■PERはお買い得な株を見つける便利な指標。PER=「株価」÷「1株当たり当期純利益」なので、似たような業種の会社の株価を比べるとき、PERが小さい方が、株価が割安と考えられる。
■PERは相対的な物差し。評価の高い会社のPERは高い。株価=「PER」×「1株当たりの当期純利益」なので、PERが上昇見込みであれば、株価も上昇する可能性が高い。
■日本株の平均的なPERが12-13倍であることを知っていれば、株価を見るとき、その会社の将来性をどのように考えれば良いのか?の目安になるかと思います。
1.PER
PERとは日本語では株価収益率。これは、Price Earnings Ratioの略で、株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍まで買われているかを表します。また、株式購入にあてた金額が、何年で元がとれるかという指標でもあります。
例えば、1株当たりの純利益が100円の会社の株価が1000円のとき、PERは10倍です。また、純利益は税金支払い後の利益ですので、会社の資産(=すなわち株主の資産)として純増となります。PERが10の会社の株を購入すると、10年で株式購入に株主が支出した金額は、元がとれるということになります。
(日本証券業協会HPより)
2.日本の株式の平均PER
2022年7月12日現在、日経平均のPERは、実績ベースで13.12倍となっています。ちなみに、2022年6月末の世界各国のPERを見ると、オランダの16.9倍、アメリカ16.2倍、日本12.3倍、中国11.8倍、イギリス9.8倍、ドイツ9.6倍、韓国7.8倍となっています。
3.PERで何がわかるか?
PER=「株価」÷「1株当たり当期純利益」はであるという式からは、PERが平均より高い会社(日本の平均が12~13倍)は、株価が高すぎる可能性があります。例えば、同じ業種の同じような規模の会社で、今後10年間、A社もB社も昨年と同じ利益水準を保つと仮定したとき、A社のPERが13倍、B社の株価が25倍だったとしたら、A社の株価は割安で、B社の株価は割高と考えられます。
【理由】A社とB社の株式を同時に購入した場合、配当や株価のアップ(=>これらは、会社の純利益が源泉ですので)によって、元が取れる期間は、A社は10年、B社は25年ですので。
しかし、実際には、A社とB社が昨年と同じ利益水準を同じように保つという仮定は、怪しいところです。現実には、A社とB社のやり方の違いや市場環境により、利益水準はどう動くかは不透明ですし、ましてや同じように動くということは考えにくいと思われます。
4.PERが高くても割安な銘柄もある。
ここで、PERの式を、株価=「PER」×「1株当たりの当期純利益」と考えると、今後の利益の成長が大いに見込まれる会社ほど、株価は高く評価される結果、PERが大きくなるという仕掛けが見えてきます。
「1株当たりの当期純利益」は、今期の実績あるいは、来期の予想ですが、これが毎年毎年増大していくと考えられる会社の場合は、「株価」が大きくなり、「1株当たりの当期純利益」は同じですので、PERが大きくならざるを得ないのです。
例えば、優良企業として有名なダイキンの場合、本日のPERは28.4倍もありますが、今後、利益がどんどん大きくなるとすれば、実際の回収に28年もかからないかも知れません。
また、逆にPERがあまりに低い会社は、市場にあまり期待されていないということになり、もしかすると利益は徐々に先細りになって、結局は、株式投資の資金がPERの何倍かかっても回収できなくなるかもしれません。
5. まとめ
以上のように、PERが高ければ良いのか低ければ良いのかは、ケースバイケースです。しかし、日本株の平均的なPERが12-13倍であることを知っていれば、ある会社の株価を見るとき、その会社のPERは、市場から先行きを期待されていないから低いのか、割安に放置されているだけなのか・・と考える良い材料になるかと思います。