https://www.mlit.go.jp/common/001371838.pdf

■変更登録
倉庫業法第4条第1項に掲げる事項を変更するときは(倉庫を新増設等)は、変更登録が必要です。

■料金の届出
倉庫業者は保管料及び荷役料について料金を定め又は変更したときは、料金の設定、又は変更後30日以内に届出しなければなりません。

■倉庫管理主任者の選任
倉庫ごと倉庫業者は、倉庫ごとに、管理すべき倉庫の規模その他の一定の基準に従って、倉庫の適切な管理に必要な知識及び能力を有する倉庫管理主任者を選任して、倉庫における火災の防止その他の倉庫の管理に関する業務を行わせなければなりません。