就職継続特定ビザ 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

大学や専門学校を卒業した留学生が、留学生としての在留期間が満了した後も、日本に在留して就職活動をしたい場合にはどうしたらいいでしょうか?

そのようなとき、一定の条件を満たせば、就職活動を行うための「特定活動ビザ」を得ることができます(「継続就職活動ビザ」と言います。)。期間は6か月ですが、更に1回の更新が認められるので、大学等を卒業後も1年間、日本で就職活動ができます。このビザは、留学の成果を日本で就職に結びつけるためにはメリットの多い制度です。

特定活動ビザと定住者ビザ

特定活動ビザとは、通常の在留資格に当てはまらない活動について、法務大臣が個々の外国人について特に指定する在留資格(ビザ)です(このような性質をもつもう一つのビザは、「定住者」です)。平成元年(1988年)の入管法改正でできた制度です。

入管法では、在留資格ごとの活動は具体的で明確に決めることにしていますが、立法時点では、想定できなかった活動や、一時的に需要のある活動のためには、法律改正で対応するよりは、「特定活動」や「定住者」というカテゴリーを予め作っておくことにしたのです。

・入管法 別表第一の5

在留資格 本邦において行うことができる活動
特定活動 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動

・入管法 別表第二

在留資格 本邦において有する身分または地位
定住者 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者

告示されている特定活動と告示外の特定活動

「特定活動」も「定住者」も、法務大臣が外国人ごとに個別に与える在留資格です。「特定活動」の場合は、活動内容が指定され、「定住者」の場合は、期間が指定されます。しかし法務大臣が個別に判断するということだけでは、あまりに漠然としているので、典型的なケースについては、法務大臣による告示という形で、具体的事例が列記されています。

特定活動は、①告示されているもの(約50種類)②告示外だが出入国在留管理庁のホームページ等で明示されている特定活動③それ以外の告示外の特定活動、に分かれます。

出入国在留管理庁のホームページでは、特定活動の事例がたくさん紹介されています(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html)が、全てが告示されているものはありません。今回のテーマの「大学等を卒業して就職活動を続けることのできる在留資格」は、告示外ですが、出入国在留管理庁のホームページで具体的な申請方法が記載されています。

特定活動ビザの例 杉並区 | 行政書士中村光男事務所
入管法ホームページで例示されている特定活動

 

①告示されている特定活動の例
・アマチュアスポーツの選手及びその家族(特定活動告示6号)
・スキーインストラクター(告示50号)
・EPA看護師・介護福祉士及びそれらの候補者(告示16,17,20,22,27-29) 等
特定活動告示

②出入国在留管理庁のホームページ等で想定されている告示外の特定活動の例
・出国準備のための活動
・継続就職活動 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities14.html 、 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan84.html
・特定技能移行準備
・帰国が困難な元中長期在留者

参考ブログ→ 「在留資格「定住者」とは
参考 → 申請予約ができる特定活動とできない特定活動 (特定活動一覧

継続就職活動ビザの概要

<大学等卒業1年目>

大学を卒業し又は専修学校専門課程で専門士として卒業した留学生等の方が、「留学」の在留資格の在留期間満了後も日本に在留して、継続して就職活動を行うことを希望される場合は、その方の在留状況に問題がなく、就職活動を継続するに当たり卒業した教育機関の推薦があるなどの場合は、就職活動を行うための在留資格(特定活動、在留期間は6月)への変更が認められ、更に1回の在留期間の更新が認められます(→合わせて1年間在留可能)。

<大学創業後2年目>

上記1により就職活動を行っている留学生等が、地方公共団体が実施する就職支援事業の対象となり、地方公共団体から当該事業の対象者であることの証明書の発行を受け、大学等を卒業後2年目に当該事業に参加してインターンシップへの参加を含む就職活動を行うことを希望される場合で、その方の在留状況に問題がないなどの場合は、当該事業に参加して行う就職活動のための在留資格(特定活動、在留期間は6月)への変更が認められ、更に1回の在留期間の更新が認められます。

