帰化申請を行う場合は、帰化後の本籍を決める必要があります。これは戸籍を作るために必要なプロセスです。外国籍の方には住民票はあっても、戸籍はありません。戸籍謄本は住民票とは異なり、日本人特有の証明書です。
戸籍と本籍の関係
戸籍とは、日本国民が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、婚姻、死亡、親族関係など)を登録し、公に証明するための公簿です。現在の戸籍は一組の夫婦と姓を同じくする未婚の子を単位につくられています。戸籍は戸籍法に基づく届出により記録されます。本籍は戸籍を置く場所を指します。
本籍は、日本国内の地番がある場所であればどこでも置くことができ、住所と本籍が一致している場合もありますが、必ずしも一致するわけではありません。
ところで、戸籍は英語で言えば、Family register、つまり「夫と妻と子供を単位とする登録制度」です。多くの国は、個人の登録制度に移行しています。日本の戸籍制度に類似したものは、現在では台湾にしか見られないといわれています。このため、日本や台湾の方ですと、戸籍によって人の一生のイベント(生死・結婚離婚など)や家族関係が戸籍によって公的に証明可能ですが、他の国の方の場合、家族関係を証明するのは少し大変になります。
韓国では、2007年4月27日に制定された「家族関係登録等に関する法律」により、2008年1月1日より「戸籍制度」が廃止され、「家族関係登録制度」が施行されました。この制度移行により、戸主を中心に家単位で編製されていた戸籍は廃止され、国民個人別に「登録基準地」に従って家族関係登録簿が編製されるようになりました。家族関係登録簿には、父・母・子など個人それぞれに生年月日や両親の名前、婚姻などの情報が記載されます。ただし、本人の兄弟姉妹は家族関係証明書には記載されません。
帰化と戸籍
帰化後に戸籍の内容は、帰化時に未婚か既婚かによっても異なります。たとえば、親子が共に帰化した場合や帰化した者の親が日本人の場合は、通常子は親の戸籍に入ります。ただし、子が親と異なる氏や本籍を定めた場合、子に配偶者や子がある場合などは新戸籍が編製されます。
日本人と結婚している方が帰化した場合は、日本人配偶者の戸籍に入籍する必要があります。夫婦別姓は認められていないため、日本人配偶者の苗字(氏)になります。苗字を変更したい場合は家庭裁判所の許可を得る必要があります。
本籍の決め方
日本に帰化すると、日本の戸籍に新しく入籍することになります。帰化の年月日などの事実や帰化届は戸籍に記載され、転籍をしない限り戸籍に残ります。戸籍には帰化者の両親の名前も残っているため、戸籍を見ると帰化したことがわかります。
帰化届は、帰化の告示日から1ヶ月以内に住所地を管轄する市町村役場または本籍を管轄する市町村役場に提出します。提出すると自動的に戸籍に記載され、1週間から10日程度で戸籍を取得できます。
帰化後の本籍は、申請者が決めて、帰化申請書に記載するものです。
本籍は、住所と一致する必要はないので、東京に住んでいる方が、北海道や沖縄に本籍地と定めることは可能です。しかし、戸籍謄本(全部事項証明)を取る際には、本籍が遠いと面倒ですので、やはり、自分が住んでいる場所に戸籍を置くのがベターです。
いくら住所と戸籍が一致しているのが便利だといっても、引っ越しが多い方が、その都度、本籍地を変更するのは考えものです。免許証やパスポート等で、本籍変更手続きが必要になりますし、相続の際に取り寄せる戸籍の数が増えますから、遺族の負担が増えます。
本籍は「土地の地番」 番地)または「住所の街区符号」 番)のいずれかを用いて定めます。 「土地の地番」とは土地の登記簿などに記載されている地番号のことで、枝番号の有無等は区市町村 ごとに異なります。
※実例 小平市の例 https://www.city.kodaira.tokyo.jp/faq/014/014385.html
例1)住居表示未実施地区の住所 「番地」表記)に合わせて新本籍を設定する場合
住 所 「東京都小平市小川町一丁目123番地の4」 → 新本籍 「東京都小平市小川町一丁目123番地4」
※番地の後の「の」は記入しません。
例2)住居表示実施地区の住所 「番」表記)に合わせて新本籍を設定する場合
住 所 「東京都小平市花小金井一丁目4番8号」 → 新本籍 「東京都小平市花小金井一丁目4番」
※「住所の街区符号」で定める場合、末尾の家屋番号 8号)は記入しません。
まとめ
帰化後の本籍地をどこにするかは、自由ですが、一般的には現在の住所地に置いたほうが、その後の手続きが簡便です。住所が〇〇市〇〇町1-2のとき、本籍は〇〇市〇〇町1となりことが多いですが、自治体によって事情が異なる場合もあるので、事前に確認しておくほうがよいでしょう。