建設業 社会保険 杉並区 | 行政書士中村光男事務所 杉並・練馬・中野・武蔵野市・新宿区・小金井市・小平市

医療(クリニック開設)、建設、産業廃棄物収集運搬、運送などの分野、あるいは、在留資格や永住・帰化申請など、様々な分野で、行政庁への届出、許可等を行う場合に、社会保険の加入状況を確認されることが多くなりました。

社員が社長だけの法人や、従業員が数人の個人事業の場合であっても、社会保険の加入義務のルールを確認して、ルールを守っていくることが強く求めらる時代になりました。そこで以下に、要点をまとめました。

<ポイント>
1.事業者が、法人もしくは従業員が常時5人以上いる個人事業所(法律に定める業種に限る)で、加入対象となる従業員を雇用する場合は、健康保険、厚生年金保険に加入義務があります。それ以外の個人事業所(飲食業や理容業など)は、加入が任意となります。
2.法人の場合、社員が社長1名でも、厚生年金・健康保険の加入義務が発生し、保険料は会社と個人で折半です。

社会保険の概要と事業者の義務(従業員の社会保険)

社会保険は、従業員と事業者を保護する公的保障制度で、労災保険・雇用保険・医療保険・介護保険・年金で構成されます。法律で加入条件が定められており、該当する場合は加入が必須です。

各保険の要点

  1. 労災保険
    • 対象:雇用形態を問わず従業員を1人でも雇用する事業者(事業主・役員・同居親族は対象外)。
    • 手続き:労働基準監督署へ「保険関係成立届」を提出し、概算保険料を納付。
  2. 雇用保険
    • 対象
      • 週20時間以上かつ31日以上雇用される従業員(学生を除く)。
      • 農林水産業(個人経営・従業員5人未満)は任意。
    • 手続き:ハローワークへ「適用事業所設置届」と「被保険者資格取得届」を提出。
  3. 医療保険・厚生年金
    • 対象事業者
      • 法人、または従業員5人以上の個人事業所(特定業種※)。 ※サービス業・農林水産業・士業・宗教業以外の事業
      • パート・アルバイトは、週20時間以上・月収8.8万円以上・雇用1年以上等の条件で加入義務。
    • 対象外:個人事業主本人(国民健康保険・国民年金に加入)。
    • 手続き:年金事務所へ「新規適用届」と「資格取得届」を提出。
  4. 介護保険
    • 自動的に手続きされ、事業者の追加手続き不要。

手続きのポイント

  • 順序:労災保険→雇用保険→医療保険・厚生年金の順で手続き。
  • 期限厳守:各手続きに法定期限があるため注意。
  • 支援の活用:手続きが複雑な場合は、社会保険労務士への相談が有効です。

経営者自身の社会保険

【法人の場合】

健康保険・厚生年金

  • 加入義務あり
    • 法人の代表者(社長)が役員報酬を受け取る場合、健康保険(協会けんぽ等)・厚生年金に強制加入
    • 報酬額や従業員数は関係なく、法人設立と同時に加入義務が発生。
    • 保険料は「会社負担50%+個人負担50%」。

例外ケース

  • 役員報酬ゼロの場合
    • 社会保険の対象外(※税務上、無報酬の継続は不自然とみなされリスクあり)。
  • 休眠法人
    • 役員報酬なし+従業員なしの場合、加入不要。

【個人事業主の場合】

健康保険・年金

  • 国民健康保険・国民年金(第1号被保険者)に加入
    • 厚生年金には加入不可(法人化しない限り)。
    • 保険料は全額自己負担(国民健康保険は収入に応じた計算、国民年金は定額)。

追加対策

  • 国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を補填可能。

例外ケース

  • 従業員5人以上+特定業種(製造業等)
    • 従業員は厚生年金加入義務あり(※事業主本人は依然として国民年金)。

具体的事例

法人で、社員は社長1名の場合

「法人+社長1名のみ」でも、役員報酬があれば健康保険・厚生年金の加入は必須です法人(株式会社・合同会社等)を設立し、社長が役員報酬を受け取る場合、健康保険(協会けんぽ等)と厚生年金への加入が法的に義務付けられます。従業員数(社長1名のみ)や業種・資本金は関係ありません。役員報酬が「給与所得」とみなされるため、社会保険の対象となります。

<例外ケース>
役員報酬なし+従業員なしの休眠法人の場合、加入義務は発生しません。ただし、法人の実態がないと判断されると、法人格否認のリスクがあります。

個人事業の場合

●従業員については以下のとおりです。

  • 例1:個人経営の製造業(従業員6人)
     強制適用:健康保険・厚生年金の加入義務あり。
  • 例2:個人経営の農家(従業員10人)
     任意適用:加入は従業員の過半数同意が必要。
  • 例3:個人経営の法律事務所(従業員7人)
     任意適用(自由職業のため)。

●個人事業主自身については以下のとおりです。

・健康保険:国民健康保険、国民健康保険組合(業種別の団体に加入の場合)、他のご家族の健康保険の扶養者になる、(以前加入していた)健康保険に任意継続(2年のみ)する、が選択肢です。

・年金:20歳以上60歳未満の個人事業主は国民年金に加入しなければなりません。

・介護保険:40歳以上の個人事業主は介護保険に加入しなければなりません。

・労災保険・雇用保険:個人事業主は雇用保険・労災保険には加入できません。

<注意>個人事業主は、厚生年金に加入できません。

「厚生年金保険の適用事業所だから、自分も加入する」と思いがちですが、事業所が厚生年金保険の適用事業所となっても、残念ながら、個人事業主は厚生年金保険に加入することはありません。そのため個人事業主は、引き続き国民年金に加入することになります。

【比較表】

項目 法人の経営者 個人事業主
健康保険 協会けんぽ等(加入義務) 国民健康保険(必須)
年金 厚生年金(加入義務) 国民年金(必須)
保険料負担 会社と折半 全額自己負担
厚生年金加入可否 不可(法人化が必要)
老後資金対策 厚生年金+iDeCo等 国民年金基金+iDeCo等

参考
J-Net「従業員を雇う場合の社会保険」

日本建設業連合会「社会保険加入促進」

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