ソフトの時代の人的会社 合同会社の活用

近年では、新規ビジネスの立ち上げに、合同会社の設立が利用されるケースが増えているようです。合同会社は、会社形態のひとつで、会社の出資者全員が事業リスクに対して間接有限責任(出資の範囲内の責任)を有する点で、株式会社と同じですが、以下のような特徴があります。

【株式会社は物的会社、合同会社は人的会社】

会社組織は、物的会社と人的会社に分けられます。物的会社の代表は、株式会社で、設備投資中心のハード産業に必要な、大きな設備や資金を中心とした会社です。

人的会社は、旧商法時代からある合名・合資会社や、平成16年に新会社法で導入された合同会社です。ソフトの時代にふさわしい、人・知識・技術・アイデア・ノウハウを中心とした会社です。

人的会社である合名・合資会社は、社員の責任は無限責任です(経営に参加できない有限責任社員を除く)ので、積極的な新規事業には取り組みにくいという欠点がありました。

合同会社は、人的会社でありながら、かつ有限責任が認められているので、株式会社と合名・合資会社等の利点も兼ね備えたいいとこどりの会社と言えます。

【株式会社は所有と経営の分離、合同会社は所有と経営の一致】

株式会社は、有限責任の株主から資金を集め、経営は専門家が行うのが特徴です。これに対し、合同会社は、原則として出資者が業務執行を行いますので、所有と経営は一致します。合同会社では、業務執行をスムーズに行うため、定款自治と言って、全員一致で定款変更や、会社の在り方を変更することもできます。

【合同会社のメリット】

・出資比率にとらわれない配当分配方法を定款で決めることができる(債権者保護のための規制はある)。

・定款自治であり、株式会社のような「株主総会」「取締役」のような監視機関設置は不要。

・設立時の登録免許税が安い(最低6万円。株式会社は最低15万円)

・決算公告の義務がない。 等

合同会社は、重要な事項でも、出資者間の直接の合意により迅速に意思決定できるので、新規ビジネス立ち上げに利用されています。また、社員全員の同意により、合同会社から株式会社への組織変更も可能です。

【合同会社のデメリット】

・社員が大勢になった場合には、全員の同意がいる重要事項の決議や、過半数の同意がいる業務執行に関する意思決定が遅くなるリスクがあります。

・合同会社の持分を相続人が継承する場合は、その旨を定款に記載しておく必要があります。

・議決権は、出資金額の大きさに関わらず、議決権が1人1票で、多数決となります。例えば、出資者がABC の3名で、Aさんが出資比率で51%以上だったとして、他のBさん、Cさんと意見が割れると、1対2で負けてしまいます。この点は要注意です。

【株式会社と合同会社の比較】

株式会社 合同会社
出資者(社員) 1名以上 1名以上
議決権 1株1議決権 1人1議決権
役員(業務執行社員)の任期 最長10年 なし
利益の分配 配当(出資額に比例) 出資者に対して自由に分配可能
自己株式の取得 可能 不可