テレワークを実際に自社で導入する場合、どのように考えていったらいいのでしょうか。備忘まで、ポイントを整理したいと思います。
テレワークというと、ICT(情報通信技術)の製品はどれがいいか?といった具体的なサービスや商品の導入に目が向きがちですが、導入のステップとしては、それよりも先に行うべきことがありそうです。
今回、「これからはじめる在宅勤務制度」(中央経済社)と「テレワークで働き方革命」(日経MOOK)をざっと読んでみましたが、おおむね、下記のような手順で検討を進めるのが定石と思いました。
下記は「これからはじめる在宅勤務制度」(中央経済社 毎熊典子著)37Pから抜粋です。
導入手順 | 必要な措置 |
1.導入目的 | 会社方針の決定 |
2.現状把握 | 導入に伴う影響・課題の発掘、諸規定・労務管理上の課題の発掘 |
3.実施範囲の検討 | 対象者・対象業務・実施頻度の検討 |
4.教育・研修 | 制度の周知、在宅業務・実施頻度等の検討 |
5.試行的実施 | 在宅勤務者のヒアリング、在宅勤務者の労務管理 |
6.評価・改善 | 試行的実施の評価、実務的改善点の検討 |
7.労務管理・社内規定の整備 | 労務管理制度の見直し、就業規則・諸規定の整備、在宅勤務マニュアル等の策定 |
8.ICT環境の整備 | 利用するシステム・ツール等の構築・選定 |
9.セキュリティ対策 | 在宅勤務に対応するセキュリティ対策の構築 |
この導入ステップは、日経MOOKの方も、おおむね同じです。ですから定石と考えてよいと思います。ここで、なるほど思うのは、ICT環境整備は、最後の方のステップだということです。
現時点では、急を要する新型コロナウイルス対応として、テレワーク導入を急ぐムードもありますが、まず、前提として「導入目的」「現状把握」の検討を行い、方向感を職場のメンバーとしっかり共有化したいものです。
このあたりの整理は簡単でいいので、省略せずにしておいたほうがいいようです。例えば、なんとなくリモートワーク用の仕組みを購入したが、結局、あまり使わずじまいに終わったらもったいないですから。
ステップ1「導入目的」については、非常時(地震・新型インフルエンザ・・・まさに今ですね)対応や、従業員や顧客の満足度アップ、定型業務の効率化等々考えられます。
ステップ2「現状把握」ですが、これは、いわば仕事の棚卸しです。
簡単な、フォーマットを作って、それぞれのメンバーが、自分の業務を大まかに記載して、「テレワークできるもの」「テレワークできないもの」に分けます。
そして、現状はテレワークに適さないが、このような条件が揃えば可能になるといったところまで、書いてもらったらどうでしょうか。なお、テレワークに適した就業規則その他のルールがないのであれば、その点も課題として把握します。
ステップ3「実施範囲の検討」では、まず、従業員間で不公平がないような基準(職種、介護している、遠距離通勤等々でしょうか)を考える必要があります。次に、対象業務、実施頻度などを決めます。
定石としては、ステップ4「教育・研修」からステップ5「試行的実施」へ進みますが、大企業で専門家がたくさんいるなら別ですが、小組織の場合でしたら、「教育・研修」は基本的なルール確認にとどめ、まず「試行的実施」をしてみるのがいいように思います。
最初から完璧なスタートなどは、難しいですから、まずはできそうな分野または、人から試行してみる。その結果でてきた問題点を踏まえて前に進むという方式です。今ある機材を活用して、まずテレワーク的なものをしてみるとか、最初は、自宅でなく、会社の中の別の部屋で試してみるというくらいでもいい思います。
私自身、定石は踏まえつつも、あまり肩に力をいれず、スモールスタートを試行し、課題を発見するつもりで具体的に進めたいと考えているところです。