帰化 法定住所期間とは何か?

帰化の要件では、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」が「法定住所要件」(原則。緩和される場合あり)です。

したがって、申請時に提出する住民票や、出入国記録は、法定住所要件である過去5年あればよいということになります。

実際、住民票については「帰化の手引き2024」の9ページ、出入国記録については19ページ(注)でそのように記載されています。(帰化の手引きは、東京法務局のHPからDLできます。)

しかし、履歴書(その1)(手引き18ページ)を記載する際には、居住関係の情報を「古い年代からもれなく」記載することが求められているので、住民票はとれるだけとっておいたほうがより正確な履歴書が作成できます。

特に、引っ越しが多い申請人はそのように言えると思います。

法定住所期間とは

法定住所期間とは、帰化の住所条件を満たすための日本における「住所期間」のことです。

一般的には5年(国籍法5条1号)です。

ただ、国籍法第5条から第8条までの各条文によって、住所条件が緩和される場合があります。

緩和される例としては、「日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの」(国籍法7条)が代表的です。

なお、外国人住民にも日本人と同様に住民票が作成されるようになったのは、2012年(平成24年)7月9日以降(住民基本台帳法の一部を改正する法律)です。2012年7月以降m住民票は世帯ごとに編成され、日本人と外国人の両方がいる世帯も一つの世帯として登録されます。

国籍法第5条から第8条までの各条文

第5条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。

一 引き続き5年以上日本に住所を有すること。←原則

二 20歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。

三 素行が善良であること。

四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。

五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。

六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第5号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

第6条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第1項第1号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの

二 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの

三 引き続き10年以上日本に居所を有する者

第7条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第5条第1項第1号及び第2号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。

第8条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第5条第1項第1号、第2号及び第4号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの

二 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの

三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの

四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

第9条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第5条第1項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。

 

2012年7月以前の住所歴の確認方法

2012年7月(平成24年7月)以前の住所移転を確認したい場合は、出入国在留管理庁に個人情報開示を求めて、「外国人登録原票」「外国人出入国記録」を取り寄せます。その方法については、別コラム「在留資格 | 保有個人情報開示請求について(2024.08.08更新)」をご覧ください。

要点  (https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/index.html に記載されています)

1.平成24年7月9日(2012年7月9日)以前の記録については、「外国人登録原票に係る開示請求書」で、四谷の入管に申請する。

2.  平成24年7月9日(2012年7月9日)以降の記録については、「出入(帰)国記録に係る開示請求書」で、四谷の入管に申請する。
注意→「出入(帰)国記録」意外にも、「在留資格の申請」「住所」など数多くの情報を開示請求できる。請求する際には、すべての開示項目にチェックをすることがおすすめ。

3.過去の在留資格にかかわる申請書の写しを取り寄せたい場合は、「保有個人情報開示請求書」で、各管轄の入管(総務)に申請する。

法務局の実務

帰化申請の許可は、法務大臣の裁量ですが、申請の窓口は、法務局の国籍担当課です。https://www.moj.go.jp/MINJI/kokuseki_contactpoint.html

東京法務局については、こちら→https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00887.html

法務局では、住民票は最低、法定住所期間内を集めればOKというスタンスです。また、入管への情報開示は法務局が適宜行っているようです。

ただし、繰り返しになりますが、正確な帰化申請書類を作るためには、法定住所期間は当然ですが、取れる資料は自主的に取得したほうが良いと思われます。

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