特定財産承継遺言 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

特定財産承継遺言は、特定の遺産を特定の相続人に相続させる遺言です。このポイントを解説します。

民法1014条Ⅱによると、これは「遺産分割の指定として、特定の財産を共同相続人の1人または数人に承継させる旨の遺言」と定義されています。この概念は、2019年7月の民法改正により正式に「特定財産承継遺言」と命名されました。

特定財産承継遺言と遺産分割の関係

特定財産承継遺言は、遺産分割方法の指定として解釈されます(民法908条)。相続発生時、特別な規定がない限り、該当財産は自動的に指定された相続人に承継されます。

しかし、全相続人で遺言と異なる遺産分割を行うことも可能です。この場合、気になる税金の面ですが、国税庁は遺言内容と異なる分割協議を行った場合、相続税の計算がその内容に基づくとしています*。

*「特定の相続人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当です。したがって、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなります。」(国税庁No.4176 遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税)

承継させる旨の遺言と特定財産承継遺言の関係

法的に、「承継させる」と「相続させる」は同じ意味です。民法の改正により、以前の「相続させる旨の遺言」が「承継させる旨の遺言」と呼ばれるようになりましたので、これからは、遺言の中で、「承継させる」という文言も用いられるようになるとみられます。

「財産の一定割合または全部を相続させる遺言」と特定財産承継遺言の関係

例えば、”遺産の1/2を配偶者に、1/4を長男に相続させる”といった遺言は、特定財産承継遺言でしょうか?

この問題を肯定する専門家も多いですが、厳密には「相続させる」という表現を含む遺言でも、遺産の割合を指定する内容は特定財産承継遺言とは異なります。

この種の遺言は「相続分の指定」とされている(民法1046条I但し書き)からです。しかし、法定相続分を超えるときに登記が必要である点や、遺留分侵害があれば遺留分侵害額を負担するなどの点で、法的効果は同じです。

遺贈と特定財産承継遺言の違い

遺贈は遺言によって他人に財産を贈与することですが、特定財産承継遺言は相続人に特定の財産を承継させるものです。遺言書内で異なる受取人に異なる財産を指定する場合、適切な表現を用いる必要があります。

特定財産承継遺言は代襲相続されるか

遺言で指定された相続人が遺言者より先に死亡した場合、その子どもに代襲相続は適用されないとされています。これは、遺言者の意図が特定の相続人に限定されているためです。

このような問題を回避するためには、相続人が自分より先に死亡した場合に備えて「予備的遺言」をしておくことが有効です。

まとめ

特定財産承継遺言は、相続の分野において重要な役割を果たします。遺言の内容、遺産分割の方法、税金の計算など、多くの側面でその影響が見られます。適切な理解と運用が、円滑な相続手続きを実現する鍵となります。

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