建設業許可 「専任技術者」に関する要件とは

建設業許可のヒトに関する要件には2つあって、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者」に加えて、必要なのは「実態のある営業所に、専任技術者がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置)」です。これを「専任技術者の設置」といいます。「専任」とは、その「営業所」に、「常勤」して専らにその職務に従事することです。

専任技術者の設置(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)

建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。

 この専任技術者は、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、また建設業の種類により、それぞれ必要な資格等が異なります。

また、専任技術者は「営業所ごとに専任の者を設置」することとされていますので、その営業所に常勤していることが必要です。
 なお、経営業務の管理責任者と同様、専任技術者の設置も許可要件の1つであるため、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象等になるので、注意することが必要です。
■おさらい(「建設業の許可要件」)と「一般建設業・特定建設業」)

【建設業の許可要件】

建設業の許可を受けるためには、以下の6つの条件が必要です。このうち、「社会保険への加入」は、2020年(令和2年)に新たに条件に加わりました。1.と2.はまとめて「ヒトの要件」とも呼ばれます。

建設業許可の要件

1.「経営業務の管理を適切に行うに足りる能力」に関する要件
2. 「専任技術者」に関する要件
3. 「財産的基礎等」に関する要件
4. 「誠実性」に関する要件
5.「欠格要件等」に該当しないこと
6.「社会保険への加入」に関する要件

 参考 国土交通省 建設業の許可の要件 

一般建設業と特定建設業

特定建設業とは、発注者から直接工事を請け負った際に、1件の建設工事(元請工事)につき合計額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を下請に出す場合、取得が義務付けられている許可です。

一般建設業は、特定建設業以外を指します。
特定建設業の方が、専任技術者の要件が厳しくなっています。
 
■「専任技術者」の要件
《一般建設業の許可を受けようとする場合》
[1]-1指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者


[1]-2指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者

・許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後5年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
・許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後3年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者のうち、専門士又は高度専門士を称するもの
*専門士は専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規定(平成6年文部省告示第84号)第2条、高度専門士は同告示第3条に規定のものを指します。
*「指定学科」とは、建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとにそれぞれ密接に関連する学科として指定されているものです。   


[2]許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者


[3]-2複数業種に係る実務経験を有する者

複数業種に係る実務経験を有する者一覧へ

《特定建設業の許可を受けようとする場合》
[2]指導監督的実務経験を有する者
前述の【一般建設業の許可を受けようとする場合】の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者
*「指導監督的実務経験」とは、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。

*指定建設業の許可(下記参照)を受けようとする場合は、この[2]の要件に該当しても許可は取得できません。([1]または[3]のいずれかの要件を満たすことが必要です)
[3]大臣特別認定者:建設省告示第128号(平成元年1月30日)の対象者
指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者
*「指定建設業」とは、施工技術の総合性、施工技術の普及状況、その他の事情等を勘案して定められた業種で、現在、次の7業種が「指定建設業」として定められています。(建設業法施令第5条の2)
指定建設業→土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業
*上記の「指定建設業」を受けようとする場合に設置しなければならない専任技術者は[1]または[3]の要件を満たすことが必要です。
*上記[3]の特別認定講習及び考査については、指定建設業制度が導入された際に行われたものであり、現在は実施していません。

 

《解体工事業の新設に伴う経過措置》
 解体工事業の新設に伴う経過措置として、平成28年6月1日時点において現にとび・土工工事業の技術者に該当する者は、平成33年3月31日までの間に限り、解体工事業の技術者とみなされます。

 

■注意点

◎ 同一営業所における専任技術者の兼務について複数の業種の許可を申請する時に、それぞれの業種について、技術者の資格表の各基準を1人ですべて満たす者がいる場合は、同一営業所内であれば、その者1人で、当該業種の「専任技術者」を兼ねることができます。なお、同一営業所内で、同一業種につき、複数の専任技術者を登録することはできません。
◎ 同一営業所における専任技術者と常勤役員等の兼務について「経営業務の管理責任者・常勤役員等・常勤役員等を直接に補佐する者・令3条の使用人」と「専任技術者」との双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、両者を1人で兼ねることができます。但し、「経営業務の管理責任者」と「常勤役員等を直接に補佐する者」は兼務することはできません。
◎「専任かつ常勤」とみなせない例
以下のような例の場合、「専任かつ常勤」とはみなされません。
・住所が勤務を要する営業所から著しく遠距離で常識上通勤不可能な者
・他に個人営業を行っている者
・建設業の他社の技術者、常勤役員等(経営業務の管理責任者)および常勤役員等を直接に補佐する者
・他社の常勤役員・代表取締役・清算人等となっている者
・他の法令により専任性を要するとされる管理建築士、宅地建物取引士(同一法人で同一の営業所である場合を除く)

参考 国土交通省HP

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