
最近、買取店でコピー商品(偽ブランド品)の買取を拒否するケースが増えているというニュース報道を見ます。
知らずにコピー商品を購入してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。今回は、コピー商品の危険性と法律の観点からの注意点について解説します。
コピー商品とは?
コピー商品とは、商標権や特許権、著作権といった知的財産権を侵害する違法品を指します。具体的には、以下のようなものが該当します。
ブランドバッグや高級時計などの偽ブランド品
違法に複製されたDVDやCD
模倣された化粧品や医薬品
これらのコピー商品の製造・販売は違法であり、購入することも犯罪に加担する行為になりかねません。
コピー商品の危険性
コピー商品を購入・所持することには、さまざまなリスクがあります。
知らずに売ると罪になる
自分が購入した品が偽物と知らずに転売し、点数が多かったり利益を得ていた場合、法律上の問題が発生する可能性があります。
犯罪組織を助けることになる
コピー商品の流通には、犯罪組織が関与していることが多く、知らずに犯罪資金の供給源となってしまうことがあります。
個人情報が悪用されるリスク
コピー商品を扱う悪質業者は、購入者の個人情報を詐欺や不正取引に悪用する可能性があります。
品質が悪く健康被害のリスクがある
コピー品の化粧品やサプリメントなどは、品質管理がされていないため、皮膚炎や健康被害を引き起こす可能性があります。
社会的信用を失う
コピー商品を使用したり転売したことが発覚すると、ビジネスや個人の信用を損なう恐れがあります。
買取店で買い取ってもらえない
多くの買取店は、コピー商品の買取を拒否しており、購入してしまった場合、損失となる可能性があります。
法律上の規制がある
消費者基本法第7条2項において、「消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない」と定められています。つまり、コピー商品の購入は法的にも問題視される可能性があります。
法改正による規制強化
令和3年5月の商標法および意匠法の改正により、海外の事業者が模倣品を日本国内に持ち込む行為が商標権・意匠権の侵害行為であることが明確化されました。また、令和4年3月の関税法改正により、海外の事業者が郵送等でコピー商品を日本国内に持ち込むことが禁止されました。
コピー商品を買ったら返品(クーリング・オフ)は可能?
コピー商品をインターネット通販やテレビショッピングで購入した場合、クーリング・オフ制度は適用されません。なぜなら、通信販売は消費者に十分な検討時間があるとされているためです。
消費者を守るため、特定商取引法やその他の法律に定められています。
クーリング・オフの通知は、書面(はがきなど)や電磁的記録(電子メール、ウェブサイトのクーリング・オフ専用フォーム、SNS、ファクスなど)で行います。
さらに、コピー商品を販売する業者は悪質なケースが多く、返品や返金を求めても対応しないことがほとんどです。裁判を起こすことも可能ですが、裁判費用や手間を考えると泣き寝入りするしかない場合が多いのが実情です。そのため、最初からコピー商品を買わないよう注意が必要です。
クーリング・オフが適用される取引と期間
クーリング・オフ制度が適用される取引には以下のようなものがあります。
取引形態 | クーリング・オフ期間 | 根拠法・条項 |
---|---|---|
訪問販売 | 8日間 | 特商法第9条 |
電話勧誘販売 | 8日間 | 特商法第24条 |
連鎖販売取引(マルチ商法) | 20日間 | 特商法第40条 |
特定継続的役務提供(契約金額5万円以上の、エステ・語学教室など) | 8日間 | 特商法第48条 |
業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法など) | 20日間 | 特商法第58条 |
訪問購入 | 8日間 | 特商法第58条の14 |
生命保険のクーリングオフ、損害保険のクーリングオフは、保険業法309条により、1年以上の保険期間の契約につき、一定の条件下で可能です。(生命保険協会、損害保険協会)
クーリング・オフのポイント
・契約書または申込書を受け取った日から起算。
・クーリング・オフ通知は、期間内に発信すれば有効。
・商品を使用していても、原則クーリング・オフが可能。
・事業者が妨害した場合、クーリング・オフ期間が延長される。
まとめ
コピー商品は、違法性が高いだけでなく、経済的・社会的リスクも伴います。一度購入すると返品も難しく、転売すれば罪に問われることもあります。
「知らなかった」では済まされないケースもあるため、ネット通販などで安価なブランド品を見つけた際には十分に注意しましょう。安全な取引を心がけ、コピー商品には手を出さないことが重要です。
行政書士としても、消費者の皆様が安心して取引できるよう、適切なアドバイスを提供してまいります。
参考サイト 特許庁 絶対買わんぞ!コピー商品
国民生活センター クーリングオフって何
行政書士中村光男事務所について