地震の知識 首都直下地震と関東大震災は別タイプです

首都圏である南関東は地震が多い地域です。200年から400年ごとに発生するマグニチュード8クラスの地震の合間に、100年に2~3回の頻度でマグニチュード7クラスの地震が発生しています。
現在、心配されている首都直下地震は、1923年に発生したマグニチュード8の関東地震(関東大震災の原因となった本震)とタイプが違うマグニチュード7クラスの地震と言われます。このふたつ、どこがどう違うのでしょうか。

南関東で地震が多い理由

南関東で地震活動が活発なのは、陸のプレートの下に南から北西に向けてフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に、東方から西方に向けて太平洋プレートが沈み込み、3 つのプレートが互いに力を及ぼし合っているからです。

首都圏の2つのタイプの地震

実は、南関東で発生する地震は、マグニチュード8クラスのものとマグニチュード7クラスの者があると言われます。

1. マグニチュード8クラス(関東地震)

相模トラフから沈み込むフィリピン海プレートと南関東を形づくるプレートとの境界部で発生する地震です。

地震規模(マグニチュード、M)は8クラスの巨大地震です。過去には、1703年と1923年の関東地震が知られています。1923年の関東地震が、大正の関東大震災(死者・不明者約10万5千人)を引き起こしました。

これらの地震が、もし周期的に発生するなら間隔が約220年なので、最新の地震である1923年関東地震の発生からまだ100年程度しか経っていないため、近い将来にこのタイプの地震が発生する可能性は低いと考えられています。

政府地震調査研究本部の資料より

2.マグニチュード7クラスの地震

もう一つのタイプは、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界またはこれらのプレート内部、あるいは活断層で起こる可能性のある地震です。
過去には、このタイプの地震は100年に2~3回発生しているため、今後30年間で70%の確率で発生すると言われています。

先に述べたように、M8タイプの地震は、間隔が220年で、前回からは100年経過ですので、当面大丈夫そうです。現在心配されている首都直下型地震は、M7クラスの後者です。

首都直下地震の発生確率70%の根拠

地震調査研究推進本部地震調査委員会の評価では、南関東でM7クラスの地震が今後30年以内に起きる確率は70%という、極めて高い値になっています。

この理由は、近年起きた1894年明治東京地震(死者24人)、1895年霞ケ浦の地震(同9人)、1921年竜ケ崎の地震(同0人)、1922年浦賀水道の地震(同2人)、1987年千葉県東方沖の地震(同2人)の5つの地震が、平均すると24年に一度発生しているので、統計的な計算をして、30年70%というラフな数値が導き出されたものです。

平成17年に国の中央防災会議は、首都圏で起きる可能性と、起きたときの影響の大きさを検討して、18の地震を想定して被害を評価しました。その結果、東京湾北部のフィリピン海プレート上面でM7.3の地震(想定東京湾北部地震)が発生した場合、首都機能に最も甚大な影響が予想されました。

また2022年5月には、東京都は、この都心南部直下地震により、都内で最大規模の被害が想定され、震度6強以上の範囲は区部の約6割に広がり、建物被害は194,431棟、死者は6,148人と想定 しました。


首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)

注意すべきは、今後30年以内に起きる確率は70%というのは、M7クラスの地震が起こる可能性についてであって、この最大被害が発生する可能性についてではありません。

とは言え、安心はできません。

詳細な地震観測データを用いると、大地震の揺れを予測することができます。しかし、この揺れの想定は、様々な仮定を用いています。自分の住んでいる場所が震度7 になるのか、6 弱になるのかを気にすることには意味がありません。計算に用いる仮定を少し変えれば、震度7の領域は容易に変わります。首都圏に住む以上、どこにいても強い揺れに見舞われる可能性があると考えて、自分のできる範囲で備えることが重要です。

首都直下型地震へ備えよう

東京都のシミュレーションでは、首都直下型地震での被害を減少させるために有効なのは、建物の耐震化です。
(下図のように、建物の耐震化により、建物倒壊による死者は3200人から1200人になります)

1981年の新耐震基準以降の建物であれば震度7クラスでも倒壊しないと言われます。
もし、新耐震基準を満たしていない建物には、耐震補強をご検討ください。

※耐震補強の工事費用の平均費用は120万円程度です。自治体の各区市町村において、耐震診断、耐震改修などに要する費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。

参考 耐震化助成制度

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