帰化許可申請に必要な日本語力とは

帰化許可は、法務大臣の裁量によります。帰化の一般的な条件は、公開されていますが、その中に、「日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話・読み書き)を有していること」というものがあります。

会話はできる方が多いですが、帰化申請では「読み書き」ができるかどうかが、実務的に重要となります。申請書、宣誓書、動機書はすべて日本語で記載されるからです。

申請書類全部を読み書きするというのは、少し難しいかもしれません。しかし、最低限、宣誓書や動機書は、本人が読んだり書いたりできないといけませんし、毎回、書かなければいけない相談票も自分でかけることが必要です。

◎相談票が自分で書けること。

法務局では、予約をとって相談に行くのですが、初回は相談質問票に、また次回以降も、簡単なフォームに住所、氏名、電話番号を記載する必要があります。

この書類を申請者本人が記載できる程度の日本語力は必要です。帰化相談には、行政書士等専門家が同行することも多いかと思いますが、ここは帰化の重要な要素である、「日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話・読み書き)を有していること」を示す意味でも、大切なところです。

 

帰化相談質問票 杉並区 | 行政書士中村光男事務所
帰化相談質問票 東京法務局の例

◎宣誓書の読み、自筆でサインできること。

申請者本人が、宣誓書を読んで、理解し、「令和〇年〇月〇日 自分の名前」の署名ができること。

宣誓書の文章は、以下の通りです。この内容を理解して、他人に自分で説明できることが重要です。

帰化宣誓書 杉並区 | 行政書士中村光男事務所 

◎動機書が書けて、読めること。

動機書は、申請者の日本語レベルに応じて、申請者が書いてください。

文章の内容は、誰かのアドバイスをもらうこともあるかと思いますが、申請者本人の本心が書かれていて、内容をしっかり理解し、自分で読んで、自筆でかけることが必要となります。

動機書の例

私は、20歳の時に来日し、日本語学校で日本語を学びました。その後、日本の大学に進学し、経営学を専攻しました。日本での勉強を通じて、ビジネスや日本社会について深く理解を深めることができました。

大学卒業後、日本の会社に就職し、現在は管理職として働いております。仕事を通じて多くの経験を積み、充実した毎日を過ごしています。会社の発展に貢献できることを誇りに感じていますし、日本での生活にも満足しています。

日本は、私にとって生活の基盤であり、安心して過ごせる場所となっています。ここで多くの友人に恵まれ、日々の生活も豊かで安定しています。これからも日本で生活し、日本の社会に貢献していきたいという強い思いがあります。

これまで学んだ知識や経験を活かし、さらに日本社会に貢献できるよう努力していきたいと思っています。日本国籍を取得することにより、より深くこの国に根付き、自分の能力を活かして社会に役立てる機会を広げたいと考えております。

何卒、よろしくお願い申し上げます。  令和〇年〇〇月〇〇日    署名 」

◎日本語テストに対応できること

漢字文化圏出身でない方や、日本語検定の上位級がない方には、日本語テストがあると考えた方が良いようです。日本語テストの内容は、非公開ですが、10分程度のペーパー試験で、レベルは小学校1年から2年の国語力という情報もあります。

以前よりは、日本語力が重視されているようです。

テストのイメージは以下のようなものです。

具体的には、「ひらがなの単語をカタカナで書けるか(あるいはその逆)」、「やさしい文章を読んで、文意が読み取れているかの質問に答える」といったものが、過去にはあったようです。各法務局や、申請人のレベルに応じてテストの内容や方法は多様なようですから、あくまでもイメージをつかむ参考としてください。

【イメージ】

Q1 つぎの、ひらがなを、カタカナにしててください。

・とまと ⇒ (     )

・よーろっぱ ⇒ (     )

Q2 つぎの、カタカナを、ひらがなにしてください。

・ノート ⇒ (     )

・ウマ ⇒ (     )

Q3 つぎのぶんしょうをよんで、しつもんにこたえてください。

わたしは、あさにおきて、あたたかいおちゃをのみました。そのあと、いえのまわりをさんぽして、はなやくさをみました。きれいなそらをみあげると、くもがすこしだけうかんでいました。

  1. わたしは、あさになにをのみましたか?
  2. わたしは、いえのまわりでなにをしましたか?
  3. そらにはなにがうかんでいましたか?

Q4 (小学校1年、2年程度の漢字をまぜたもの)

わたしは、友だちと公園へ行きました。公園でボールを使って遊びました。そのあと、ベンチにすわってジュースを飲みました。空には大きな鳥が飛んでいました。

  1. わたしは、どこへ行きましたか?
  2. わたしは、公園で何をしましたか?
  3. 空には何が飛んでいましたか?

参考 帰化の一般的条件

帰化の一般的な条件には、次のようなものがあります(国籍法第5条)。
また、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限りません。これらは、日本に帰化するための最低限の条件を定めたものです。

(1) 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。なお、住所は、適法なものでなければなりませんので、正当な在留資格を有していなければなりません。
(2) 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が18歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
(3) 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮し、通常人を基準として、社会通念によって判断されることになります。
(4) 生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすことになります。
(5) 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。
(6) 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような方、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような方は帰化が許可されません。

なお、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、上記の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から第8条まで)。
また、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有していることが必要です。

出典:東京法務局 帰化について

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