国土交通省が、空き家発生の防止のためには、所有者と家族が「空き家にしない」という意識を持つことが重要であるという考え方のもとに、親が元気なうちに実家の対処方針を話し合うことの重要性を啓発していくという方針を打ち出しました。
終活の一般化を国土交通省としても、世の中に働きかけようということです。この背景と方向性を、杉並区 | 行政書士中村光男事務所が分かりやすく記載します。
空き家の現状
住む目的のない空き家は、この20年間で1.9倍に増加し、今後も増加見込みです。(1988年:182万戸⇒2018年:349万戸⇒2030年:470万戸(見込み))
空き家の全てが、近所の迷惑になっているということではありませんが、市区町村がこれまで把握した管理不全の空き家は累計約50万戸あります。
このうち、空家法に基づく措置や市区町村による対策により、除却や修繕等がなされた空き家は14万戸、 現存する空家法の特定空家等は約2万戸、その他の管理不全の空き家は約24万戸、約10万戸は状況不明です。
市区町村により所有者特定事務が行われたもののうち、約9%が所有者が判明していないという状況です。
最近では、市区町村による財産管理制度の利用(民法に基づく財産管理人の選任申立て)は、増加傾向にあります。令和3年度では、9割近くが相続財産管理人制度の利用しています。申立理由としては、「特定空家等認定」や「固定資産税等の滞納」が多くなっています。
このまま空き家が増えると、防災・環境面で見過ごせない地域の問題となってしまいます。
空き家となる理由
取得原因は相続が55%。所有者の約3割が遠隔地に居住しています。
空き家にしておく理由として「解体費用や労力・手間をかけたくない」との消極的な理由のほか、「特に困っていない(問題と認識していない)」とする所有者も少なくありません。
空き家発生予防 国土交通省「空き家対策小委員会」の案は
国土交通省の「空き家対策審議会」(2023年1月31日)の最新資料では、「所有者の死後もなるべく空き家にしないため、自宅の取扱いを検討し、それを家族に共有すること」ことが重要であるとしています。
具体的には、以下のような対策を今後検討していくということです。
1.「終活」を一般化し、親が元気なうちに対処方針を話し合うことの重要性を啓発。
2.生前に対処方針を決めておく方法や空き家リスクについての情報提供の充実。
3.住宅の管理の重要性や空き家対策に係る住教育の充実。
4.地方自治体・NPO等による不動産等の専門家と連携したセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完。空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者への対応を促進。
5.このような取組に活用可能な汎用ツールの作成・普及。
参考サイト 第4回空き家対策小委員会 配布資料
まとめ
実家を空き家にしないためには、ご両親が元気なうちから、家族全員で話し合いをしておくことが必要です。
まずは、不動産を後世に引き継ぐ方は、遺産相続手続きでご家族が苦労しないように、財産目録の整備などをできるところから始めるのがよいと思います。
当事務所では、相続や空き家防止のご相談にあずかります。
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