会社設立の際に、会社の憲法ともいうべき定款の作成が必要です。定款は、以前は書面による定款のみでしたが、PDF化された電子定款が認められるようになりました。
紙の定款では4万円の収入印紙も必要ですが、電子定款の場合であれば不要です(注)。電子定款は電子署名が必要になりますので、定款作成の相談も含めて行政書士や司法書士に依頼する人は多いですようです。
(注)下記の国税庁HPの記載ご参照(収入印紙は文書に対して課税されるので、PDFには課税されません。)
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/02.htm
■定款作成~会社設立までの流れは?
「定款作成」「定款認証」「法人登記」「会社設立」というステップを踏むことになります。詳しくは下記をご覧ください。
(J-Net21 https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list6/6-2-1.html)
■定款の記載事項
定款とは会社の目的や業務執行、組織などの基本規則を記したものです。定款は、それに記されているかどうかで法的効力が大きく異なる内容も含まれています。
定款の記載事項は、①法律上必ず記載しないと定款が無効となるもの(絶対的記載事項、会社法27条)、
②定款に記載しないと効力が生じないもの(相対的記載事項)、③記載するかしないか当事者に任されているもの(任意的記載事項)があります。
【① 法律上必ず記載しないと定款が無効となるもの(絶対的記載事項、会社法27条)】
① 目的
② 商号
③ 本店の所在地
④ 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
⑤ 発起人の氏名又は名称及び住所
※会社が発行する株式の総数(発行可能株式総数)については、定款作成時に定める必要はないものとし、設立中の株式引受け状況を見極めながら、設立登記申請時までに定款に定めればよいことになっています(会37条、98条)。)
【② 定款に記載しないと効力が生じないもの(相対的記載事項)】
① 変態設立事項(会28)
② 設立時取締役及び取締役選任についての累積投票廃除(会89条、342条)
③ 株主名簿管理人(会123条)
④ 譲渡制限株式の指定買取人の指定を株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)以外の者の権限とする定め(会140条5項)
⑤ 相続人等に対する売渡請求(会174条)
⑥ 単元株式数(会188条1項)
⑦ 株券発行(会214条)
⑧ 株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮(会299条1項、368条1項、376条2項、392条1項)
⑨ 取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人及び委員会の設置(会326条2項)
⑩ 取締役、会計参与、監査役、執行役及び会計監査人の責任免除(会426条)
⑪ 社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人の責任限定契約(会427条)
⑫ 取締役会設置会社における中間配当の定め(会454条5項)
【③ 記載するかしないか当事者に任されているもの(任意的記載事項)】
定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で、会社法その他の強行法規の規定等に違反しないものです。下記の任意的記載事項を変更するときは定款変更が必要となります。
(1)株式について
①株主名簿の基準日(会124条)
②主名簿の名義書換手続(会133条、134条)
③株券の再発行手続(会228条2項)
(2)株主総会について
①定時株主総会の招集時期(会296条1項)
②株主総会の議長(会315条)
③議決権の代理行使(会310条)
(3)株主総会以外の機関について
①取締役(会326条1項、331条4項)、監査役、執行役(会402条1項)の員数
②代表取締役(会349条3項)、役付取締役(会長、社長、副社長、専務取締役、常務取締役等)
③取締役会の招集権者(会366条1項)
(4)計算について
事業年度(会296条1項、会社計算規則91条2項)
(5)公告について
公告の方法(会939条1項)
(参考)日本公証人連合会⇒ https://www.koshonin.gr.jp/format
■株式会社の設立登記
株式会社や合同会社の設立登記をする場合,代表取締役ご本人がマイナンバーカードを使用して,オンラインで登記申請をすることもできます(ICカードリーダライタが必要です。)。
具体的な手順は、法務局のHP(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki2.html)に説明があります。
■マイナンバーを持っている場合は、マイナポータルの「法人設立ワンストップサービス」で、法人設立時に必要となる公証人役場・法務局・税務署・地方公共団体・年金事務所・公共職業安定所・デジタル庁などへの申請をオンラインで行うことが出来ます。
また、申請先機関での申請状況もこのサービスで随時知ることができるようになります。
「法人設立ワンストップサービス」⇒https://app.e-oss.myna.go.jp/Application/ecOssTop/