帰化 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

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日本には、様々な国籍をもっている人が住んでいます。外国籍の方が、日本に長く住んでいて、もう母国ではなく日本で一生を全うしたいと考えたとき、日本国籍を取得する方法が「帰化」となります。

これに対し、外国人の方が、日本を本拠にして生活したいが、もともとの国籍は残したい場合は、外国籍のままで「永住」申請が選択肢となります。

本稿では、「帰化制度」について簡単にご説明します。

帰化とは

帰化とは、外国人が日本の国籍を取得したいと申し出たとき、国がそれを認めて国籍を与える制度のことです。日本では、帰化の許可は法務大臣が決定する権限があります(国籍法第4条)。

法務大臣が帰化を許可すると、そのことが官報に公表されます。そして、帰化は官報に公表された日から法的に有効になります(国籍法第10条)。

帰化は他の在留資格と異なり、入管ではなく、法務局の管轄であることに注意が必要です。

帰化が許可された件数

法務局が公開しているデータですと、令和4年度(2022年度)は、約9千件の申請があったこと、約7千件の許可が下りていることが分かります。なお、帰化申請の審査は1年程度かかるとも言われていますので、2022年度の約7千件の許可が申請された年度は、2022年より前であるものが多いと思われます。

それでも。過去7年を見てみると、毎年平均1万件の申請があり、不許可の平均は毎年700件程度ですので、帰化の申請が受理されれば、比較的高い確率で、帰化が認められることが分かります。

2022年度帰化申請と許可件数 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

帰化の条件

帰化が許可されるかどうかは、法務局の審査によります。法務省は「審査基準なし」「標準処理期間なし」としています。

国籍法第5条は、次のような「帰化の一般的な条件」を示していますが、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限りません。これらは、日本に帰化するための最低限の条件を定めたものです。

1  住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。なお、住所は、適法なものでなければなりませんので、正当な在留資格を有していなければなりません。

2  能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が18歳以上(2022年4月以降)であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。

3  素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることとなります。

4  生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります。

5  重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。

6  憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。

さらに、帰化希望者は、一定の日本語能力を証明する必要があります。これは、日常生活でのコミュニケーションや法的手続きを円滑に行うために重要です。

帰化のメリット/永住との比較

帰化のメリットは永住と比較することで分かりやすくなります。

1.在留資格の手続きが不要となる。 ⇔ 永住では「カード更新」「再入国手続き」が必要。

2.参政権(選挙権・被選挙権)が得られる。 ⇔ 永住では、参政権なし。

3.戸籍が取得可能となる。 ⇔ 永住では、戸籍取得不可。

4.日本国籍が得られる。 ⇔ 永住では、国籍は変わりません。

5.退去強制がない。 ⇔ 永住では、退去強制をされる可能性がある。

また、実際の審査でも、永住権に比べて、帰化の方が生計要件や社会保険・税金に関する要件が緩やかです。永住権では5年連続で高い収入が必要であり、社会保険と税金の支払いにも2年の滞納が許されません。一方、帰化では直近1年分の収入を基準にし、滞納があっても未納がなければ許容されます。帰化の方が条件が緩和されていると言えます。

まとめ

帰化には特定の条件と手続きが必要であり、外国国籍の放棄などの法的な制約も存在します。そのため、帰化を検討する際には、法務局や行政書士と相談し、自身の状況や目標に合った選択を検討することが重要です。帰化についての情報を入手し、熟考した上で判断することが大切です。

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参考URL
法務省国籍Q&A https://www.moj.go.jp/MINJI/minji78.html#a09