帰化許可申請の際には、事前に各地方の法務局に予約をとって相談に行くことができます。また法務局によっては、初回相談なしで本申請できることもあります。まずは、最寄りの法務局の国籍担当課にお聞きください。今日は、具体的な注意事項をランダムですが記載いたします。
(なお、帰化許可申請は各地区の法務局に行います。各地方の法務局のホームページの帰化に関するページから、帰化許可申請の手引きがダウンロードできます。東京法務局の帰化の解説ページはここです。また、ここで帰化許可申請の手引きがダウンロードできます。)
1.国籍課への電話相談
帰化について、法務省や各地方の法務局ホームページを見てわからないことは、各地方の法務局の国籍課に電話して教えてもらうのが良いと思います。事前に参考にするホームページとしては、法務省の国籍Q&Aのページ、各地方の法務局の帰化に関するページです。
2.相談の日程予約
東京法務局の場合ですが、本申請前の相談については1時間、本申請なら2時間の枠を予約します。2時間枠の予約がとれるのは東京法務局ですと、約半年後です。
3.書類の取り揃え
帰化許可申請の書類は、①申請書類 と ②添付書類です。
①②のダウンロードページは、ここです。https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00887.html
①申請書類
申請書類等は、自分で作成する書類です。
以上のうち、(4)動機書は自筆である必要があります。その他は、パソコンで作成してOKです。パソコン作成の場合は、上記のURLからWord版をダウンロードしてください。
② 添付書類
帰化許可申請書類等に、添付する書類はたくさんあります。その目的は、主として、帰化した方には日本で新たに戸籍ができますので、その戸籍を作成するにあたっての必要情報を法務局としても、証拠に基づいてしっかり確認する必要があると考えれば、納得のいくものが多いと思います。
4.履歴書の作成方法
帰化許可申請書類のうち、少し戸惑うのは、履歴書だと思います。
・履歴書その1は、「居住関係」「学歴・職歴」「身分関係」に別れています。それぞれ、エクセルで別個に時系列で作成してから、合体させるのがコツです。
また、「居住関係」は、②添付書類で集める、住民票や戸籍、戸籍の附票の住所と一致している必要があります。
「学歴・職歴」は、やはり②添付書類で集める、卒業証書、年金記録、在職証明等と一致していることが大事です。また、学校は、小学校の入学から記載し、次の学校の入学と連続性があるように、日付を確認してください。
西暦や台湾歴と、日本の和暦の対照表を先に作っておいて、転記ミスのないように作成してください。
・履歴書その2は、最近5年間の出入国歴や賞罰です。
出入国履歴を正確に記載するためには、パスポートを見返して漏れのないようにするか、「出入(帰)国記録に係る開示請求書」で、個人情報開示請求を予めしておくのがよいでしょう。
→別コラム「在留資格 | 保有個人情報開示請求について」
また、「賞罰」には、交通違反も含まれます。「運転経歴に係る証明書(運転記録証明書)」(→取得方法はここ)で確認して有無を正確に記載します。運転記録証明書は添付が必要です。また、帰化許可申請では2か月以内に発行されたものである必要があります。本申請の予約日の2か月前に取り寄せるるようにしてください。取り寄せには2~3週間かかることも要注意です。
5.添付書類は、国や地域で異なる。
添付書類で集めるものは、各国で制度がことなるので、若干異なります。東京法務局のHPでは、次のようになっています。
初回相談時に、申請者用に必要書類をチェックした「帰化許可申請書類の点検表」を
6.書類の取り揃え順
法務局には受付時の必要書類リストの番号中に揃えた原本とコピーを提出します。審査時に頻繁に取り外しますので、大きめの黒いクリップでしっかりと留めます。
申請書も添付書類も、原本とコピーの2部を、相談時にもらう相談受付票の必要書類の順序に閉じます。コピーは紙の真ん中でコピーします。スマホで写真をとって、プリンターを使って複製する場合は、原本と複写プリントのサイズが同じになるようにします。
7.帰化許可申請書類のチェックリスト
帰化相談必要書類の確認表は、国別に、次のようなチェックシートが用意されています。原本、写しともに、この順番にセットします。
・中国 →こちら
・台湾 →こちら
・韓国 →こちら
・他の国籍 →こちら
8.翻訳書類と原本のセット方法
審査担当の方は、A4の原本とA4の翻訳を見比べるので、原本は原本、翻訳は翻訳で分けて作成し、クリップなどで留めるのがいいです。
9.パスポートのコピー方法
帰化の「法定住所期間」は5年ですので、住民票を遡ってとるのは5年でいいのですが、パスポートについては、手元にあるものをすべて、原本とコピーを提出します。
パスポートのコピーは「表紙」「写真のあるページ」「入管のスタンプのあるページ」のすべてです。ときたま、出入国の記録に関係のない付箋がついていあるページがありますが、そのままコピーすると、スタンプの記載事項が読めないことがあります。そのときは、付箋をとってコピーしてください。
パスポートのコピー漏れのページがないか、最後に1枚ずつ入念にチェックします。漏れると、そのページを再度提出する必要があります。
10.離婚や結婚の証明
事前相談で、離婚や結婚の「記載事項証明」を取り付けるように指示される場合があります。記載事項証明とは、実際に届け出た申請書を受理した役所が原本をコピーして、証明文言を付けたものです。何年も前に出した手書きの申請書のコピーがついています。
より一般的なもので、「受理証明」というものがありますが、これは原本のコピーはついていません。「記載事項証明」とは別物です。要注意です。
ただ、戸籍や戸籍の附票で、婚姻や離婚の事実が記載されているなら、そもそも、「記載事項証明書」はいらない場合がありますので、疑問に思ったときは、法務局の国籍課にお尋ねください。
11.添付書類は発行日が古くなりがちなので注意
帰化許可申請の場合、最初の相談日(通常1時間)と次の本申請の予約日(通常2時間)では半年くらいの間があいてしまいます(東京法務局の場合)。したがって、この間に、せっかく集めた書類が期限切れになってしまうものが出てくることがあります。
その際は、取り直しが必要です。帰化許可申請上の有効期間は、例えば、運転経歴書は2か月(手引き記載)などと決まっています。
ただ<身分関係を証明する各国の書類>は、「7.のチェック表」や「帰化許可申請の手引き」には、明確に記載されていませんが、おおむね次のようになっています。初回相談の際により具体的な指示があると思います。
<身分関係を証明する各国の書類>
韓国→発行後3年
台湾→発行後1年
中国→個別
日本→戸籍 発行後6か月、住民票 発行後6か月
12.ロシアの国籍証明
国籍証明はすべての国を共通して必要書類ですが、国籍証明が出ない国もあります。ロシアの場合は、日本のロシア大使館で「ロシアのパスポート所持証明」が取得できますので、これで国籍証明になります。
13.「生計の概要」の書き方
生計の概要①は、生活費の説明です。
本申請の前月の、収入と支出を記載します。注意点は収入と支出が一致することです。実際に、収入金額と支出金額の差額が発生しますが、それは「貯蓄から取り崩し」や「貯蓄へ」等の項目によって埋まることになります。
生計の概要②は、資産の説明です。
対外資産が5000万円以上ある場合、帰化許可申請手続きとは別に、国税局に届出が必要です。これは法的義務の履行の有無を問われますので、確実に行っている必要があります。
参考)国税庁「国外財産調書の提出義務」
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