就職継続ビザの申請方法

申請できる人

1.継続就職活動大学生
 在留資格「留学」をもって在留する本邦の学校教育法上の大学(短期大学及び大学院を含む。以下同じ。)を卒業した外国人(ただし、別科生、聴講生、科目等履修生及び研究生は含まない。)で、かつ、卒業前から引き続き行っている就職活動を行うことを目的として本邦への在留を希望する者(高等専門学校を卒業した外国人についても同様とします。)
2.継続就職活動専門学校生
 在留資格「留学」をもって在留する本邦の学校教育法上の専修学校専門課程において、専門士の称号を取得し、同課程を卒業した外国人で、かつ、卒業前から引き続き行っている就職活動を行うことを目的として本邦への在留を希望する者のうち、当該専門課程における修得内容が「技術・人文知識・国際業務」等、就労に係るいずれかの在留資格に該当する活動と関連があると認められる者
3.継続就職活動日本語教育機関留学生
海外の大学又は大学院を卒業又は修了した後、在留資格「留学」をもって在留する一定の要件を満たす本邦の日本語教育機関を卒業した外国人で、かつ、当該日本語教育機関を卒業する前から引き続き行っている就職活動を行うことを目的として本邦への在留を希望する者

卒業前であっても、教育機関からの推薦状、卒業見込み証明書及びその他の必要書類があれば、在留資格変更許可申請が可能です。※この場合、在留資格変更許可時に、卒業証書(写し)又は卒業証明書が必要となります。

必要書類(留学からの在留資格変更許可申請)

1.継続就職大学生の場合
大学の卒業証書(写し)又は卒業証明書 1通
大学による継続就職活動についての推薦状 1通
継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
  ※大学院生について、研究活動等に専念する必要があり、在学中、就職活動を十分に行うことができなかった場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署まで個別相談が必要。

2.継続就職活動専門学校生の場合
・専修学校の発行する専門士の称号を有することの証明書 1通
・専修学校の卒業証書(写し)又は卒業証明書及び成績証明書 1通
・専修学校による継続就職活動についての推薦状 1通
・継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
・専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料 1通

3. 継続就職活動日本語教育機関留学生の場合(海外大卒者のみ)
・日本語教育機関の卒業(又は修了)証書(写し)又は卒業(又は修了)証明書 1通
・日本語教育機関が発行する出席状況の証明書 1通
・海外の大学又は大学院を卒業し、学士以上の学位を取得していることを証する文書若しくは卒業証明書 1通
・日本語教育機関による継続就職活動についての推薦状 1通
 ・継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
・日本語教育機関と定期的に面談を行うとともに、就職活動に関する情報提供を受ける旨の確認書 1通
・日本語教育機関が一定の要件を満たしていることが確認できる資料 1通

必要書類2(在留期間更新申請) 

上記の必要書類に追加して、「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」が必要となります。

特定活動ビザのメリット

継続就職ビザを取得できると、1年間は就職活動に専念できます。大学等を卒業してすぐに就職が決まらないようなケースでも、留学ビザの期限に制約されずに、じっくりと就職活動を行い、日本での留学経験で学んだことを日本社会で実践する機会が得られます。日本でキャリア形成を考えている留学生の皆さんには、とても価値のあるビザだと言えます。

特定活動の指定書

特定活動での在留資格が許可されると、在留カードと共に「指定書」が発行されます(またはパスポートに添付されます)。指定書には活動内容詳細が具体的に記載されています。

特定活動 指定書 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

就職活動を目的として特定活動の在留資格を取得した場合は、指定書に「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」と記載されます。このままでは就労する事は認められませんので、アルバイトをしたい場合等は「資格外活動許可」を取得して、在留カードへの記載してもらう必要があります。

参考 本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合(出入国在留管理庁)

注意点

・就職継続ビザでは、学校から推薦状を得るなど卒業した学校の協力が必要です。このため、日頃から、学校とは良好な関係を維持しておくことが重要です。
・就職継続ビザでは、就労はできません。アルバイトをするためには、資格外活動許可を必ずとる必要があります。
・就職活動についての記録を取っておきましょう。最初の6か月で、就職ができなった時には、その記録をつけて、ビザの更新を行うので、記録があるとスムーズです。

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