アマチュア無線ができなくなる?

あるニュースが、誤解されて、かつては、趣味の王様とも言われたアマチュア無線ができなくなるのでは・・・という心配をされている方がいらっしゃるようです。私も、中学生にときにマチュア無線の免許をとり、10代のころは50メガヘルツの電波帯でJF1〇〇〇のコールサインで楽しんでおりました。行政書士としても、開局手続きをお手伝いしますので興味あることです。

そのニュースは、総務省による「簡易無線局において、350MHz及び400MHz帯のアナログ方式の周波数は、令和6年(2024年)12月1日以降は使用できなくなります。」という告知です。しかし、これは、マチュア無縁は対象でありません。アマチュア無線では、来年以降もアナログ方式の通信は可能です。

アナログ簡易無線局の使用期限

総務省のお知らせとは、以下の通りで、「簡易無線局の方は、令和6年末で350MHz及び400MHz帯のアナログ方式の周波数は使えなくなります」ということなのです。

アマチュア無線 簡易無線 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

簡易無線と、アマチュア無線の違い

簡易無線とアマチュア無線にはいくつかの違いがあり、それぞれが異なる用途や規制の下で運用されています。以下のポイントで整理してみます。

目的

  • 簡易無線: 業務用の通信手段として利用されることが多いです。例えば、工事現場やイベント会場、タクシー業界などで使用され、業務の効率を上げるための実用的な通信手段です。
  • アマチュア無線: 主に趣味として利用され、個人の技術向上や知識の共有を目的とします。非常時の通信手段としても活用されることがありますが、商業的な目的での利用は許されていません。

免許と資格

  • 簡易無線: 簡易無線の利用には資格は不要で、無線局としての免許を受ける必要がありますが、運用者個人が資格を持つ必要はありません。免許申請が必要な機種や免許不要で使える特定小電力無線機もあります。
  • アマチュア無線: アマチュア無線技士の資格が必要で、級によって使用できる周波数や出力に制限があります。また、無線局免許も取得する必要があります。

周波数帯域

  • 簡易無線: 業務用に割り当てられた特定の周波数帯を使用します。免許不要のものでは、特定小電力無線で規定された周波数帯を利用します。
  • アマチュア無線: アマチュア無線専用に割り当てられた周波数帯(HF、VHF、UHFなど)を使用し、通信範囲が広いことが特徴です。地球規模での交信も可能です。

通信範囲

  • 簡易無線: 基本的には短距離通信が中心で、通信範囲は数キロメートル以内に制限されることが多いです。ただし、中継器を使うことで範囲を広げることが可能です。
  • アマチュア無線: 条件によっては世界中の局と通信ができ、短波帯を利用することで長距離通信が可能です。特に反射を利用しての通信が特徴です。

通信内容の制約

  • 簡易無線: 業務用通信が主で、必要な指示や連絡など、業務に直接関係する内容に限定されます。
  • アマチュア無線: 趣味としての通信で、技術的な議論や興味のある内容について自由に話すことができますが、営利目的での通信は法律で禁止されています。

使用設備

  • 簡易無線: 比較的簡便な無線機を使用し、専門的な設定や技術的な知識が不要な場合が多いです。
  • アマチュア無線: 自分で無線設備を設置したり、改造したりすることが許されており、高度な技術や知識が必要になることもあります。

免許の取得と維持のコスト

  • 簡易無線: 機器の導入や免許にかかるコストが業務用として適切に設定されています。
  • アマチュア無線: 資格取得にかかる費用や無線機器の価格は、個人の趣味として比較的手頃ですが、高度な機器を使用する場合は高額になることもあります。

簡易無線局で、350MHz及び400MHz帯のアナログ方式の周波数が使用できなくなるのはなぜ?

主に、周波数の有効利用促進と技術進化への対応が理由です。

周波数の有効利用

周波数帯は有限な資源であり、無線通信の需要が年々増加しています。特に、携帯電話や無線通信技術の進化に伴い、周波数の帯域が逼迫しています。そのため、アナログ通信方式のように周波数の利用効率が低い方式から、デジタル方式のような効率的な利用が可能な方式への移行が促されています。デジタル方式はアナログに比べ、同じ帯域幅でより多くの情報を伝送できるため、より効果的な周波数利用が可能です。

デジタル化による通信品質向上

デジタル方式への移行は、通信の品質やセキュリティを向上させることも目的の一つです。アナログ方式はノイズや雑音の影響を受けやすく、長距離通信では特に通信品質が低下することがあります。デジタル方式は、エラー訂正技術などにより、より安定した通信が可能であり、業務用としても信頼性が高くなります。

<簡易無線をされている方の対応>

アナログ無線機の使用を終了する場合は、総合通信局に廃止届を提出する必要があります。デジタル無線機に切り替える場合は変更届を出し、デュアル方式の無線機ではアナログ機能を使えないよう改修が必要です。2024年12月1日以降にアナログ無線を使用すると、電波法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。無線機を所持すること自体は違反ではありませんが、誤って使用するリスクがあるため、早めの対応が推奨されます。

アマチュア無線では、依然として、アナログ電波が利用できる理由は?

アマチュア無線で350MHzおよび400MHz帯のアナログ方式が使用できなくならない理由は色々考えられます。

・マチュア無線は趣味や技術向上を目的とし、技術の自由度や実験的な価値が重視されていることアナログ方式も許容される。

・業務用無線と異なり周波数の混雑が少なく、効率化の必要性が低い。

・国際的にも、アマチュア無線ではアナログを使用している国もある。

などです。総務省もアマチュア無線には柔軟な運用を認めており、国際的な規制との調整も理由の一つです。

アマチュア無線を楽しむには?

アマチュア無線を始めるためには、免許が必要で、「アマチュア無線従事者」の資格を取得する必要があります。この資格は第1級から第4級に分かれており、等級によって使用できる周波数や電力が異なります。免許を取得するには国家試験に合格するか、養成課程講習会を修了する方法があります。国家試験の合格率は約70%ですが、講習会では合格率が約97%と高いため、早く免許を取得したい場合は講習会を利用するのがおすすめです。

アマチュア無線の魅力は、遠方の愛好家との交流だけでなく、さまざまな楽しみ方があります。誰とでも交信可能で、他のユーザーが会話に参加できる開かれた交流が可能です。また、海外の無線愛好家とも国際的なコミュニケーションが楽しめます。技術的探究も魅力で、自作のアンテナやトランシーバーで挑戦することができます。さらに、費用が安く、災害時の緊急通信手段としても有効です。アマチュア無線は、多様な楽しみ方を提供する趣味です。

行政書士は、アマチュア無線に興味のある方に、次のようなお手伝いが可能ですので、お気軽にご相談ください。

  • 無線局免許申請のサポート
  • 変更申請の代行
  • 海外運用のための申請支援
  • クラブ局や団体の設立手続き
  • 無線局廃止手続き
  • その他の法的手続きのサポート

まとめ

無線のデジタル化が進む中、簡易業務用無線機のデジタル化移行期日である令和6年(2024年)11月30日が近づいています。

対象となるアナログ無線機の使用者は、在庫不足や物流遅延の懸念があるため、余裕を持って準備を進めることが推奨されています。特に半導体不足の影響もあり、早めに計画を立てて対応することが重要です。

参考:総務省HP https://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/relate/dcr/

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