内閣府のホームぺージに、令和4年度の「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」で受け付けた提案への各省庁からの回答が掲示されました。
要望と回答を読むと、各産業でどのような要望があって、それにどう回答されているかが分かって興味深いです。国が「検討する」と回答している項目もかなりありました。私は行政書士ですので、今後の許認可に関係ありそうなものをピックアップしてみました。
規制改革要望について
規制改革要望に関し、今回の発表分では、個人や各団体からの要望は205件(エクセルのデータ数)。そのうち回答が「検討する」であったのは47件(同)でした。
このうち、今後の許認可に関係ありそうな項目で目についたのは、以下のものです。
提案事項 | 具体的内容 | 所管官庁 | 対応 |
スタートアップ拠点形成に向けた外国人起業家の在留資格取得要件の緩和 | (前略)①国家戦略特区と同様にコワーキングスペースを事業所とみなす要件緩和、②最低資本金500万円から300万円への引き下げ、③外国人起業活動促進事業における起業準備期間の資格外活動(週28時間以内の就労)の容認、を行うべきである。 | 法務省 経済産業省 |
①検討を予定 ②、③対応不可 |
特定技能所属機関による定期届出頻度の見直し | 定期届出の提出頻度を四半期ごとから半年ごとに見直すべきである。 | 法務省 | 検討を予定 |
在留資格「技能実習」における申請書類の簡素化 | 提出書類の内容が氏名を除き同一である場合に限り、「技能実習計画認定申請書」「技能実習計画」、「入国後講習実施予定表」、「実習実施予定表」については、受け入れる実習生の一覧表を添付することで、正本・副本各1部にて足ることとすべきである。 | 法務省 厚生労働省 |
検討に着手 |
にぎわいある街づくりに向けた道路占用に係る手続のワンストップ化 | 「道路占用システム」とe-Govのシステム間直接連携等により、指定区間内の国道とその他の道路を同時に占用しようとする場合も、2つのシステム上でそれぞれ手続を行うのではなく、1つのシステム上でワンストップに行えるようにすることで、利便性を向上させるべきである。 | 国土交通省 デジタル庁 |
検討を予定 |
調剤に従事する薬剤師の員数の見直し | 当該薬局における調剤に従事する薬剤師の員数について、一日平均取扱処方箋数に応じて四十を除算して算出することが法令にて定められているが、この「四十」という数値に関して、これを上回る数への変更、もしくは員数の算出方法そのものの見直しを検討していただきたい。 | 厚生労働省 | 検討に着手 |
技能実習申請手続書類の簡素化 | 外国人技能実習の促進を推進するため、提出書類の更なる簡素化と在留期間の更新時の作業軽減を検討していただきたい。 | 法務省 厚生労働省 |
検討に着手 |
古物営業法の各種手続きの電子化について | 古物商に係る各種届出の電子化を早急に進めること。 | 警察庁 | 検討に着手 |
出典:全体データ⇒ 内閣府 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/siryou2/k_siryou2_r4.xlsx
行政改革要望について
行政改革要望に関し、今回の発表分では、個人や各団体からの要望は134件(エクセルのデータ数)。そのうち回答が「検討する」であったのは27件(同)でした。
目をひいたものをピックアップしました。
提案事項 | 具体的内容 | 所管官庁 | 対応 |
法務省ホームページのチャットボットがひどすぎるので廃止すべき。その前にホームページを充実させよう。 | 略
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法務省 | 検討を予定 |
公益法人等の損益計算書等の提出制度から社会福祉法人を非対象とする | 全国の社会福祉法人は、財務諸表等電子開示システムにより現況報告書等の情報を閲覧できることから、租税措置法第68条の6の適用除外とし、国税当局は必要なデータを同システムから入手する。 | 財務省 厚生労働省 |
検討を予定 |
成年後見人による横領を防止するため、成年後見人の資産をAIによる監視可能な口座に移すこと | 出入金をリアルタイムで他の親族に公開すれば、裁判所の負担が軽減されるだけなく、被後見人死亡後に発生する相続トラブルも減少すると思われる。 | 法務省 金融庁 |
検討を予定 |
補助金の応募・交付申請書類のメール等での送付(日本フランチャイズチェーン協会) | 作成期間において距離に関わらず同条件となるように、電子申請に統一していただきたい。 | 環境省 | 検討に着手 |
補助金交付決定後の事業者説明の開催方法(日本フランチャイズチェーン協会) | WEBにて参加可能であれば、移動の手間・費用が掛からずに出席することが出来る。 | 環境省 | 検討に着手
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出典:全体データ⇒ 内閣府 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/siryou2/g_siryou2_r4.xlsx
まとめ
規制緩和や行政改革に、多くの人が前向きな提案を続けることは良いことだと思います。自分の知らない業界で、現場ではどんなところで悩みがあるのかも、このサイトで伺うことができます。件数は国全体からすれば少ない気もします。暮らしやすい社会になるように多くの声がもっとあがるようになればよいと思いました。今後も、この発表には着目したいと思います。
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