相続 | ネット証券に口座を持っている方が亡くなったときどうする?/杉並区の行政書士が解説

複数の口座を一括で現状把握できるアプリは便利です。私は機能の多い、有料版を利用していますが、10口座程度までなら無料で利用できると思いますので、まだ使ったことが無いという方は、お試しされたらいかがでしょうか。

ところで、万万が一、自分が亡くなった場合、あちこちに分散して保有している銀行預金や、ネット証券の株式資産を処分するのに、残されたご家族はどうしたらよいのでしょうか。
特に、ネット証券の場合は、IDもPWも分からない場合があり、心配です。杉並区の行政書士が解説します。

ネット証券会社の相続手続き概要

遺言や遺産分割協議書が無い場合とある場合に分かれます。

手続きの基本的考え方は、亡くなった方の資産を、遺言がない場合は、相続人全員の了解を得たうえで相続人代表者の新口座に移します。

遺言や遺産分割協議書がある場合は、銘柄を特定したうえで、それぞれ相続人の口座に移管します。

どちらも、ネット証券会社に本人が亡くなったことを連絡するところがスタートです。

大雑把に言って、連絡できれば、後の手続きは、証券会社の指示に従えば、何とかなります。手続きはすべて郵送で済みます。
ですので、重要な点は、やはり、故人がどこの証券会社に口座を持っていたのかを、家族が把握しておくことですね。

相続人代表者が手続きする方法

遺言や遺産分割協議書がない場合は、以下のような流れとなります。なお、証券会社によっては、細かい差があると思いますので、実際の手続きには、個別に確認が必要です。

ステップ1 相続発生の連絡

・証券会社に、相続人が相続発生と、相続人代表者を連絡する。
・証券会社は、手続きの案内と被相続人様の残高内容や法定相続人の人数により、相続手続きに必要な書類を送付する。株式や投資信託などの残高がある場合は、口座開設申込書を送付される。相続人が複数いる場合は、委任状が送られる。
・相続発生の連絡を受けると、被相続人の口座は凍結(取引制限)される。

ステップ2 委任状、戸籍謄本、印鑑証明書の提出

・ステップ1で送付された「委任状」に法定相続人全員の署名・捺印の上、提出する。
・法定相続人様の確定のため、「委任状」と一緒に被相続人の出生から死亡までが連続して確認できる戸籍謄本、法定相続人様全員の印鑑証明書を提出する。
・(相続関係者皆の戸籍と印鑑証明書を確認後)相続人代表に『残高明細(相続資産口座振替用)』が送付される。
・以後の相続手続きや書類のやり取りは、相続人代表者が行う。書類の送付先は相続人代表者の印鑑証明書に記載された住所となる。

One point 法定相続情報一覧図の写し」(法務局の発行する認証文付きの書類原本)を提出すれば、戸籍謄本の提出は原則不要となる。

ステップ3 手続き書類への記入

・委任状、戸籍謄本、印鑑証明書の提出をすると、相続人代表者宛に『残高明細(相続資産口座振替用)』が送付される。『残高明細(相続資産口座振替用)』を参照し、同封の『相続資産口座振替依頼書・相続上場株式当移管依頼書』を作成する。
・被相続人口座の資産が、相続人代表者へ振替される。
・被相続人様の口座を閉鎖する手続きする。

One point相続人代表者が被相続人が利用していた証券会社に口座を持っていない場合には口座の開設が必要となります。

ステップ4 手続き書類の郵送

・郵送により相続手続き書類が全て揃うと、証券会社が手続きを行います。手続きは、通常7日から15日前後で完了します。
・相続手続きが完了すると、『相続手続完了通知』が郵送されてきます。

遺産分割協議書による方法

相続人が協議した相続内容を書面にして、被相続人の資産を分割して相続する方法です。

・各相続人が取得する資産を特定できるよう具体的に記載し、協議の成立した日付を記入し、相続人全員による自署および印鑑証明を受けた実印での押印が必要です。縦書きや横書き、自筆やパソコンでの作成など、書式・形式は問いません。

・遺産分割協議書があれば、全相続人の意思が明確ですので、委任状の提出は必要なくなります。

One point 遺産分割協議書により分割して相続する場合でも基本的には相続人代表者を窓口として決め、手続きの問合せや書類の受渡しは相続人代表者が行います。

遺言書(公正証書遺言、自筆証書遺言)による方法

あらかじめ作成された遺言書に沿って、相続を行う方法です。

<公正証書遺言とは>
公証人が、遺言者(被相続人様)から遺言の趣旨の口述をもとに作成した遺言書です。
原本が公証役場で保管された証拠力の高い証書のため、検認などの特別な手続きを経ずに相続開始後すぐに遺産分割等が可能です。

<自筆証書遺言とは>
“手書き”の遺言書です。法的な要件を満たすためには「自筆であること」など一定の方式に従って作成する必要があります。検認等の裁判所による手続きは求められます。

行政書士は、面倒な戸籍収集や法定相続情報一覧図の作成や遺産分割協議書調製のご支援が可能です。お困りごとは、お気軽にご相談ください。
参考
マネックス証券
SBI証券
楽天証券

サイト管理者の杉並区の行政書士中村光男です。ホームページにもお立ち寄りください。

何かお聞きになりたいことがあれば、お気軽にをお問い合わせメールを頂ければ幸いです。