履行遅滞 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

昨日ブログの続きです。

(3)遅延の場合の定め方

契約において履行遅滞が発生した場合の対応方法を明確に定めることは重要です。契約の当事者が履行を期限までに行わないときに備えて、契約解除と損害賠償請求のいずれか、またはその組み合わせを選択することが求められます。これは契約の種類ごとに異なるため、具体的な契約に応じて適切な対応を考える必要があります。

① 契約解除

契約解除は、履行遅滞が発生した場合に契約関係を終了させる手段です。これは特に重大な履行遅滞が発生した場合に用いられます。

② 遅延についての損害賠償請求

遅延に対する損害賠償請求は、履行遅滞によって発生した損害を賠償することを目的としています。契約解除に代わる手段として、または契約解除と併せて用いられることがあります。

契約の種類ごとの対応例

ア. 不動産の売買契約の例

不動産売買契約において、売主が決済期日までに土地建物の引渡しや移転登記を行わない場合、売主の責めに帰すべき事由がない限り、原則として「履行遅滞」の責任が発生します。不動産売買契約では履行遅延の損害賠償を定めることも可能ですが、通常はその規定を設けないことが多いです。履行遅滞が発生した場合、通常は契約解除が行われ、その後損害賠償請求が行われることが一般的です。

イ. 建築請負契約の例

建築請負契約の場合、工事が遅れても契約を解除することが必ずしも適切でないことがあります。工事の進行状況や遅延の程度によっては、工事を続行することが合理的である場合が多いため、履行遅滞に対する損害賠償請求を規定することが一般的です。

ウ. 部品加工契約の例

部品加工契約では、納期に遅れた場合の損害賠償について具体的に取り決めておくことが重要です。例えば、次のような条項を設けることが考えられます。

第●条 加工業者の遅延についての賠償

「加工業者が部品の納入を期限内に履行しなかったときは、1日につき○○円の遅延損害金を支払うものとする。」

このような条項を設けることで、履行遅滞に対する具体的なペナルティを明示し、遅延発生時の対応をスムーズにすることができます。

エ. その他の例

その他の契約についても、履行遅滞が発生した場合の対応方法を明確に定めることが重要です。例えば、サービス提供契約においては、遅延による損害賠償条項を設けることで、契約当事者が遅延に対する対策を講じやすくなります。

まとめ

契約における履行遅滞の対策として、契約解除と損害賠償請求のいずれか、またはその組み合わせを明確に定めることが重要です。契約の種類ごとに最適な対応を選択することで、履行遅滞が発生した場合でも適切に対応できるようにしておきましょう。

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