NPOに興味を持たれる方は多いと思います。内閣府の集約によれば、2022年6月現在、NPO法人の数は全国で51,910となっています。
このように、社会や地域の問題解決のため、NPO活動で活躍している人、これから始めようと思っている人、活動に関心をもっている人は年々増えています。市民が主体となり、自由な発想で柔軟に対応できるNPO活動は、少子高齢化社会を迎え、行政や企業の新たなパートナーとして、また地域社会を支える担い手として期待されています。
そもそも、NPOとはどのようなもので、どのように作ったらいいのでしょうか。
1.NPOとは
「NPO」とは「Non-Profit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略称で、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体の総称です。
したがって、収益を目的とする事業を行うこと自体は認められますが、事業で得た収益は、様々な社会貢献活動に充てることになります。
このうち、特定非営利活動促進法に基づき法人格(注)を取得した法人を、「特定非営利活動法人(NPO法人)」と言います。
NPOは法人格の有無を問わず、様々な分野(福祉、教育・文化、まちづくり、環境、国際協力など)で、社会の多様化したニーズに応える重要な役割を果たすことが期待されています。
(注)法人格:個人以外で権利や義務の主体となり得るもの
2.NPOの社会的役割
ある社会的なサービスを提供するには、政府・自治体などが行おうとすれば広く多くの人の了解が必要です。また、企業は利益が上がる見込みのないサービスを提供することは考えにくいものです。NPOとは、こうした政府・自治体や企業では扱いにくいニーズに対応する活動を自発的に行う組織です。制度の改革に取り組むなど、社会的な問題を解決するために活動する団体もあります。こうした活動も、NPOの重要な社会的な役割です。
3.NPOの種類と範囲
NPO法(特定非営利活動促進法)というものがあるため、NPOはNPO法人格を取得した団体(特定非営利活動法人、通称NPO法人)のことと思われることが多いようです。
しかし一般にNPOという場合は、こうした狭い意味ではなく、法人格の有無や法人格の種類を問わず、民間の立場で、社会的なサービスを提供したり、社会問題を解決するために活動する団体を指します。
「同好会」「趣味のサークル」等と異なり、「解決すべき社会課題・組織規則・ミッション・事業計画・PDCA」の方法等が定まっている団体であれば、法人格の有無にかかわらず広い意味でのNPOと言えると思います。
4.NPOの作り方
「地域の社会課題を仲間と解決したい」という思いを、NPOにつなげるにはどうしたらいいでしょうか。
支援センター八王子NPO説明7startが分かりやすく説明しています。
1.地域課題、社会課題、地域資源、ニーズを見つける
2.メンバー、団体の強みや好きなことを確認する
3.ミッションを明確にする
4.前向きでわかりやすい団体の名称をつける
5.活動にあった団体の「かたち」を決める
6.運営体制を整える
7.事業計画を立てる
8.活動をはじめたら、PDCAサイクルで活動を管理する
5.NPOの種類
NPOという概念は人により様々ですが、大きくいって、「(法人でない)NPO団体」、「NPO法人(特定非営利活動法人)」、「認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)」の3種類があります。NPO団体が「認証」を受けるとNPO団体法人に、NPO団体法人が「認定」を受けると認定NPO法人になります。
NPO団体 (任意団体) |
社会貢献を目的とした団体です。しかし、法人ではない「NPO団体」は、法的には代表者を中心とする「個人の集まり」として見られます。そのため、組織としての契約や建物などの所有はできませんが、申請も必要ありません。 |
NPO法人 (特定非営利活動法人) |
公益を目的として、行政に認証された法人です。認証申請に労力はかかりますが、一般的に社会的信頼が高まったり、税優遇を受けられたりします。もちろん「法人」であるため、「組織として」契約などができるようになります。 ⇒詳しくは内閣府のNPO HP(認証制度について) |
認定NPO法人 (認定特定非営利活動法人) |
認定NPO法人とは、NPO法人のうちその運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものにつき一定の基準(パブリック・サポート・テストを含みます。)に適合したものとして、所轄庁の認定を受けたNPO法人をいいます。例えば、寄附金の金額が3,000円を超える、寄附者の人数が100人以上いる等の基準があります。NPO法人よりもさらに申請要件は難しくなりますが、税制のメリットも大きくなります。認定NPO法人自身のみならず、寄付した個人や法人にも税制のメリットがあります。 ⇒ 詳しくは内閣府のNPO HP(認定制度について) |
6.NPOに法人格は必要か
NPOが、任意団体の場合、代表者が亡くなったら、団体のために個人名で開設した銀行口座の預金が個人の所有とみなされ、相続税を課せられるようなこともあります。また、団体が契約主体になれないことによって、代表者個人にさまざまな責任がかかることがあります。さらに、行政や企業などから委託事業を受ける場合に、法人であることが条件となることもあります。
一方で、法人格の取得に伴う義務や各種の手続きが負担となる団体は、任意団体のまま自由に活動を続けていくほうがよいこともあります。NPOの実態に応じて、法人化を選択することがベターな選択かの答えは違ってくると思います。
7.NPOの法人化の方法
NPO法に基づくNPO法人には、上記のように「認証」と「認定」の2つの種類がありますが、はじめの一歩は、「認証」NPO法人です。
特定非営利活動法人(NPO法人)を設立するためには、法律に定められた書類を添付した申請書を、所轄庁に提出し設立の「認証」を受けることが必要です。 提出された書類の一部は、受理した日から2週間公衆の縦覧に供し(自由に見てもらい)、市民の目からも点検されます。所轄庁は、申請が認証基準に適合すると認めるときには設立を認証しなければならないこととされています。 また、その確認は書面審査によって行うことが原則とされています。設立の認証後、申請者が登記することにより法人として成立することになります。
NPO法人の認証や認定、特例認定、監督権限を持つ行政機関を指します。所轄庁は原則として主たる事務所が所在する都道府県知事となりますが、その事務所が一の指定都市の区域内のみに所在する場合は、当該指定都市の長となります(特定非営利活動促進法9条)。
2022年3月31日現在、認証を受けたNPO法人を活動分野別に集計すると以下のようになっています。(内閣府集計)
号数 | 活動の種類 | 法人数 |
第1号
|
保健、医療又は福祉の増進を図る活動 |
29,688
|
第2号
|
社会教育の推進を図る活動 |
24,810
|
第3号
|
まちづくりの推進を図る活動 |
22,610
|
第4号
|
観光の振興を図る活動 |
3,419
|
第5号
|
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 |
2,908
|
第6号
|
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 |
18,350
|
第7号
|
環境の保全を図る活動 |
13,346
|
第8号
|
災害救援活動 |
4,354
|
第9号
|
地域安全活動 |
6,365
|
第10号
|
人権の擁護又は平和の活動の推進を図る活動 |
8,905
|
第11号
|
国際協力の活動 |
9,306
|
第12号
|
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 |
4,856
|
第13号
|
子どもの健全育成を図る活動 |
24,467
|
第14号
|
情報化社会の発展を図る活動 |
5,653
|
第15号
|
科学技術の振興を図る活動 |
2,840
|
第16号
|
経済活動の活性化を図る活動 |
9,041
|
第17号
|
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 |
12,942
|
第18号
|
消費者の保護を図る活動 |
2,928
|
第19号
|
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 |
23,912
|
第20号
|
前各号で掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
313
|
出所 内閣府NPOホームページ
参照 日本NPOセンター HP