建設業許可のヒトに関する要件には2つあって、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者」に加えて、必要なのは「実態のある営業所に、専任技術者がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置)」です。これを「専任技術者の設置」といいます。「専任」とは、その「営業所」に、「常勤」して専らにその職務に従事することです。
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。
この専任技術者は、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、また建設業の種類により、それぞれ必要な資格等が異なります。
【建設業の許可要件】
建設業の許可を受けるためには、以下の6つの条件が必要です。このうち、「社会保険への加入」は、2020年(令和2年)に新たに条件に加わりました。1.と2.はまとめて「ヒトの要件」とも呼ばれます。
1.「経営業務の管理を適切に行うに足りる能力」に関する要件
2. 「専任技術者」に関する要件
3. 「財産的基礎等」に関する要件
4. 「誠実性」に関する要件
5.「欠格要件等」に該当しないこと
6.「社会保険への加入」に関する要件
参考 国土交通省 建設業の許可の要件
特定建設業とは、発注者から直接工事を請け負った際に、1件の建設工事(元請工事)につき合計額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を下請に出す場合、取得が義務付けられている許可です。
[1]-2指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
[2]許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
営業所専任技術者となりうる国家資格者等一覧へ
《特定建設業の許可を受けようとする場合》
*指定建設業の許可(下記参照)を受けようとする場合は、この[2]の要件に該当しても許可は取得できません。([1]または[3]のいずれかの要件を満たすことが必要です)
■注意点
◎ 同一営業所における専任技術者の兼務について複数の業種の許可を申請する時に、それぞれの業種について、技術者の資格表の各基準を1人ですべて満たす者がいる場合は、同一営業所内であれば、その者1人で、当該業種の「専任技術者」を兼ねることができます。なお、同一営業所内で、同一業種につき、複数の専任技術者を登録することはできません。
◎ 同一営業所における専任技術者と常勤役員等の兼務について「経営業務の管理責任者・常勤役員等・常勤役員等を直接に補佐する者・令3条の使用人」と「専任技術者」との双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、両者を1人で兼ねることができます。但し、「経営業務の管理責任者」と「常勤役員等を直接に補佐する者」は兼務することはできません。
◎「専任かつ常勤」とみなせない例
以下のような例の場合、「専任かつ常勤」とはみなされません。
・住所が勤務を要する営業所から著しく遠距離で常識上通勤不可能な者
・他に個人営業を行っている者
・建設業の他社の技術者、常勤役員等(経営業務の管理責任者)および常勤役員等を直接に補佐する者
・他社の常勤役員・代表取締役・清算人等となっている者
・他の法令により専任性を要するとされる管理建築士、宅地建物取引士(同一法人で同一の営業所である場合を除く)
参考 国土交通省HP
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